20位 フォールズ『ライフ・イズ・ユアーズ』


一言で言い表せば:オックスフォード出身のバンドは通算7作目となる楽観的な作品で新たな活力を見出した。

キーボーディストのエドウィン・コングリーヴが脱退してから初のアルバムとなった『ライフ・イズ・ユアーズ』だが、フォールズは2019年発表の連作『エヴリシング・ノット・セイヴド・ウィル・ビィ・ロスト』の影のある底流を征服して、よりエネルギーに満ちた形で戻ってきた。ロックダウンによる無気力に抵抗し、ロックによるレイヴの本能に従って、3人は本人たちの言う「外に出るためのアルバム」を生み出すことになった。冒頭の“Life Is Yours”の衝撃を与えるシンセサイザーから“2am”のしなやかなスネアまで、フォールズの最新作は屋内に引きこもることへの解毒剤となっている。

鍵となる楽曲:“Wake Me Up”

『NME』のレヴュー:「ロックダウン下のペッカムにある埃っぽい貯蔵庫で書かれ、いろんなことが不可能な時に生まれた『ライフ・イズ・ユアーズ』はパンデミックによって否定された素晴らしい時間を求めるマニフェストになっている」

19位 ウィズキッド『モア・ラヴ・レス・エゴ』


一言で言い表せば:アフロポップの在り方を高次元で表現してみせた。

アフリカ大陸全体を代表するという重荷を背負いながらも、ウィズキッドはプレッシャーに屈することはなかった。代わりに彼は実験的なトラックのコレクションを制作して、音楽制作に対する新しい、より成熟したアプローチを強調してみせた。ダンスホールからアマピアーノまで、母国を離れた移民のコミュニティで人気のサウンドを網羅しながら、音楽性を広げた『モア・ラヴ・レス・エゴ』は彼のサウンドを完璧なものにしている。

鍵となる楽曲:“Bad To Me”

『NME』のレヴュー:「アフロビートの代表的なヒットメーカーとして10年以上活動してきたウィズキッドが自身のサウンドを広げ、大きな成功を収めている」

18位 コンフィデンス・マン『ティルト』


一言で言い表せば:よりハードに、素晴らしく、ファストなオージー勢による肉厚な華麗なるセカンド・アルバム。

メルボルン界隈にある彼らのDIYクラブ、ザ・ファック・バンカーのライヴで試されたアルバムはどれもバンガーを生み出してきた。『ティルト』は2018年発表のデビュー作『コンフィデンス・ミュージック・フォー・コンフィデンス・ピープル』のバカバカしさに安定感のあるビートをミックスさせて、メンバーであるジャネット・プラネットとシュガー・ボーンズのステージ上でのキャラクターが肉付けされている。今夏にグラストンベリー・フェスティバルに出演した時には『NME』が「今年最もワイルドなツアー」と評したものを彼らは築き上げたのだった。

鍵となる楽曲:“Holiday”

『NME』のレヴュー:「エレクトロ・ポップを手掛ける彼らのセカンド・アルバムはより感情の込められたものとなったが、適切な箇所でのバカバカしさも残っている」

17位 プシャ・T『イッツ・オールモスト・ドライ』


一言で言い表せば:ヴァージニア州出身ベテラン・ラッパーは重鎮を引き連れて、その力強い活動をさらに長いものにしている。

2018年発表の傑作『デイトナ』に続く作品を作るにはどうすればいいだろう? プシャ・Tは『イッツ・オールモスト・ドライ』でそれを見事にやってのけた。ファレル・ウィリアムスとカニエ・ウェストが共同プロデュースしたパンチのある12曲のコレクションで、キング・プッシュことプシャ・Tはジェイ・Z、リル・ウージー・ヴァート、キッド・カディに声をかけて、自身のコーク・ラップのアンセムの最新型に命を吹き込むことになった。「みんなは自分がどこが違うのかをしっかりと見てくれていると思う」とプシャ・Tは5月に『NME』に語っている。「俺が黙りさえしなければ、『あいつらとは全然違う』と分かるはずだ」その通りだろう。プシャ・Tは今なお独自の存在であり続けている。

鍵となる楽曲:“Dreamin’ Of The Past”

『NME』のレヴュー:「プシャ・Tは自身のアートを新たな高みへと昇華させ、終わってしまったというところからは程遠いところにいることを示した」

16位 ハリー・スタイルズ『ハリーズ・ハウス』


一言で言い表せば:変幻自在のポップ・ヒーローはホームとは自分の気持ちのある場所だということを知った。

ハリー・スタイルズはソロ・サード・アルバムで今年最高の魔法の一つを披露してくれた。『ハリーズ・ハウス』に収録された心あたたまる内省的な楽曲はしっかりと構築されているが、難なく鳴らしているようにも聴こえる。それは28歳の彼が目も眩むような新たなロマンスを楽しみにしながら、自分自身を構成する要素を静かになぞっていくようだ。桁外れのエンタテインメントであり、誰をも受け入れる彼のライヴのカラフルな反骨精神が込められた本作では、数多くの彼の声、ひいては本当の彼自身が花開いている。

鍵となる楽曲:“Late Night Talking”

