10位 プライマル・スクリーム(8/19 MOUNTAIN STAGE)

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ソニックマニアで、プライマル・スクリームで、『スクリーマデリカ』となると、2011年にもこの組み合わせはあったわけだが、今回は少し違っていて女性シンガーなどは帯同しておらず、通常メンバー編成であの名作の曲を披露していくというものとなっていた。なので、再現というよりは再解釈という言葉のほうが近いもので、1曲目の“Movin’ On Up”からそれは顕著だった。ステージのボビー・ギレスピーは『スクリーマデリカ』仕様の赤のスーツを着ていて、その姿は依然として眩しい。序盤で早くも“Come Together”が披露されるなど、名曲の数々が投下されていくわけだが、今回のライヴを観て一番個人的に思ったのは、プライマル・スクリームはボビー・ギレスピーのバンドであると同時に、アンドリュー・イネスのバンドでもあるよなということだった。彼のギターはこのバンドを支えてきた大きなピースとなっている。その印象は最後の“Loaded”、“Rocks”まで変わることはなかった。

9位 イージー・ライフ(8/21 MOUNTAIN STAGE)

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SEに乗って登場したフロントマン、マレー・マトレーヴァーズのトップスの肩にはユニオンジャックが入っている。1曲目に演奏された“Pockets”から彼はイングランド中部出身である自分たちのうだつの上がらなさと、遠く離れたどこかへの夢想をあくまでゆるく言葉にしていく。この日はそんなイージー・ライフの魅力を凝縮したセットリストだったと言っていい。初期のシングル“Sunday”や新作からの“Beeswax”、シングル“Frank”のBサイドだった“OJPL”など、キャリア全体に及ぶ楽曲を披露していく。ベーシストやドラマーがブレイクになって隙があると、ステージの最前部まで出てきて観客を煽るのも実に彼ららしい。“skeletons”ではフロア全体に広がる巨大なジャンプを巻き起こし、皮肉に満ちた“Dead Celebrities”ではセンチメンタルなグルーヴを紡いでいく。最後はもちろん代表曲“Nightmares”だったが、もう少しディープな部分も観てみたかった。

8位 セイント・ヴィンセント(8/20 SONIC STAGE)

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今年のフジはジャック・ホワイトがヘッドライナーだったが、サマーソニックにおけるギター・ヒーローと言ったらこの人だろう。しかし、これ見よがしな人ではない。『NME』も2014年のアルバム・オブ・ザ・イヤーに選出したセルフタイトル作からの“Digital Witness”でライヴは始まり、続く“Down”ではソウルフルな展開に。その衣装も含めて、あくまで洗練されたエンタテインメントとして昇華させるのが彼女の彼女たる所以だろう。“New York”、“Los Angeless”、“Cheerleader”といった珠玉の楽曲を演奏しながらも、最新作『ダディーズ・ホーム』の“Pay Your Way in Pain”では熱の込もったシャウトが炸裂し、“Fear the Future”で勢いを上げながら、デビュー作からの“Your Lips Are Red”ではギタリストとしての彼女をしっかりと見せてくれる。ギター・ソロが素晴らしかった“Live in the Dream”を経て、最後に演奏された“The Melting of the Sun”で連れて行ってくれのはゴスペルの世界だった。

7位 マネスキン(8/20 MARINE STAGE)

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面白かった。ヴォーカルのダミアーノ・デイヴィッドは「日本はすごく静かだと誰かが言っていたけど、あれは嘘だ」と言っていたが、大観衆のマリンスタジアムは大盛り上がりだった。今年のサマーソニックのハイライトの一つと言っていいだろう。1曲目の“Zitti E Buoni”から巨大なハンドクラップを巻き起こし、“In Nome Del Padre”に続いて披露された“Mammamia”ではダミアーノ・デイヴィッドがステージに倒れ込む。そして、もちろん世界中で大ヒットになった“Beggin’”のカヴァーは大歓声をもって迎えられる。その後も手を緩めることはなく、“For Your Love”では自らに水をかけ、“Touch Me”ではフロアに降り、ハード・ロックでもパンクでもない無垢なサウンドを叩きつけていく。“I Wanna Be Your Dog”に続いて、最後はもちろん“I Wanna Be Your Slave”で、「アリガトウ」と繰り返すダミアーノを観ながら、ロックンロールに選ばれるかどうかは今後の彼らが決めるんだろうと思った。

6位 ミーガン・ザ・スタリオン(8/21 MARINE STAGE)

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セーラー服姿で登場した瞬間に爆笑してしまった。マリンスタジアムが少し小さくなったように思ったのは自分だけだろうか。最初のミックステープ『フィーヴァー』に収録の“Realer”から始まったステージは終始ド迫力で、お尻を振るお得意のダンスが早速登場して、次の曲では男性と女性で構成されたダンサーも登場する。サマーソニックの翌週に行われたレディング&リーズ・フェスティバルではヘッドライナーを務めるなど、女性ラッパーとして確固たる地位を築いてきた彼女だが、“Freak Nasty”を初めとして、“Sex Talk”から2020年を象徴する曲となった“WAP”という流れまで、キャリア全体に及ぶセットリストは、彼女が抑圧的だった社会に対していかに本音を語ってきたかという証明になっている。後半では初期のヒット曲である“Hot Girl Summer”から8月にリリースしたばかりの新作『トラウマジン』から“Her”を投下してみせ、最新の現在地までを見せてくれるステージとなっていた。

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