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ビートルズが60年代に活動拠点として以来、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオは、ロック界の大物たちが大金をつぎ込んで、贅沢に新しい録音をすることと同義語になっている。今日、ウェストミンスターが暗がりに沈んでいく中で、このエリア屈指の輝き続ける名所で生まれた珠玉の作品をもう一度おさらいしてみよう。

10位 『セレモニアルズ』 フローレンス・アンド・ザ・マシーン

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『ラングス』の世界的な大成功の後、フローレンス・ウェルチは、所属レーベルから豪華なアメリカのスタジオで次のお洒落なアルバムを録音するよう打診を受けた。だが彼女は自国に留まり、前の作品で緻密に作り上げたサウンドをさらに洗練させた。結果として、網膜をやられることなしに本物の眩しさを経験できる革新的なレコードが誕生した。


9位 『ロード・オブ・ザ・リング』 ハワード・ショア

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ハワード・ショアが、その極めて優れた牧歌的な作品を『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに提供したところを想像してほしい。ホビットは彼らの家であるホビット穴の中で歓喜し、くたびれ果てたクルーメンバーが幸福な幻想に浸っている。だがこれは単なる音響的成功ではなかった。映画に独自の雰囲気を与えたばかりか、アメリカではサントラだけでミリオンセラーを記録した。壮大な作品、そして最高の数字だ。


8位 『レット・イット・カム・ダウン』 スピリチュアライズド

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彼らの金字塔である『宇宙遊泳』の4年後、ジェイソン・ピアースは宇宙から帰還し、このスタジオで録音されたレコードの中で、最も驚異的に美しく想像力あふれるアルバムの1つを作り上げた。本当にお手柄だ。ゲストブックに名を連ねたんだしね。


7位 『帽子が笑う…不気味に』 シド・バレット

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実りのないセッションの連続の後、向こう見ずな空想家であるシド・バレットはソフト・マシーンのメンバーと共にアビイ・ロードに缶詰になり、死してなおバレットの伝説を語り継いで永遠のロック・レジェンドたらしめる1枚のアルバムを録音した。


6位 『ストームコック』ロイ・ハーパー

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それぞれ7分から13分の長さの4つのトラックしか収録されていないが、1971年の『ストームコック』はフォーク界のアイコン、ロイ・ハーパーのゆるぎない才能を、その複雑さと緻密さで示している。残念ながら、児童への性的虐待を問われて以降(本人は否定しているが)、現在彼の名は非難の的となっている。


5位 『レイト・オーケストレーション』 カニエ・ウエスト

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『レイト・オーケストレーション』は、カニエ・ウエストが発表した最初の2枚のアルバムを17人のオーケストラと共に演奏した1回限りのライヴ・パフォーマンスを収録したものである。この作品はクラシックとして仕上げるのに十分なほど異彩を放っており、その思慮深いアレンジがカニエ・ウエストの音楽の才能を、5作目のアルバム『マイ・ビューティフル・ダーク・ツイステッド・ファンタジー』でも見られたように、息を飲むようなピークにまで高めているのが特長的だ。


4位 『夜明けの口笛吹き』 ピンク・フロイド

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デヴュー・シングル“Arnold Layne”は、わずかなヒットに終わったが、プログレの巨匠は、アビイ・ロードの第3スタジオに入り、音の洗礼にどっぷり浸りながら、天才シド・バレットの要素が詰め込まれたさわやかな音楽の旅にふけっていた。一方でザ・ビートルズが隣のスタジオで『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を録音していた。


3位 『アフロディジアック』 フェラ・クティ

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ブライアン・イーノにジャズやポリリズムの影響を与えたアルバム『アフロディジアック』は、今までのオルターナティブ・ロックの中で最も影響力のある作品の1つだと言えよう。しかし、このアルバムはフェラ・クティにとっても重要な転換期となっている。収録曲の“Je’Nwi Temi”では初めて政治的なラジカリズムを曲に取り入れ、彼を黙らせようとする権威者を一蹴した。


2位 『オデッセイ・アンド・オーラクル』 ザ・ゾンビーズ

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ザ・ゾンビーズは1968年に発表した2枚目のアルバムのレコーディングの間、音楽にダークなマジックを作り上げたが、すぐに解散して第一線から消えてしまった。数十年後、彼らのカルト性からその人気が復活し、『オデッセイ・アンド・オーラクル』は稀代のサイケクラシックとしての確かな位置を築いた。


1位 『ホワイト・アルバム』 ザ・ビートルズ

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ザ・ビートルズは、アビイ・ロードの第2スタジオをすぐに自分のもののように利用しはじめ、リハーサルやパーティを行ったり、たびたび隠れてマリファナを掃除戸棚の部屋で楽しむなどしていた。『ホワイト・アルバム』には実験的な要素がちりばめられ、ロック・ミュージックのDNAと言われる音楽の輪郭を作りあげた。1つ前のアルバムによって、この伝説的なスタジオは現在の名前で呼ばれるようになった(以前は、HMVスタジオまたはEMIスタジオと呼ばれていた)が、『ホワイト・アルバム』は、ビートルズの際限のない可能性を表した作品と言える。

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