LCDサウンドシステムのフロントマン、ジェームス・マーフィーが、ニューヨークの地下鉄を舞台に新しいプロジェクトを立ち上げることが明らかになった。各地下鉄の駅の改札機ごとに異なる発信音が出るようにし、「改札機シンフォニー」を奏でたいという。

マーフィーがこの計画を最初に公表したのは2013年だが、いよいよその実現に向け、オランダのビール製造会社ハイネケンと提携したことを明らかにした。

彼は以前、このプロジェクトについてこう語っていた。「僕はこれまで14年かけて音楽を奏でる地下鉄の改札機の実現に力を注いできたんだ。ニューヨークの全ての駅にそれぞれの音階を割り当てるんだ。そしたら、今の子どもたちが大人になった時、例えばある音を聞いて『これはユニオン・スクエアだな』なんていう話をするようになるってわけだ」

また今回のプレスリリースで次のようにコメントを寄せている。「ニューヨークは美しく、ユニークな文化を持った素晴らしい街だ。ここに住むためであれば混雑も暴動も騒音もいとわない―そんなこの街の住民にとって、ささやかな音のプレゼントが癒しになればと考えた。僕は改札機から生じる不協和音をユニークな癒しの音楽に変えたいんだよ。取るに足らないことのように思えるかもしれないが、核心を突いた良いアイデアだと思う。僕自身も我が街と呼ぶニューヨークをより素晴らしい街にできる画期的な方法さ」

マーフィーは夏の終わりまでに、新しい音を奏でる最初の改札機を導入したいという目標を掲げている。プロジェクトの詳細は以下のトレーラーで確認することができる。

しかしながら、ニューヨーク情報のブログ「ゴッサミスト」によると、 ニューヨーク州の公共輸送機関を運営する機関、MTAはこのプロジェクトの実現を否定しており、広報担当者は次のようにコメントしている。「この計画については、マーフィー氏から直接話を聞いております。しかし、何度も本人にお伝えしたように実現できないのです。改札機の音はアメリカ障害者法(ADA)に基づいたものであり、視覚障害者にとって不可欠なもののため手を加えるわけにはいきません。ましてやアートのために改札機を改造し、その間使えなくなってしまうというのはリスクが高すぎます。(個人的にはこのプロジェクトは良いアイデアだと思っています。しかし1日600万人の利用者を抱える立場としては、許可を出すことはできないのです)。地下鉄構内での撮影と同じで、簡単に許可することはできませんし、許可するつもりもありません」

一方、マーフィーはニューヨークにワインバーを開店させた。お店の名前は「フォー・ホースメン」というもので、妻のクリスティーナ・トプソーと共に開店した。ブルックリンのウィリアムズバーグの近くに位置し、食事と350種類ものワインを提供するとのことだ。

ジェームス・マーフィーは『ニューヨーク・タイムズ』紙に、お店の音響についてはマーフィー自身が開発したものだと語っている。「ほら穴で聴くみたいな音になってないとすれば、だからだよね。店に来た人は誰もが幸せになり、不快感を感じることなんてないはずさ」

また昨年には、コーヒー生産販売企業であるブルー・ボトルと提携し、自身のコーヒーブランド「ハウス・オブ・グッド」を立ち上げている。その味については、「甘く、バランスが取れていて、飲みやすさも十分。ドライチェリーとココア、レモンの風味を持つ」と説明されている。

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