10位 アメリカン・フットボール(7/26 RED MARQUEE)

Photo: Hachi Ooshio


間違いのないバンドだと思う。バンドとして活動を続ける動機も、たまに出してくれる作品も、ライヴも間違いがない。そして、この日は最初のアルバムから25年以上を経ても、それがまったくブレることがないことを見せつけてくれるライヴだった。この日のセットリストの中心になったのは5月にリリースされた最新作で、トランペットを使った“The One With the Piano”で幕を開け、“Patron Saint of Pale”、“Blood On My Blood”とアルバム・ジャケットと同様に赤のイメージでライヴは進んでいく。ギアが変わったのは前作の“I Can’t Feel You”からで女性コーラスが大きな存在感を発揮して、それは“Uncomfortably Numb”にも受け継がれていく。そこから中盤では“Honestly?”や“Never Meant”といった楽曲が大歓声で迎えられることになるのだけど、最後に演奏された“No Feeling”や“Bad Moons”といった最新作の楽曲がそのクオリティでもってしっかりとライヴのハイライトを担っていた。

09位 バッドバッドノットグッド(7/25 FIELD OF HEAVEN)

ステージのバックに映像を投射するために照明は暗く落とされている。まさにフジロックの大自然の作る闇に囲まれながらのライヴとなったのだが、そのプレイヤビリティに完全に持っていかれたライヴだった。イントロを経て、地球が見えてくる映像と共に「BadBadNotGood」という文字が映し出されると、歓声がわき起こる。そして、自転する地球が大写しになったところで始まったのは“Weight Off”だ。この時点でドラムのサウンドが素晴らしい。スペースがあるのに渇いていて、強度も申し分ない。きらびやかなシンセの音色から始まった“Speaking Gently”、ケイ・マーフィーによるEVIの素晴らしいプレイから突入した“Love Proceeding”、“Confessions”ではリーランド・ウィッティのサックス・ソロもたっぷりと披露される。後半に差し掛かるところでJ・ディラの“Rico Suave”のカヴァーも披露されたが、その頃にはジャンルを横断してライヴ・ミュージックの粋を詰め込んだこのグループにすっかり魅了されていた。

08位 ニーキャップ(7/26 GREEN STAGE)

Photo: Taio Konishi


メンバーがステージに出てくる前からスクリーンには「フリー・パレスチナ」の文字が大きく映し出される。“Éire go Deo”の音源が流れ、まずステージに出てきたのはDJプロヴィだ。観客を煽りつつ、モ・カラとモウグリ・バップが姿を現すと、“Smugglers & Scholars”に入っていく。その次には早くも“Better Way to Live”が披露されつつ、“Sick In The Head”で一つ温度を上げると、「アリガトウゴザイマス」と日本語で感謝の言葉を伝えてみせる。その後も“Get Your Brits Out”や“No Comment”といった曲が苗場に響き渡ったのだが、“Sayonara”の後には言葉の通じない日本でライヴをできることの特別さについても触れていて、ニーキャップというグループはあくまでそこら辺の兄ちゃんの佇まいを崩さない、その人となりが魅力であることを再認識する。後半は“Liars Tale”に“H.O.O.D”や“THE RECAP”といったアンセムが投下されていく展開になったが、ライヴの後に残ったのは彼らの人柄にある清々しさだった。

07位 アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ(7/26 FIELD OF HEAVEN)

Photo: Ruriko Inagaki


すさまじい混雑が予想されたので、ジョーディ・グリープを横目に早めに向かったのがアンジーヌ・ド・ポワトリーヌだった。楽器を構えた2人が手で三角形を作って発光しながら始まったのは“Angor”で、観客側にはサイコロが投げ入れられたりしつつ、感触を確かめるように演奏を積み上げていく。2曲目は“Yor Zarad”で観客の熱量を上げつつ、この日一番彼ららしかったのはマイクロトナルならではのスケールをループ・ペダルで重ねていく“Tamebsz”だったかもしれない。このサイケデリックなナンバーが10分を優に超える形で披露される。その後は“Mata Zyklek”でハイライトを生み出しつつ、“Fabienk”では観客を巻き込んでハンドクラップを広げ、最後に披露されたのは“Sherpa”だった。ロックという音楽が成熟したことで、その快楽的フレーズを分解してジャムとループによって組み合わせ、あくまでお茶目に提示してみせるのが彼らの魅力だが、FIELD OF HEAVENにこれだけの人を集めた時点でその意義は大きかった。

06位 トモーラ(7/25 WHITE STAGE)

Photo: Masanori Naruse


思わず膝を打ってしまうようなライヴだった。音源を聴いてトモーラがオーロラの声を多角的に使ったエレクトロニックなユニットだということはもちろん理解していたのだけれど、このプロジェクトでケミカル・ブラザーズのようなフィジカルなライヴをできる確信がトム・ローランズにはあったのだろう。それを実感し始めたのは“Starvation”のリミックス辺りからだろうか。そこにケミカル・ブラザーズでオーロラとコラボした“The Universe Sent Me”が繋がっていくことで、その起源が辿られる。“Somewhere Else”ではこのプロジェクトのキャッチーな側面を見せながら、“Eve of Destruction”ではアダム・スミスによる映像を堪能させてくれる。ここで「どうもありがとうございます」と日本語でオーロラが挨拶するが、オーロラの日本語が格段に上手くなっている。“I Drink The Light”、“Come Closer”でハイライトを描き出すと、オーロラは日本語で「フジロックで歌うことは私の夢でした」と語っていた。

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