マイ・ケミカル・ロマンス 『ザ・ブラック・パレード』(2006)

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マイ・ケミカル・ロマンスの音楽キャリアの多くの部分が、精巧なコンセプト・アルバムによって占められているとすれば、この3枚目のアルバム『ザ・ブラック・パレード』は最もよく構成された1枚といえるだろう。彼らの分身である「ブラック・パレード」というバンドの演奏とともに、ザ・ペイシェント(患者)という主人公についての物語と、近づく死を前にしての出来事が綴られている。


フランク・シナトラ 『ウォータータウン』(1970)

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フランク・シナトラのアルバムの中では、奇妙で商業的に振るわなかった1枚であるが、『ウォータータウン』では、伝説のシンガーが、アルバムの11曲を通して、訥々と妻に捨てられた男の悲しい物語を語っている。


アーケイド・ファイア 『ザ・サバーブス』(2010)

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バンドのリーダーを務めるウィン・バトラーは、アーケイド・ファイアの3枚目のアルバム『ザ・サバーブス』について次のように語っている。「このアルバムは、郊外へのラブレターでも郊外を批判するものでもない。郊外からの手紙なんだ」。アルバムの中で彼らは、些細なことを大切に思い、普通の人が普通に抱える日々の悩みを、世界の一大事のように大切に扱っている。


フォクシジェン 『…アンド・スター・パワー』(2014)

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架空のバンド、スター・パワーへと変貌を遂げながら、カリフォルニアの変わり者、フォクシジェンが、近年で最も純粋な精神世界のアルバムを作成した。4幕からなる2枚構成のアルバムで、叫び声やサンプリング音やその他、いろんな音がごちゃ混ぜになったものを、狂気の世界に落ちていくようなサウンドがまとめている。


ザ・フー 『四重人格』(1973)

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イギリスが生んだ紛れもないコンセプト・アルバムの雄であるザ・フーのアルバムの紹介は、本記事で2枚目となる。今回のアルバムでは、彼らはジミーというモッズ青年へ目を向け、主人公である彼が自分の中の真理を探し当てようとしたり、自分の人生との向き合い方について切磋琢磨する姿を描いている。このアルバムも先に紹介した『トミー』と同様に映画化されている。


クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ 『ソングス・フォー・ザ・デフ』(2002)

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アルバム全体を通して、曲同士の繋がりを感じさせない『ソングス・フォー・ザ・デフ』だが、このクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの3作目となるスタジオ・アルバムでは、リスナーをカリフォルニアの砂漠へのドライブに、道中でチェックしたラジオ局から流れる曲と共に、自由に連れ出してくれるような感覚がある。


スモール・フェイセス 『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク 』(1968)

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A面は、“Lazy Sunday”や“Song Of A Baker”のようなかなりノーマル(比較的、ではあるが)なポップソングが中心であるが、B面になるとハピネス・スタンの奇妙な物語が語られている。それはスパイク・ミリガン的とでも言おう、か難解な形式で語られている。さすがスモールフェイス、素晴らしく変態的だ。


スフィアン・スティーヴンス 『イリノイ』(2005)

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アメリカの50州それぞれに捧げるアルバムを作ろうとしたスフィアン・スティーヴンスの計画は頓挫してしまったようだ(『イリノイ』は『ミシガン』に次ぐ、2枚目にして最後のアメリカに捧げるアルバムとなった)。少なくとも彼は、アメリカ中西部を語ることで、そこが意味のある場所以上のものにした。その場所やそこに住む人々、それがイリノイそのものなのだ。


プリティ・シングス 『S・F・ソロウ』(1968)

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史上最初のロック・オペラのうちの一つして挙げられる『S.F.ソロウ』は、退屈な人生を送っていた主人公のセバスチャン・F・ソロウが、困難を乗り越えて、自らの潜在意識の中で多くのことを学ぶようになる姿が描かれている。


フランク・ザッパ 『ジョーのガレージ』(1979)

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フランク・ザッパは、このアルバムについて、「政府が音楽を排斥しようとするちょっとしたくだらない物語だよ」と語っているが、『ジョーのガレージ』は、官僚主義と検閲に対する個人という立場を語った空恐ろしい物語となっている。フランク・ザッパの個性的な折衷主義スタイルで粉飾されているとはいえ、決して退屈させない1枚だ。


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