『NME』のレヴュー:「ハリー・スタイルズのサード・アルバムはまるで魔法のようだ。すべての瞬間、隅から隅のことが分かるまで定住したくなるアルバムになっている」

15位 ヤード・アクト『ジ・オーヴァーロード』


一言で言い表せば:リーズ出身のポスト・パンク・バンドによるデビュー作は評判通りで、エルトン・ジョンによる寵愛も続いている。

ヤード・アクトが2020年に発表してブレイクのきっかけとなった“Fixer Upper”はミニマルな土台の上でブレグジットを支持する登場人物を描いており、バンドを閉塞させる可能性もあった。しかし、ありがたいことに彼らはデビュー・アルバムで無限の可能性を提示することになった。“Payday”にはグルーヴのあるビートが詰め込まれ、“100% Endurance”はバンドにとって最も完成度の高い作品と言ってしまっていいだろう。エルトン・ジョンはこのアルバムを締め括る曲のリミックスに参加して、バンドとの親交を深めることになった。

鍵となる楽曲:“100% Endurance”

『NME』のレヴュー:「リーズ出身のバンドのデビュー作はヨークシャーで生まれ育つこととその中で出会った癖のある登場人物をワイルドに描いている」

14位 ジョックストラップ『アイ・ラヴ・ユー・ジェニファー・B』


一言で言い表せば:ロンドン発のデュオは眩いほど独創的なデビュー・アルバムで無数の魅力的な未来を生み出すことになった。

『アイ・ラヴ・ユー・ジェニファー・B』において、ポップ・ミュージックの構造を引き裂きたいというプロデューサーのテイラー・スカイの思いはヴォーカリスト/ヴァイオリニストのジョージア・エラリーによるクラシカルなソングライティングの美を追求したいという思いで完璧にバランスがとられている。ハリウッドのストリングス、60年代ポップ、ケイト・ブッシュの独自性など、ほぼ前人未到と言えるようなサウンドのランドスケープを2人は披露しているが、それはすべてハイパーモダンなスクランブル・マシーンを通してのものとなっている。それはこれまでの精神では想像もできなかったようなものだ。

鍵となる楽曲:“Concrete Over Water”

『NME』のレヴュー:「初期の音源で約束されていたあらゆる可能性はフル・アルバムで見事に結実し、消すことのできない足跡を残したようだ」

13位 チャーリーXCX『クラッシュ』


一言で言い表せば:メインストリームで抵抗を続けるアーティストはついに大胆で性急でありながらチャートを見据えたポップを作っている。

概してキャリアを通してチャーリーXCXはメジャー・レーベルによるチャート・ポップと微妙な関係を保ってきた。様々なメインストリームの要素をもてあそんだ後、実験的かつ急進的な方向へと進むためにそれらを切り捨てた。10代で結んだレコード契約に別れを告げるために『クラッシュ』で究極のセル・アウト作を作ることに乗り出したが、最終的な産物はもっと魅力的な作品になった。クリエイティヴ面での自立性をメタ的に追求しながらも、巨大なコーラスを兼ね備えたフック満載の猛攻となったのだ。

鍵となる楽曲:“New Shapes”

『NME』のレヴュー:「『クラッシュ』がチャーリーXCXのメジャー・レーベル・アーティストとしての死を意味するのであれば、なんて素晴らしいことだろう」

12位 テイラー・スウィフト『ミッドナイツ』


一言で言い表せば:ポップの女王はダンスフロアへと戻ってきたが、それは悲しみを湛えている。

テイラー・スウィフトの今のキャリアにおいては何であっても予想外なんて言葉は嘘のようになってしまうだろう。しかし、2020年発表の『フォークロア』と『エヴァーモア』という穏やかな連作の後、『1989』でやっていた単刀直入なポップ・ミュージックに戻ってきたのは新鮮だった。クラブで泣き、「彼にはメールしちゃダメ」とでもいうようなビートと告白的な歌詞は、ベッドについた時、誰もが思い当たるものだ。『ミッドナイツ』には洗練されたプロダクション、キャッチーなフック、彼女を今日の地位まで押し上げることになった弱さが盛り込まれている。

鍵となる楽曲:“Anti-Hero”

『NME』のレヴュー:「新たに獲得した自信がある。テイラー・スウィフトは自身のあらゆる側面を共有しても恥じることはない」

11位 ブラック・カントリー・ニュー・ロード『アンツ・フロム・アップ・ゼア』


一言で言い表せば:カルト的な名作になるであろうインディの壮大なる力作。

ブラック・カントリー・ニュー・ロードの1年ぶりとなる2枚目のアルバムは彼らの名を知らしめた冷笑的なポスト・パンクから一転、全方位的でロマンティックなインディ・ロックの傑作となっている。『アンツ・フロム・アップ・ゼア』でフロントマンのアイザック・ウッドは恋をして、苦悩を抱え、落ち込み、舞い上がる。彼の後ろで美しく演奏される興奮に満ちた音楽はそうした彼の思考の一つ一つを完璧に辿ってみせる。アルバムのリリース1週間前にアイザック・ウッドが脱退したという事実はこのアルバムをより特別な産物にしている。

鍵となる楽曲:“Basketball Shoes”

『NME』のレヴュー:「ブラック・カントリー・ニュー・ロードは自身の音楽的技能や独創性をまったく犠牲にすることなく、親しみやすいサウンドへと移行して、従来型な曲の構造を取り入れている」

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