2パック (本名: トゥパック・アマル・シャクール )は、横付けされた車から銃撃を受け、1996年9月に亡くなっている。先月9月13日は彼の19回目の命日だったが、ニューヨークのカルチャー系雑誌『ペーパー・マガジン』に2パックへのトリビュートを寄稿したエミネムは、彼が「18歳か19歳の時」に初めて2パックとデジタル・アンダーグラウンドのコラボ作である“I Get Around”を聴いた時のことを明かしている。
「『誰だ、これは?』と思ったことを覚えているよ。ものすごく際立っていたからね。当時いた多くのラッパーたちよりも先を行っていて、彼の言葉や音楽から伝わってくるものは別次元に達していた」
さらにエミネムは次のように付け加えている。「多くの人が『パックを感じる』と言うが、まったくその通りなんだ。彼の言葉と、それに合わせるビートの選び方は天才的だった。まるで、その言葉にぴったりのビートと、コードチェンジのタイミングを知っているようだったよ…。言葉がトラックから離れて、彼のメッセージが聴き手に伝わるんだ」
「彼がラップで語ることは何でも、心に迫ってくるものがあった。もしそれが悲しい曲だったら、聴き手は泣かされる。でも、彼にはいろんな顔があった。うんざりしていたり、怒っていたり、厳しかったり、楽しい時を過ごしていたりとね。彼の魂が語りかけてきて、まるで彼が経験してきたことをすべて知っているかのように感じたんだ……。彼の痛みだったり、すべての感情が感じられたりする。幸せな時や悲しい時もね。そんな風にして人々の心に触れることの出来る才能に、本当に驚かされた」
「2パックは、何かを感じられる曲を作るにはどうしたらいいかを俺に教えてくれた初めての存在だったんだ。彼は本当に多才だったよ。相手が曲を気に入らなかったら、まったく違う曲を用意してくるんだ。2パックはとても幅広い視点と多くの違う顔を持っていたが、最高なのは、彼が1人の人間だということだった。そして、それを皆に見せてくれる……。本当の意味でのスーパーヒーローなのさ。誰もが彼について知りたいと思うし、一緒にいたいと思うんだ」
それからエミネムは、2パックの死後にリリースされたアルバムの1つである、2004年の『ロイヤル・トゥ・ザ・ゲーム』への参加で自身の若い頃の夢が叶ったと続けている。「2パックのヴォーカルと一緒に仕事ができる機会が来るなんて18歳か19歳の俺には伝えられないだろうね。自分の人生の中でとても重要な経験になったし、かなり楽しかった。お菓子の店にいる子供みたいに、彼のライムに合わせるビートを自分が作っていると思うだけで興奮するんだ」
「どんなに優れたラッパーだったとしても、ゆくゆくは過去の人になる。だが、2パックのように何かを感じさせる様な曲を作れば、それを聞いた時の感情は決して消えはしない……。まさに天才の成せる技さ」
一方、ラッパーのケンドリック・ラマーも最近、2パックへのオマージュを同様に捧げている。ケンドリック・ラマーが、2パック・シャクールのファンであったことはよく知られており、今年発表したアルバム『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』の最後には、2パック・シャクールの古いインタビューに自分の声を吹き込んだ擬似対談が収録されている。
2パック・シャクールの公式サイトに掲載された手紙の中で、ケンドリック・ラマーは自身のアイドルから受けた影響や彼の音楽を聴いたきっかけを綴っている。
手紙の内容は以下の通り。
「あなたに初めて出会ったのは8歳の時だ。その時、どんなことを感じたのか、うまく言葉にできない。たくさんの感情。ほとばしる興奮。あふれる喜びと熱意。20年後、あの時に何を感じたのか理解することができた。インスピレーションだ」
「あの小さな交わりで、あなたは人々の人生に永遠の変化をもたらした。いつの日か、俺も誰かの代弁者になりたいと強く思った。みんなも知っている通り、俺はあなたに向かって自分の考えを声に出してきたんだ」
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