15位 ジョーイ・ヴァレンス&ブレイ(7/25 WHITE STAGE)
ベースメント・ジャックスから駆けつけると、早速“Hooligang”でモッシュピットを作るように促している。ビースティ・ボーイズを引き合いに出されることも多い、ペンシルベニア発のデュオだが、オールド・スクールのヒップホップを臆面もなくジャンキーなトラックに乗せて繰り出すのが最大の魅力で、“Startafight”や“Like A Punk”といった曲でもその本領が発揮されている。よもやその佇まいはアメコミの世界から口の減らない郊外の若者が飛び出してきたようで、その正統性を疑問詞する声もあるが、意味や歴史性も表面上は解体されたように見える現代のソーシャル空間とは呼応していて、何よりこうした音楽性をやりながら、根はいい人たちなのが伝わってくるところに好感が持てる。音源ではジェイペグマフィアが参加している“Wassup”、アミル・アンド・ザ・スニッファーズの“Security”のカヴァーも挟みつつ、最後はブレイクのきっかけとなった“Punk Tactics”と二度目だったという“The Baddest”で鮮烈な印象を残していった。
14位 ケリー・リー・オーウェンス(7/25 TRIBAL CIRCUS)
エレガントという形容が実にしっくりくるアーティストだと思う。セイント・ヴィンセントやビョーク、そしてザ・1975のジョージ・ダニエルの寵愛を受けてきたケリー・リー・オーウェンスだが、そのパフォーマンスはそうした評判に違わないものだった。昨年11月にリリースされた最新EP『ケリー』に収録されている“Ascend”を交えつつ、徐々にフロアをあたためていった彼女だが、中盤にはこの日GREEN STAGEに出演していたベースメント・ジャックスの“Where’s Your Head At”で一気に場内を沸かして、それを自身のサウンドへと昇華させていく。その後もフェイスレスの“We Come 1”といった強力なバンガーが投下されるのだが、決して陳腐にならないのは、それが飛び道具ではなく、自身の文脈に織り込まれているからだろう。自身の“Higher”でピークを描きつつ、終盤はレディオヘッドの“Everything in Its Right Place”やアンダーワールドの“Born Slippy (Nuxx)”あたりも飛び出したが、最後までその華麗さが消えることはなかった。
13位 モグワイ(7/26 GREEN STAGE)
モグワイがフジロックフェスティバルに出演するのは7度目になるという。まさにキャリアを共に歩んできたような格好だが、その出発点に立ち返るようにファースト・アルバムの“Yes! I Am a Long Way From Home”でライヴは幕を開けた。次は昨年リリースの最新作から“Hi Chaos”で、強烈な高音のディストーションが迫ってくる。そして、スチュアートがベースに持ち替えて始まったのは“New Paths to Helicon, Pt. 1”だ。もう何度もライヴを観てきたアーティストだけれど、観るたびに痛感するのはそのパフォーマンスが有する説得力だ。すっかりライヴの定番曲になったヴォーカル曲“Ritchie Sacramento”も、ライヴが後半にさしかかったところで披露された“Mogwai Fear Satan”も、その音がしっかりと身体に入ってくる。“Remurdered”ではメンバーから笑顔がこぼれる場面もありつつ、最後を締めくくったのが最新作からの“Lion Rumpus”だったことも含めて、30年の歩みの大きさを感じるステージだった。
12位 ロイル・カーナー(7/24 GREEN STAGE)
UKではフェスのヘッドライナーも務めるロイル・カーナーだが、そんな素振りはまったく見せない。ライヴはドラム、ベース、ギター、キーボードという生バンドと共に“All I Need”から始まったのだが、ひれ伏すように日本の歓声に応え、“Plastic”が終わったところで「私の名前はロイル・カーナーです」と丁寧に自己紹介してみせる。その作品群から誠実な人柄は感じていたが、その姿勢は全編にわたって貫かれていて、それが自身の音楽と結びついていた。前半はトム・ミッシュとのコラボレーションとなる“Damselfly”でピークを描き、“Desoleil (Brilliant Corners)”ではサンファへの歓声を求めつつ、圧巻だったのは自身の子どもたちに捧げた“Homerton”で、長尺のピアノ・ソロを挟みながら、“Nobody Knows (Ladas Road)”へとなだれ込んでいく。リリックをオーガニックに昇華しているからこそ、その人間性が掛け値なしに伝わってくるステージは雄弁なもので、その印象は最後の“A Lasting Place”まで途切れることはなかった。
11位 ミツキ(7/26 WHITE STAGE)
インディ界の寵児から世界的なティーンの語り部として活躍の在り方を広げているミツキだが、その核心にあるのはミヤワキ・ミツキという人の生々しい感情が乗った言葉だと改めて痛感したライヴだった。観られたのは途中からだったが、ステージの両脇には自身の部屋を模したセットが配置されており、そんな場で“I Want You”のような曲が披露されていく。長年のプロデューサーであるパトリック・ハイランドといったメンバーの紹介を経て、“Francis Forever”や“Stay Soft”が演奏されていくのだが、バックではモノクロ映画の映像が使われていて、それが一層、詞の世界を引き立てていく。“A Horse Named Cold Air”や“Two Slow Dancers”では祈りのようなミツキの声が苗場に響き、最新作からの“Lightning”を挟んで披露されるのは“My Love Mine All Mine”だ。“That White Cat”の前に「私にこういう生きがいをくれて、ありがとうございます」と語ったミツキだが、まさに全盛期を迎えていることを証明するようなライヴだった。
Copyright © 2026 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.



