アルバム制作は、アーティストがその創作意欲からやっている仕事だが、時にはうまくいかないこともある。そして、完成したアルバムがどんなものであれ、月日を経て、それが気に入らないと自覚することだってあるのだ。ここではそんな30組のアーティストを御紹介する。
1. フリート・フォクシーズ
作品:『フリート・フォクシーズ』(2008年)、『ヘルプレスネス・ブルーズ』(2011年)
フロントマンのロビン・ペックノールドは、彼の新曲は、これまでのアルバムとは「異なるヴァイブ」だと最近ファンに向けて語っている。「でたらめな音楽領域と空っぽの音楽的経歴を磨くため努力し、時を経て鍛えられた俺の判断力を信じてほしい」と彼は綴っており、バンドの成功については「罪の意識」があり、「詐欺症候群」のように感じているという。
2. リッキ・リー
作品:『ユース・ノヴェルズ』(2008年)
自身のファースト・アルバム『ユース・ノヴェルズ』について、リッキ・リーは2014年に「耐えられない。かなり悪い出来」と述べ、「最悪だわ」と率直に一言添えている。
3. ジョイ・ディヴィジョン
作品:『アンノウン・プレジャーズ』(1979年)
今では、ジョイ・ディヴィジョンのデビュー・アルバムは独創的なポスト・パンクの名作として誰もが認めているが、バーナード・サムナーとピーター・フックは当初マーティン・ハネットのプロダクションを気に入らなかった。「その時、俺は落胆を隠せなかった。ピンク・フロイドみたいなサウンドだったんだ」とピーター・フックは発言したことがあるが、今では彼は自分が間違っていたと認めている。
4. ザ・スミス
作品:『ザ・スミス』(1984年)
モリッシーは、このマンチェスター出身のバンドのデビュー・アルバムに対する失望を頻繁に公言しており、その理由としてぼんやりしたプロダクションとミキシングを挙げている。レーベルのラフ・トレードに対して、このアルバムは世に出すには「不十分な出来」だと彼は進言したが、それにもかかわらずリリースされたという。
5. スウェード
作品:『ア・ニュー・モーニング』(2002年)
ブレット・アンダーソンが『ア・ニュー・モーニング』に失望したことが主なきっかけとなって、彼らの遺産に相応しい葬式を挙げるため、スウェードの再結成と2013年のニュー・アルバムのリリースは行われた。彼は、このアルバムが「大失敗」だったと『NME』に対して認めている。「『ア・ニュー・モーニング』は(スウェードのアルバムとして)最悪の1枚だ。あのレコードをリリースしたことは、本当に失敗だった」
6. モリッシー
作品:『キル・アンクル』(1991年)
モリッシーの自伝『Autobiography』では、1991年のアルバム『キル・アンクル』での失敗について「弱々しく、締まりがない」と表現し、このアルバムは「セッション・ミュージシャンの刺激の強い飲み物」によってダメにされたと、とっておきの不愉快さを披露している。それで、最も誇るべきリリースにはならなかったんだろう
7. ザ・ストロークス
作品:『アングルズ』(2011年)
こちらは不思議な展開をした1枚だ。リリースから長い時間を経て否定したのではなく、ザ・ストロークスは『アングルズ』をすぐに葬りはじめたのだ。「俺が意図してなかったものの寄せ集め」だとジュリアン・カサブランカスはぼやいており、ギターのニック・ヴァレンシもスタジオ・セッションは「酷かった」と認めている。
8. エミネム
作品:『アンコール』(2004年)
「今振り返ると、俺が出した中には、随分とありきたりなものもあった」と、継ぎはぎの作品である『アンコール』のリリースから幾年か経ってからエミネムは語っている。「『アンコール』の製作中、依存症が人生をむしばんでいたんだ」とも言及している。また、“Weenie”などは彼の曲にしては通常よりもかなり短かったために、レコーディング中に彼のメンターであるドクター・ドレが笑っていたことを明かしている。
9. R.E.M.
作品:『アラウンド・ザ・サン』(2004年)
こちらの『アラウンド・ザ・サン』がR.E.M.にとっての不吉なナンバー13ということになるのだろう。R.E.M.の通算13枚目のスタジオ・アルバムであり、バンドによると、最も貧弱なアルバムでもあるという。ギタリストのピーター・バックは、このアルバムについて「本当に聴くに堪えない」と評し、「まるで、これ以上耐えられないものに心底ウンザリしている人々といった感じのサウンドだ」と述べている。
10. マニック・ストリート・プリーチャーズ
作品:『ライフブラッド』(2004年)
このウェールズ出身のバンドは、アルバム『ライフブラッド』を一度もよいとは思っておらず、UKアルバム・チャートでは13位に付けたものの、商業的に失敗作だと見なしている。2013年には、ニッキー・ワイアーが『NME』に対して、バンドはこのアルバムからのシングル“The Love Of Richard Nixon”のライヴでの演奏を拒んでいると語っている。
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