40位 ウォーペイント『ラディエイト・ライク・ディス』


一言で言い表せば:インディ・ロック界で最も安定感のあるバンドの一つによるドリーミーな内省と心強さ。

スタジオ・アルバムということでは6年間の休息を経て復帰作となった『ラディエイト・ライク・ディス』はウォーペイントの根本を塗り替える作品ではないが、そんなことは誰も望んでいないだろう。代わりにロサンゼルスを拠点とする4人組はクリエイティヴ面での一貫性を維持して、盤石の10曲を収録したアルバムにはフルバンドによるスペイシーな“Hard To Tell You”、チルアウトでダウンテンポの“Send Nudes”、空気を変える変化球の“Proof”といった楽曲が収録されている。6年間待たされたが、その価値はあったのだ。

鍵となる楽曲:“Stevie”

『NME』のレヴュー:「『ラディエイト・ライク・ディス』は変化に富みながらも一貫したヴァイブがあり、刺激的なダイナミックさがある」

39位 バーティーズ・ストレンジ『ファーム・トゥ・テーブル』


一言で言い表せば:次世代のインディ・スターによるジャンルを跨ぐパワフルな作品。

『ファーム・トゥ・テーブル』の制作中、バーティーズ・ストレンジはフィービー・ブリジャーズ、ルーシー・ダッカス、コートニー・バーネット、カー・シート・ヘッドレストとツアーを行っていた。しかし、ワシントンD.C.出身のソングライターによるセカンド・アルバムはカテゴライズの箱から脱却することを目的としていた。インディ・ミュージックがヒップホップや官能的なダンス・ミュージックと出会うことで、非常に野心的な作品となった。溌剌とした思慮深い語り手による作品で、彼の前途は大いに期待できるだろう。

鍵となる楽曲:“Wretched”

38位 ザ・スマイル『ア・ライト・フォー・アトラクティング・アテンション』


一言で言い表せば:煽りにふさわしいスーパーグループがついに。

スーパースターのサイド・プロジェクトは自己満足になってはいけないと証明するように、『ア・ライト・フォー・アトラクティング・アテンション』でトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドはサンズ・オブ・ケメットのトム・スキナーとコラボレーションしながら、レディオヘッド以外では最も説得力のある瞬間を届けている。ジャズ、プログレ、アフロビート、ポスト・パンクなどを取り入れた独創的なアレンジを積み重ねながら、トム・ヨークはディストピア的なテーマを掘り下げている。

鍵となる楽曲:“Open The Floodgates”

『NME』のレヴュー:「新たな形を取ったこのスーパーグループは、キャリアでも最も満足のいく興味深い作品を作るために放たれることになった」

37位 ワイズ・ブラッド『アンド・イン・ザ・ダークネス、ハーツ・アグロウ』


一言で言い表せば:ナタリー・メーリングは世界の終わりのヴィジョンに頭から飛び込んだ。

苦痛の渦の中から一抹の希望を見つけるのは並大抵のことではないが、ワイズ・ブラッドはかつてもそれを成し遂げている。2019年発表の『タイタニック・ライジング』で不確かな未来と生態系の破壊への恐怖を描き、その前の『フロント・ロウ・シート・トゥ・アース』では豊穣なオーケストラの楽曲で差し迫る破滅を見つめていた。しかし、どんな危機も真の自分たちの姿を明らかにするからなのだろう。ナタリー・メーリングは『アンド・イン・ザ・ダークネス、ハーツ・アグロウ』で物事をありのままに受け止め、その中で私たちにもそうするように促している。

鍵となる楽曲:“It’s Not Just Me, It’s Everybody”

『NME』のレヴュー:「しなやか、かつオープンで、より繊細になることで、ワイズ・ブラッドはこの素晴らしいアルバムで描かれている破滅から自分たちを救うことができると示唆しているようだ」

36位 リゾ『スペシャル』


一言で言い表せば:ポジティヴさを原動力としたアルバムでスターはポップ界の覇権を行使してみせた。

『スペシャル』はリゾの通算4作目かもしれないが、フェスティバルを席巻するスーパースターになってからは初めてのアルバムでもある。メインストリームに押し入るために懸命に努力した多才なシンガー/ラッパーは、自分の能力を信じること、女性の連帯、ボディ・ポジティヴといった核となる価値観を既視感なく新鮮な形で広げることで、今の地位に留まるべき存在であることを証明してみせた。それでありながらディスコやファンク、ポインター・シスターズ風のポップ・ミュージックにスタイリッシュに手を出している。

鍵となる楽曲:“About Damn Time”

