05位 クルアンビン(7/25 GREEN STAGE)

Photo: Jackie Lee Young


贅沢な時間だった。藤井風のパフォーマンスの余韻が残されたステージをクルアンビンのグルーヴが包み込む。バックの映像には月が大きく映し出されている。それが時間と共に欠けていく。そうして時の経過を視覚的に感じながら、その音楽に身を委ねていく。クルアンビンというと淡々と楽曲を披露していく印象があるけれど、ギタリストのマーク・スピアは“Dern Kala ii”ではステージ上手の端まで来てくれる。ローラ・リー・オチョアは鮮やかな赤のドレスで観客の視線を惹きつけ、グルーヴを土台で支えるのはドラマーのドナルド・“DJ”・ジョンソンだ。“Pon Pón”や“White Gloves ii”といった楽曲でさらにグルーヴで時の流れを変化させながら、クール&ザ・ギャングの“Summer Madness”のカヴァーも披露しつつ、さらに大きなサプライズは終盤に演奏された“Firecracker”のカヴァーで、日本に向けたカヴァーだったと思うのだけど、それも含めてフジロックとの相性は素晴らしい化学反応を見せていた。

04位 ターンスタイル(7/24 GREEN STAGE)

Photo: Masanori Naruse


ライヴを通して大半で両脇のヴィジョンに映し出されていたのは観客の姿だった。狭義のハードコアの定義に縛られるのではなく、出世作『グロウ・オン』でサウンドの幅を広げ、グラミー賞を受賞するバンドにまでなった彼らだが、それを恐れず成し遂げられたのは目の前の観客こそが自分のハードコアだと信じられたからだろう。“Never Enough”から瞬間沸騰した“T.L.C.”のモッシュも、“I Care”でのシンガロングも、“Don’t Play”でのジャンプも、“I Don’t Wanna Be Blind”でのコール&レスポンスも、形だけではなく、ブレンダン・イェーツの思いと共に観客に広がっていく。それを可能にしているものとして瞬発力の高いブレンダン・イェーツの声によるところは大きくて、“Sole”が始まったあたりからライヴはクライマックスに入っていく。その後も“Holiday”、“Mystery”、“Blackout”といった珠玉の楽曲が投下されて、最後の“Birds”の頃には果たしてこの輪がどこまで広がるのか、これまで以上にワクワクしている自分がいた。

03位 ベースメント・ジャックス(7/25 GREEN STAGE)

Photo: Taio Konishi


UKのダンス・ミュージックの重鎮として、その懐の深さを見せてくれたステージだった。「会場のみなさま、ベースメントジャックスの世界へようこそ」という日本語によるアナウンスと共にライヴは“Good Luck”で幕を開け、“Bingo Bango”が続く。序盤からエンジン全開のセットリストで、“Raindrops”では花弁のような奇妙な衣装をまとったダンサーが登場し、“Do Your Thing”ではダンサーによるアクロバットまで飛び出し、目でも存分に楽しませてくれる。その後に続くのが“Red Alert”というのだから、GREEN STAGEには大きなダンスの光景が広がっていく。中盤に披露された“Romeo”では観客から大きなコール&レスポンスの声が上がり、サイモン・ラトクリフによるギターから始まった“Rendez-Vu”ではハンドクラップが広がる。“Oh My Gosh”が披露される頃にはすっかりステージを掌握していて、最後はもちろんアンセム“Where’s Your Head At”で圧巻の横綱相撲とも言える取組を締めくくっていた。

02位 マッシヴ・アタック(7/26 GREEN STAGE)

Photo: Taio Konishi


ライヴは夥しい数字による導入映像と“In My Mind”を経て、自己と知覚への根源的な問いを投げかける“Risingson”という流れから始まった。続いてロバート・デル・ナジャがエリザベス・フレイザーを紹介して、“Black Milk”が披露されるが、身体や欲望にまつわる映像の情報量たるやすさまじい。“Girl I Love You”では例の顔認証技術を使った演出が登場し、K-POPの起源として“Regret of the Times”のカヴァーも披露される。その後も楽曲は映像的演出とセットで披露され、その内容に圧倒されるが、エリザベス・フレイザーによる“Song to the Siren”やデボラ・ミラーによる“Safe From Harm”の歌声は切実な願いのように響き、何の映像的演出もなく披露されたのが“Unfinished Sympathy”と“Teardrop”だった。すべてこのステージのために日本語に翻訳・改訂された映像が突き付けたものは強烈な内容だったが、こうした表現が許される場がフェスとして日本にも存在していることに何より安堵感を覚えた。

01位 ザ・エックス・エックス(7/24 GREEN STAGE)

Photo: Masanori Naruse


この3人が再集結した理由と必然性が伝わってくるライヴだった。ステージに現れたメンバーがそれぞれ楽器を手に中央に集まると、3人のシルエットが浮かび上がる。そうして鳴らされるのは“Crystalised”だ。そこからは研ぎ澄まされたアンサンブルが披露されていく。“Say Something Loving”に入ってもその印象は変わらず、水墨画のような世界だと思ってみていると、“Angels”からはヴィジョンの映像に色が入り始める。ここからはより生身の3人の姿が披露されていくが、その舵を握るのはやはりジェイミーだろう。“Fiction”、“I’ll Take Care of U”、“Shelter”とノンストップで繋いでいき、“Infinity”や“VCR”では見事にハイライトを描いてみせる。ここからはそれぞれのソロの曲も披露されたが、それぞれ自分のキャリアもある。けれど、ザ・エックス・エックスに戻ってきたのは、この3人が民主的に音を鳴らすことでしか実現しない美しさがあることを分かっているからだろう。だからこそ、最後に演奏された“Intro”は原点に立ち返るようで、胸を打つものがあった。

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