40位 イヤーズ&イヤーズ “Sanctify”


宗教的な踏み絵の上に乗りながらセックスや罪を探求するという、ポップ・ミュージックにおけり伝統的な手法を用いながら(そう、マドンナの“Like A Prayer”のように)、“Sanctify”では閉ざされた部屋で試しに交わってみようとするストレートの男性とオリー・アレクサンダーによる茨のような情事が歌われている。「苦しみで僕の身体を浄化して/君が求める愛を浄化して」と歌われるコーラスは、一際許しを請うように聴こえてくる。それはとてつもなく素晴らしいポップ・ソングでありながら、罪や告白を誘発させるトロイの木馬なのだ。

39位 リリー・アレン feat. ギグス “Trigger Bang”


あまり振るわなかった2014年の『シーザス』を経て、リリー・アレンはギグスが参加したカムバック・シングルの“Trigger Bang”で自分自身を再発見し、彼女のことを好きになった当時の感情を私たちに思い出させてくれた。デビュー・アルバム『オーライ・スティル』のサウンドを2018年用に作り直したようなこの楽曲で、リリー・アレンは甘いメロディーに暗いシンセサイザーやギグスというグライムのスターを組み合わせ、パーティーや薬物に興じた過去の自分について率直に歌い上げている。

38位 ペギー・グー “It Makes You Forget (Itgehane)”

人々がクラブに駆け込むのは、日々の生活で直面する困難から逃れ、そして、自分自身を傷つける物事を忘れるためだ。地下のクラブで気まずく左右に身体を揺らしながら、自身の靴がフロアにあるということを必死に無視しようとしている時でも、この押しも押されぬ名曲はヤシの木が立ち並んだシアンブルーのスイミング・プールまであなたを連れていってしまうだろう。“It Makes You Forget (Itgehane)”は、現実逃避のための完璧な黄金比で作られた楽曲なのだ。英語には正確に翻訳できない詩的な言葉を用いて、韓国出身のDJであるペギー・グーは、力を抜くことや自由になることについて単調に歌いながら今年を代表するハウス・ソングの一つを作り上げている。

37位 グライムス “We Appreciate Power”


グライムスはエネルギッシュな復帰となったこの曲で、人工知能が人類の知能を超える「シンギュラリティ」への恐怖をさしこみながら、AIの歌手に扮して生身の人間からロボットとしての魅力へと移行させようと自身を位置づけている。グライムスは音楽面でも新たな地点へと移行しており、マリリン・マンソンのライヴでも場違いにならないような巨体のエレクトロ・ロックのナンバーを生み出している。

36位 カニエ・ウェスト “Ghost Town”


2018年はカニエ・ウェストにとって彼の基準からしても奇妙な1年となり、度々の気が沈むような発言は彼の過去の栄光にまで影を落としかねないものだったが、この“Ghost Town”は、彼にまだ鼻息の荒いヒップホップの怪物のような曲を書く力があることを証明している。これまでもコラボレーションの達人だったカニエ・ウェストだが、その能力は今も失われていなかったようだ。キッド・カディが「君に愛してもらおうと努力してきた/けど、俺がなすことすべてが君を遠ざけていったんだ」と囁くように、“Ghost Town”では脆弱な部分が描かれながらも、全体としては傲慢な一曲としてまとまっており、最後に「もう何にも傷つかない/自由を感じてる」と歌うニューカマーの070シェイクが見事に主役の座を奪ってみせている。

35位 ポスト・マローン “Better Now”


ポスト・マローンは賛否の分かれるアーティストかもしれないが、彼がマリファナの煙から最高のポップ・ソングを生み出す能力を持っていることに疑いの目を向ける者はほとんどいないだろう。“Better Now”は間違いなくポスト・マローンの最高傑作だ。不安定な彼のヴォーカルによるこの曲は、思春期の失恋を歌のウィニング・ランへと変貌させている。

34位 ボデガ “How Did This Happen?!”


このデビュー・シングルで、ボデガは現代社会に対する辛辣なコメンテーターという自らの立ち位置を確率している。ヒラリー・クリントン派のデモやチェーン店を横目にニューヨークを歩く様を実況したこの曲で、ブルックリン出身のこのバンドは不安を煽るような推進力のあるポストパンクの一品に乗せて「カルチュラル・コンシューマー(文化的消費者)の罪」を精査している。

33位 キング・プリンセス “Pussy is God”


最高の形での『メイク・マイ・ベッド』EPのリリースに続いて、キング・プリンセスはクィアの視点をポップ・ミュージックに再び持ち込んでいる。軽快でソフトな“Pussy Is God”は、ニューヨーク出身のキング・プリンセスによる、女性の身体や女性へのこの上なくロマンティックな讃歌だ。「こういうのあまり得意じゃないけど/あなたが望むならやってみるわ」とキング・プリンセスは優しく囁き、今年随一のキャッチーなコーラスを披露している。「彼女は神様よ。見つけたのは私」

32位 ジェイ・ロック、ケンドリック・ラマー、フューチャー “King’s Dead”


今年リリースされた『ブラック・パンサー』のサウンドトラックのハイライトの一つとなる“King’s Dead”は、ケンドリック・ラマー、ジェイ・ロック、フューチャー、ジェイムス・ブレイクというビッグネームたちがマイク・ウィル・メイドイットとテディ・ウォルトンによるビートの上に集結している。彼らのコラボレーションは結果として、『ブラック・パンサー』の速度や世界観とマッチする、激しい怒りに満ちたエネルギッシュな楽曲を誕生させている。次々と形を変えていくビートやジャンルを捻じ曲げ続けていく“King’s Dead”には終始驚かされることになるのだが、曲が終わっても共鳴が止むことのない、ケンドリック・ラマーによる挑発的な最後のヴァースもその例外ではない。

31位 ザ・1975 “It’s Not Living (It It’s Not With You)”


おそらく、ガソリン・スタンドについて言及した初めての偉大な曲だろう。ザ・1975は“It’s Not Living (It It’s Not With You)”で日常や膨れ上がる絶望感を融合させ、快活でメロディックな夢世界の中に落とし込んでいる。「素敵な靴を履いているのに血管が破裂する」と溜め息を吐くマット・ヒーリーのこの歌詞は、薬物摂取についてのこれまでで最も素晴らしい歌詞だろう。

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