『NME』のレヴュー:「リゾはアーティストとしての自分のことがよく分かっている。彼女は驚くべき才能で素晴らしい気分にさせてくれる厄介なビッチなのだ」

35位 コージー・ラディカル『リーズン・トゥ・スマイル』


一言で言い表せば:心を奪うジャジーな音色に乗せた自己救済の物語。

東ロンドンの新進気鋭のスターはポップ・ドリルや軽薄な悪徳について歌った曲が多い時代に純粋なラップがいまだ勝てることを思い出させてくれる生き字引だ。マーキュリー・プライズにもノミネートされたコージー・ラディカルのデビュー・アルバムは高揚感のあるパンチの効いた作品で、今年のラップ・レースにおける明確なハイライトとなった。

鍵となる楽曲:“Payback”

『NME』のレヴュー:「コージー・ラディカルは単にポテンシャルに安住するのではなく、洗練されたルネッサンス人のイメージを私たちに見せつけることになった。しかし、それも簡単だったのだろう。彼にはそれだけのものがあるのだから」

34位 ブラック・ソート&デンジャー・マウス『チート・コーズ』


一言で言い表せば:ザ・ルーツの言葉の魔術師と並外れたプロデューサーが手を組んだ。その結果、ヒップホップの傑作となった。

MFドゥームとコラボレーションした2005年発表の『ザ・マウス&ザ・マスク』以来となるデンジャー・マウスによる純粋なヒップホップ・アルバムは大きな事件となった。ザ・ルーツのリードMCであるブラック・ソート(ラップ界で最も洞察力に満ちた人物の1人だろう)と手を組んで、2人はラン・ザ・ジュエルズ、エイサップ・ロッキー、今は亡きMFドゥームの協力を得ながら、核心を突く珠玉のヒップホップのコレクションを届けることになった。このプロジェクトが一度限りではないことを願うばかりだ。

鍵となる楽曲:“Strangers”

『NME』のレヴュー:「世代を超えて称賛されている現代の偉大なアーティストが全力を尽くした待望のコラボレーションで終始楽しませてくれる」

33位 アレックス・G『ゴッド・セイヴ・ジ・アニマルズ』


一言で言い表せば:フィラデルフィア出身の謎めいた奇才による眩いばかりのキャリアの高み。

8枚の正式なアルバムと無数のバンドキャンプからのリリースを経て、アレックス・Gはインディ・ロックの寵児となった。『ゴッド・セイヴ・ジ・アニマルズ』で彼はこれまでで最も集中した一貫性のあるアルバムを作り、オートチューンによる自身の声と揺れ続ける心を描いた歌詞の妙技を組み合わせている。今後の数年でインディ・ロックを魅力的な形に変えたことが証明される、そんなアルバムになっている。

鍵となる楽曲:“Miracles”

『NME』のレヴュー:「一貫して素晴らしく、多様な13曲のアルバムでアレックス・Gはスタイル、視座、エネルギーを気ままに乗りこなしている」

32位 ケヴィン・モービー『ディス・イズ・ア・フォトグラフ』


一言で言い表せば:アメリカーナの吟遊詩人による傑作は彼が大切にしている人々に向けたポスト・パンデミックのラヴレターである。

よりローファイだった通算6作目の『サンダウナー』から18ヶ月足らずでケヴィン・モービーはこれまでで最も満足のいく作品で戻ってきた。『ディス・イズ・ア・フォトグラフ』はすべてをさらけ出す以外に方法を知らないソングライターによる野心に溢れ、心温まる、非常にパーソナルな作品だ。“Stop Before I Cry”ではパートナーにしてインディ・ロッカーであるワクサハッチーことケイティ・クラッチフィールドとの生活を楽しみながらも今回は混乱してしまった自分に気付いている。「I wanna go out dancing as soon as the world returns / Cause Katie, when you’re dressed up, honey – oh, it’s hard to find the words.(世界が戻ったら、すぐに踊りに出かけたい。だって、ケイティ、君がドレスアップしたら、言葉が見つからないよ)」素晴らしい作品だ。

鍵となる楽曲:“Rock Bottom”

『NME』のレヴュー:「カンザスシティを拠点とするミュージシャンの通算7作目は人生の儚さとそれゆえに愛、喜び、家族を大切にする必要性を歌った叙事詩である」

31位 ザ・ウィークエンド『ドーン・エフエム』


一言で言い表せば:ジム・キャリーの援助を受けて80年代のシンセ・ポップを取り入れたカナダのスーパースターによる新地平。

ザ・ウィークエンドは2020年発表の『アフター・アワーズ』でモンスターを生み出し、ポップ界の最高峰でスタジアムを埋める自身の地位を確かなものにしてみせた。次回作の『ドーン・エフエム』には大きな期待が寄せられたが、それが裏切られることはなかった。SF的なシンセサイザーと決まり文句を好むラジオDJを演じるジム・キャリーの参加がありつつ、自己研鑽、成長、愛を解き放つ物語によって本作はきらびやかに輝いている。

鍵となる楽曲:“Out Of Time”

『NME』のレヴュー:「『ドーン・エフエム』はザ・ウィークエンドにとって自分の安らぎを見出す最初の一歩なのかもしれない。おそらく次は陽の光を受け入れる彼を聴くことができるだろう」

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