2005年のレディング・フェスティバルで、アークティック・モンキーズがカーリング・ステージを満員にしたことは、誰もが覚えている。テントがファンで溢れ返るなか、アークティック・モンキーズは、キャリアの出発点となるステージを披露した。今年のレディング&リーズ・フェスティバルのラインナップには新人バンドが目白押しだったが、そのなかのナンバーワンは? ニュージャージー出身のHo99o9のとんでもなく騒がしい音から、ザ・ビッグ・ムーンの笑顔溢れるインディー・ポップまで、週末のフェスで話題となった10組のバンドをご紹介する。
ザ・ビッグ・ムーン – The Big Moon
ビッグ・ムーンを好きにならなかったら、石の心と鉄の耳の持ち主だろう。ロンドン出身の4人組ガールズバンドは、エネルギッシュかつスマートでキレのあるインディー・ポップを生み出し、彼女たち自身はもちろん、観客も笑顔にならずにいられない。フロントウーマンのジュリエット・ジャクソンにいたっては、ライブ中ほとんどずっと満面の笑みを浮かべている。ビッグ・ムーンの楽曲は、どれもなかなかのもので、デビュー・シングルの“Sucker”は、生意気で気だるいパルマ・ヴァイオレッツといった趣きだ。しかし、何と言ってもマドンナの1999年のシングル、“Beautiful Stranger”のカヴァーはイタズラっぽく、今の時代を象徴しており、3人の歌のハーモニーを聴けばその魅力は決定的である。
スプリング・キング – Spring King
ヴォーカル兼ドラマーのタレク・ムサは、バンドが“My Sleeves”を演奏する直前に「この曲でサックスを吹くのは、ピートの親父だ」と告げた。メンバーのピートの父親、スティーヴ・ダーリントンはゆっくりステージに上がると、自分の楽器を持って唇をすぼめ、美しく豊かなサックスの音の螺旋を生み出したのだ。メンバーの父親が現れて演奏することで、いい方向に向かわないバンドは世界にそういない。しかし、たとえ、メタリカのラーズ・ウルリッヒの年老いたデンマーク人の父親が、”Nothing Else Matters”のバックでラッパを吹いたとしても、この週末の目玉はスプリング・キングだろう。彼らの不調和なモンキーズのような歌は、午後に残った悲しみの残骸を食べる、チンピラ版パックマンのようだ。
ヒッポ・キャンパス – Hippo Campus
一般的に、アメリカのイギリスかぶれのバンドは、ザ・キュアーやジョイ・ディヴィジョン、ザ・スミス、そしてあなたが選ぶもう1つのバンド(それが彼らに必要な方向性を与える)に入れ込んでいる。しかし、ミネソタ出身のヒッポ・キャンパスは例外だ。彼らはウー・ライフやボンベイ・バイシクル・クラブに傾倒しており、そのイギリス風のポップな音楽性は変幻自在の複雑さを持っている。“Little Grace”は明るくも乾いているし、“Suicide Saturday”は間違いなく、ザ・キュアーの基本的な方向性を汲んでいる。あとはもう少しトゲトゲしくなれば完璧である。
ジョージア – Georgia
ジョージア・バーンズはこの夜、「去年はケイト・テンペストと一緒にここに立っていたの。もしかしたらいつかここで、自分で書いた曲を演奏できるかもしれないと思ったわ」と語りかけた。彼女のセッション・プレイヤーとしての日々は、過ぎ去ったと言って間違いないだろう。ジョージア・バーンズが自身の名前を冠したアルバムは、今年最も注目を集めたデビュー作の1つだ。彼女が自分の寝室で書き、制作したというこの作品は、色々なジャンルが混ざり合い、ゾクゾクするようなポップ・ミュージックに仕上がっている。彼女のパフォーマンスが最高潮の時に観客がまばらになってしまったため、レディング&リーズ・フェスティバルでの夢は叶わなかったかもしれないが、彼女が次に戻ってきた時は超満員になること請け合いだろう。
ゴッド・ダム – God Damn
ゴッド・ダムは決して気さくなタイプとは言えない。フロントマンのトム・エドワーズは、「どうせお前ら全員、レンジローバーに乗っているんだろ?」と観客を皮肉り、セットアップの最中に演奏開始の遅れを指摘されると、逆ギレした。しかし、彼らはイギリスの工業地帯出身の髭もじゃの野郎2人からそのまま想像できるような、気難しく残酷でへヴィーなリフ・ロックには長けている。最後にトム・エドワーズは、悔いたようにこう言った。「俺たちはそれほどヘタクソじゃないって、お前らの友達に伝えておいてくれよな」。喜んでそうしよう。
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