ラット・ボーイ – Rat Boy

06
「Sign on! Sign on!」、数分間、機材の故障でラット・ボーイの最も知られた曲の演奏が止まった。その間、フェスティバル・リパブリック・ステージにはバリケードで囲った職安に、怒りの襲撃をかける集団のような空気が流れ始めた。皮肉にもその状況は、都会的ラップ・ロックの吟遊偉人であるジョーダン・カーディの音楽を反映していた。例えば“Stick Up Kids”で「police with guns/And you know it’s never gonna end well(拳銃を持った警官/終わりよしとはいきそうもない)」と歌って名ばかりの若者を攻撃してみせたように。すべてジョーダン・カーディが背負った、社会の底辺で生きる人間や自らの世代の格闘を描くという、ジェイミー・Tとの間を埋める役割ゆえなのだ。“Carry On”では、十代後半の倦怠に満ちた、チェルムズフォードの冴えないパーティ・シーンをよろめくように歌い、“Sportwear”では住人の9割が福祉手当を申請している通称ベネフィット・ストリート在住の「子供2人仕事無し」のろくでなし人間の艱難辛苦を歌う。しかし、ハード・ロック調の“Hanging Around”や“Left 4 Dead”での雄弁なヒップポップの脅威は、ジェイミー・Tの眠くなるようなトラウマよりもレディング会場にフィットする。レディングはネズミ取りのワナにはまったのだ。


ホワイト – White

07
グラスゴー出身の新人バンドであるホワイトは、インディー系のバンドがどうしようもなくバカだった2007年あたりを思い起こさせる。ホワイト・ローズ・ムーヴメント(ご記憶の方は?)が、しかめっ面のアート・ロックのパロディーみたいにとんがって赤と白のヴィジュアルでポーズしていた時代、ダズ・イット・オフェンド・ユー、ヤー?がBBCチャンネル4のホームコメディ「Nathan Barley」でエレクトロ・ファンタジーになって出現した時代、そしてアート・ブルットがそこそこ人気があった時代だ。芝居がかったファルセット・ボイスによる気取り屋のレオ・コンディがフロントマンの――彼はミニ・ブレット・アンダーソンと言ってよく、声はワイルド・ビースツの誰かに似ていて、ジョニー・ボレルの洋服を着ている――この4人組はカムデンのバーフライでの汗ばむ夜にお似合いの、アーティなインディー・ディスコに興じている。“Future Pleasures”と“ Blush”はこれみよがしな感じだが、DFA系のシンセサイザーのフックが効いて、賢くまとまっている。彼らは大物になるのか? 恐らくならないだろう。だがそれが何だっていうのか? 彼らは最高じゃないか。2007年万歳――戻ってきてくれてよかったよ。


プリティ・ヴィシャス – Pretty Vicious

08
プリティ・ヴィシャスはレディングに着いた時、ギャラガー兄弟ばりの確信的な尊大さでやってきた。だが、その若さゆえに活力が溢れている様は、2005年にアークティック・モンキーズがシェフィールドから飛び出してきた時のようだ。強気なベビー・フェイスのフロントマン、ブラッド・グリフィスがマイクに向かって叫び、マーサー・ティドビル出身のティーンたちが“It’s Always There”へなだれ込む。金切り声の“Cave Song”と“Are You Entertained?”がすぐそこに迫った未来へのアンセムのように響き、イギー・ポップ・アンド・ザ・ストゥージズの“I Wanna Be Your Dog”がツンツンに尖った感じでカヴァーされる。これでステージ前の群衆は荒れ狂ったように前へホッピング。見事な悪ガキぶりだった。


ホラー – Ho99o9

09
レディング・アンド・リーズで一番うるさくて、おっかないバンドだったHo99o9は本当に見世物小屋のようだった。ノイズはこのニュージャージー出身のデュオ、ラッパーのTheOGM とエディがステージに立つ前から聞こえていて、彼らの出番の10分以上前からバンドのドラマーが「Ho99o9 City Rockers」というロゴの入ったパーカーに黒の目出し帽を被って、シンバルを叩いたりエフェクト・ボードのダイアルをひねったりしてステージ上をウロチョロしている。TheOGMの強面のサイドショウ・ボブのようなドレッドヘアがキラキラの青い上着から飛び出ていて、その歯には銀色のグリルがつけられている。エディはピッタリした迷彩服にマスク姿。“P.O.W. (Prisoners Of War)”は耳が聞こえなくなるほどのどら声の集中砲火によるラップでホワイトノイズがほとばしっていた。後に続いた身の毛もよだつ30分が何を意味しているのかなんて分からない。ただ、ステージ前のヒッピーたちに混じってHo99o9が(出演した)ザ・ピット・ステージをズタズタに引き裂くのを見ただけだ。


ロイル・カーナー – Loyle Carner

10
BBC Radio 1のxtra Stageは週末の間ずっと混み合っていたため、ロイル・カーナーが土曜日の昼下り、半分までしか客が入っていないテントでステージに上がった時、彼には同情が寄せられた。幸運にも、サウス・ロンドンのラッパーは意に介さず、その場に居合わせた観客は30分の間、彼の辛辣に語りかけるヒップポップを堪能した。彼は学生ローンのことや、祖父のようにウィスキーを飲むこと、古いCDを買うことなどをラップに乗せて披露した。それも、この週末のライヴの中で最も観客を魅了したリズル・キックスの2人が合わさったよりもパワフルにステージを跳ねて回りながら。もしあの場に居合わせなかったのなら、本当に損してる。


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