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ホールは2008年にユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで起きた火災で多くの音源を焼失したユニバーサル・ミュージックに対して起こしていた訴訟を取り下げたことが明らかになっている。

火災による損害の状況は今年になって初めて明らかにされ、これに対して複数のアーティストがユニバーサル・ミュージックを相手取って集団訴訟を起こしていた。

今回、訴訟の原告の一組だったホールはバンドのマスターテープが焼失していなかったことが判明したため、訴えを取り下げたことが明らかになっている。

これを受けてユニバーサル・ミュージックは声明の中で次のように述べている。「先月、原告の弁護団は、彼らのクライアントが実際に2008年のNBCユニバーサル・スタジオズの火災で大きな被害を受けたかどうかさえも知らないまま、性急に無益な法的要求を仕掛けてきたのです。UMGでは専門の国際チームが所属アーティストや彼らの代理人と直接やり取りしながら、我々の持っている資産及び焼失した可能性のある資産に関して正確な情報を提供するべく積極的に取り組んでいるところです」

「私たちの取り組みはまだ完了していませんが、今回の訴訟で名前の出たアーティストの多くは、2008年の火災でオリジナル・マスターを失っていなかったことがすでに確定しています。また、原告の弁護士たちが今後もこうした事実無根の要求を続けたとしても我々は所属アーティストに対して完全な透明性を確保する努力を怠るつもりはありません」

原告側の弁護士の一人であるエド・マクファーソンは、ユニバーサル・ミュージックの声明に対し次のような反応を寄せている。「いやいや、そんなに褒められたものじゃありません。UMGは、アーティスト側には基本的に何も焼失していないと言っておきながら、11年経った今になって何が焼失したのか実際に調査をやっているという有様なのです。11年前、火災で倉庫とその中のものが全て破壊された時点で(1)UMGが彼らが保管しているマスターの目録を事実に基づいて作成していれば、(2)UMGがその専門の国際チームを作っていれば、今回の調査もそれほど大変な作業にはなっていなかったはずです」

「それから『完全な透明性』とおっしゃるなら、(1)なぜ今回のNBCの訴訟で使われた法廷文書の大半が編集済みのものであったのか、(2)なぜ損失の査定方法を示す書類などを編集せずに原告側に提供しようとしなかったのか、(3)なぜ裁判での証拠開示手続きを11月4日まですべて保留するように申請したのか、こうした疑問にUMGは答えるべきでしょう」

『ヴァラエティ』誌によれば、サウンドガーデンやスティーヴ・アール、そしてトム・ペティや2パックの遺産管理団体の4組のアーティストが現在も訴訟を続けているという。彼らのマスターが火災で失われたかは今のところ明らかになっていない。

今回の訴訟は「マスター・レコーディングの損失によりUMGが受け取った示談金と保険金の50パーセント、その示談金と保険金によって補償されない損失額の50パーセント」の支払いを要求している。原告は、ユニバーサル・ミュージックがマスターの保護を怠ったこと、マスターが「破損、乱用、破壊、浪費、紛失、盗難といった被害を受けないようにするための適正な措置」を取らなかったこと、マスターが「乱用・悪用があった場合の迅速な公表」を怠ったこととを主張している。

今年6月、『ニューヨーク・タイムズ』紙はニルヴァーナ、R.E.M.、ホール、ベック、サウンドガーデン、ジャネット・ジャクソン、ナイン・インチ・ネイルズといったアーティストのマスターテープが2008年6月1日の火災で失われたと報じていた。

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