Photo: 宇宙大使☆スター

NME Japanでは今年のフジロックフェスティバルでベスト・アクトの1〜20位を選んでみました。とはいっても、多くのアーティストが出演するフジロックです。すべてのアーティストを観ることはできません。なので、観られた範囲の中で、あくまで独断で、編集部で観たいと思ったアーティストのなかから、議論を重ねて、このランキングを作成してみました。みなさんのベスト・アクトとぜひ較べてみてください。

20位 アーロ・パークス(7/24 WHITE STAGE)

WHITE STAGEに着くと、トレードマークと言える浮遊感のあるサウンドスケープに空間全体が包まれている。夕刻を迎えて、ステージが闇に包まれていく、この時間帯においては絶好のアクトと言えるかもしれない。バンド編成は独特で、ドラマーはおらず、ギターとベースを主にそれぞれ担当する二人がどちらもキーボードを駆使して、エレクトロニック・ミュージックの部分も担当している。序盤の“Jetta”ではそうした編成を活かして、後半に四分打ちへと入っていくことでポップからダンス・ミュージックへと一気に熱量を上げていく。その次には早くも代表曲である“Eugene”が披露され、中盤では一緒に歌ってほしいと“Caroline”も披露されたのだが、この日のステージの醍醐味はここからにあったように思う。その役割を担ったのは最新作の楽曲で、“Blue Disco”でハンドクラップを巻き起こし、“2SIDED”ではブルックリンでのナイトライフを経て、そのアイデンティティを失わなかった今の彼女を感じることができた。

19位 スネイル・メイル(7/24 RED MARQUEE)

多くの人が詰めかけたRED MARQUEEのステージのヴィジョンには最新作『リコシェ』のジャケットが映し出される。それが指し示していたように、この日のライヴは現在進行系のスネイル・メイルを提示するものだったと思う。最新作と同じようにライヴは“Tractor Beam”で幕を開け、アコギの響きが印象的な“My Maker”が続いていく。スネイル・メイルことリンジー・ジョーダンのソングライティングの魅力は抑制されたメロディーの中にキラリと光るフックが登場する部分で、そうなるとバンドのアンサンブルが大事になってくるのだけど、序盤はまとまらない印象を受ける。しかし、最新作からのリード・シングル“Dead End”あたりから、少し変わってきて、そこで披露されたのがデビュー作からの“Heat Wave”だった。終盤にはキャリアを代表する楽曲が披露されることになったこの日のライヴだが、派手な演出はなくとも素晴らしい曲を書き続けるという彼女の姿勢が鮮明に出ていたステージだった。

18位 クアデカ(7/25 RED MARQUEE)

華々しいホーンのサウンドに乗ってクアデカことベン・ラスキーがステージに登場して、そのまま“Dark Magic”に突入していく。ステージ上にはギター、キーボード、ドラムという3人のサポート・メンバーがいて、2曲目の“Dustcutter”が終わると、「フジロック、調子はどう?」と観客に声を掛けながら、早速彼らのことを紹介していく。初期の音源が「YouTubeラップ」とも評されたクアデカだが、個人的にはヒップホップを当然の言語として持つ世代のベッドルーム・ポップだと思っていて、それがライヴでどんな姿を見せるか、楽しみだったのだけど、ベン・ラスキーはアグレッシヴだ。“Tell Me A Joke”では手を左右に振るように観客を導きながら、前半で早くも“Godstained”も披露されていく。直前にリリースされた新曲“Hell of a time”もライヴを意識した楽曲で、彼ならではのノイジーなサウンド・テクスチャーとその繊細さの両立という点で新たな可能性を見せてくれたステージだった。

17位 ザ・ベス(7/25 RED MARQUEE)

Photo: Ruriko Inagaki


2018年にカーパーク・レコードから鮮烈なデビューを飾ったザ・ベスだが、ようやくフジロックに初登場ということになった。オープニングを飾ったのは最新作からの“Straight Line Was a Lie”で、そこに“No Joy”が続いていく。“No Joy”が終わったところで「よろしくお願いします」と日本語で挨拶をして、早くもファースト・アルバムより“Future Me Hates Me”が披露されていく。しかし、思えばザ・ベスというのは最初から完成されていたバンドだったと思う。素晴らしいコーラス・ワークとキャッチーなソングライティングによって人里離れた桃源郷のようなサウンドを鳴らしてきた彼女たちだが、4枚のアルバムを経て、それはライヴという場でも完成形になりつつある。“Knees Deep”や“Jump Rope Gazers”といった珠玉の楽曲が抜群の安定感で披露されていく。RED MARQUEE後方の林の人たちに声を掛けた後、終盤で披露された“Little Death”や“Expert in a Dying Field”でもその安心感は変わらなかった。

16位 ザ・レモン・ツイッグス(7/26 RED MARQUEE)

GREEN STAGEでその人柄が滲み出ていたドノヴァン・フランケンレイターのパフォーマンスを観た後に向かったのがザ・レモン・ツイッグスだった。ライヴの本編は軽快な“My Golden Years”で幕を開け、シングルのみでリリースされた“I’ve Got A Broken Heart”が続いていく。“I’ve Got A Broken Heart”ではイントロでブライアン・ダダリオがジャンプを決めるが、演奏がグラつくことはない。ザ・レモン・ツイッグスについては作品を重ねるにつれて、その匠の技には磨きをかけつつも楽曲はシンプルでストレートになってきている印象があるのだけど、それがライヴにも反映されている。1時間のセットで披露されたのは実に20曲で、饒舌に語ることはなく、楽曲を畳み掛けていく。前半も、後半も大きな割合を担ったのは今年5月にリリースされた最新作『ルック・フォー・ユア・マインド!』で、駆け抜けるようにそのステージが終わってみれば、この時間だけRED MARQUEEがタイムスリップしていたかのようだった。

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