アレックス・ターナー:「究極の詩人」

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「初めて曲や詞を書き始めた頃は“I Am The Walrus”のような曲を書けるようになりたいと心底思ってたんだ。そして、それがどんなに大変なことなのかを実感したね。あの曲を聴くと、すべてがナンセンスみたいに聞こえる。でも、ああいう類いのことを書いて、それでいて惹きつける曲にするってことは、本当に難しいんだよ、分かるだろ? あの当時、レノンは間違いなくそういう才能に長けていたんだな。俺たちが(2012年の)ロンドン・オリンピックで演奏した“Come Together”にしても――オリジナルの域に近づけるのは至難の業だって思ったよ。その前にも1000回ぐらいあの曲を聴いてたけど、どの一語を取っても、理論的に次の詞に繋がっていくものはないんだ。すべて支離滅裂なんだけど、それだけじゃないっていうね、この意味、分かってもらえるかな。一つのイメージを描いて、ある場所へいざなうんだ。レノンは意味をなさない独特な詞で、聴いている人間をどこかへ導いていく方法をマスターしていたのさ。だけど、同時に、妙に完璧に筋道が通ってるんだよ。

その一方で、別のタイプの曲も本当にうまかった。彼自身が聴き手の耳にまさに直接歌いかけるような類いの楽曲で、行き着く先がはっきり分かっていながら、どうしてもついていってしまうっていうタイプの曲だよ。ドキュメンタリー映画の『ギミ・サム・トゥルース メイキング・オブ・ジョン・レノンズ・イマジン・アルバム』の中に、彼が自宅で(フィル・)スペクターと一緒にいるシーンがあるんだけど、それがすごくいいんだ。“Gimme Some Truth”のヴォーカルを録音してるところで、ありったけの脅威と怒りを声に込めて、とにかく何もかもを吐き出してる。あの憤っているレノンには惹かれるね――これも、どういうふうにやったらいいのか、まだ分からないことの一つなんだけどさ。彼は真に、これまでに受けた称賛や栄誉に値する人物だね」

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