レディオヘッドのアートワークを手掛けるスタンリー・ドンウッドは、最新作『ア・ムーン・シェイプト・プール』のアートワークを英ドラマ「ドクター・フー」のキャラクター、ダーレクで制作したかったことを明かしている。
『ア・ムーン・シェイプト・プール』は、1994年よりバンドのアートワークを手がけているスタンリー・ドンウッドによるアートワークで2016年5月にリリースされている。
アート・サイト「クリエイティヴ・レヴュー」のインタヴューでスタンリー・ドンウッドは次のように語っている。「通常、レディオヘッドはアルバムを作るのに約2年ぐらいかけるんだ。僕らが最初に話していたのは、説明的だったり比喩的なアートはやめておこうということだった。偶然でできるようなことをやりたいって思ってたんだ」
「それで、ダーレクが人類を絶滅させる代わりにペイントを吹き出すっていうアイディアを思いついたんだけどね。でも、残念ながら、僕らの工学スキルではダーレクを製造するってところまで追いつかなかったんだよ」
「それで、天候と絵の具でできること、絵の具と風で大部分をやってみるというのに取り組み始めたんだ」と彼は続けている。そして、キャンバスを屋外に置くことを始めたという。「絵を描く工程で人の手をほとんど排除することにしたんだ。実験の準備をして、何が起こるか見てみるっていうね。キャンバスのいくつかは駄作だった。だから、そうしたものには上から白を塗って、もう一度やってみてさ。でも、全体としては、こうした方法で最終的に出来上がった一連の作品にすごく満足することができたんだ」
フロントマンのトム・ヨークとの共同作業については次のように語っている。「ざっくり言えば、僕らが一緒にやる時っていうのは、僕がなんかやるとするだろ、そうすると彼がそれをブチ壊して、僕が彼がやったものをブチ壊すという感じで、結果に満足するまで、それをやり続けるんだ。誰が『勝つ』か決める競争みたいなものでね。どちらかがそれを手にするんだ。アートという意味でね」
また、スタンリー・ドンウッドは、アルバムの発表前にソーシャル・メディアのアカウントを削除した理由を明かしている。「あれはパブリシティを取り下げたら、僕らの思ってるよりも機能したという一例だよね。正直、みんながあんなに大騒ぎするとは思ってなかったんだ。うまいこと行ったよね。これまでのものをすべて下げてみたわけだよね。あれはこんがらがってしまったように見える問題の実質的な解決方法だったわけだよ。すごく単純な解決法だった。しばらくの間、すべてをストップさせてみるっていうね」
「反応は妙な感じだったよね。『レディオヘッドがインターネットから姿を消した』っていうさ。なんておかしなことを言うんだろうって思ったよ。だって、そんなことできないわけでね。でも、リアクションは素晴らしかったよ。最高だったし、本当に興奮したよ。ジェームズ・ボンドの悪役かなんかみたいな感じだね。悪の基地でボタンを押すようなさ。まあ、実のところ、ジェームズ・ボンドの悪役と言ってもマイク・マイヤーズのバージョンだけどね。でも、クリエイティヴな意味では面白かったよ」
一方、レディオヘッドは今年のコーチェラ・フェスティバルでヘッドライナーを務めることが発表されている。
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