ザ・ヴァーヴの元フロントマンであるリチャード・アシュクロフトのマネージャーはザ・ローリング・ストーンズがザ・ヴァーヴの楽曲“Bitter Sweet Symphony”のロイヤリティや権利を彼に返すまでの経緯について語っている。
リチャード・アシュクロフトのマネージャーの1人であるジョン・ケネディは米『ビルボード』誌のインタヴューに応じて、『アーバン・ヒムス』に収録された“Bitter Sweet Symphony”の権利をザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーやキース・リチャーズから返してもらうまでの過程を明かしている。
「ソングライターたちはよく、楽曲をまるで自分の子供のことのように話しますが、そんな子供たちの1人を奪われてしまったことは、リチャードにとって耐え難いことでした」とジョン・ケネディは語っている。「彼はずっと耐えてきました。必ずしも常に我慢強く、じっと耐えてきたわけではありませんが、彼にとっては本当につらいことでした」
ザ・ヴァーヴの代表曲となっている“Bitter Sweet Symphony”は、1965年にザ・アンドリュー・オールダム・オーケストラがレコーディングしたザ・ローリング・ストーンズの“The Last Time”をサンプリングしていることが明るみになった直後に著作権を巡って訴訟を起こされている。
“Bitter Sweet Symphony”には当初ソングライターとしてリチャード・アシュクロフトの1人だけがクレジットされていたが、その後、ザ・ヴァーヴはザ・ローリング・ストーンズのカタログの著作権を保有しているアラン・クライン率いるアブコ・ミュージック&レコーズとの法廷闘争に破れ、楽曲の権利やロイヤリティをアラン・クラインと同社に譲渡することとなっている。“Bitter Sweet Symphony”のソングライターにはザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーとキース・リチャーズの名前もクレジットされている。
ジョン・ケネディは上記のエピソードについて「音楽の歴史の中でも最も過酷な契約の一つ」だと述べている。リチャード・アシュクロフトは当時の契約で得た報酬が示談金として受け取った1000ドルのみだったことで知られているが、米『ビルボード』誌は同曲のこれまでのロイヤリティの累計として、500万ドル(約5億3400万円)近い金額になると見積もっている。
ジョン・ケネディは同曲のロイヤリティについての話をするため、今年の初めにリチャード・アシュクロフトのもう1人のマネージャーであるスティーヴ・カトナーと共に、2009年に亡くなったアラン・クラインの後を継いでアブコ・ミュージック&レコーズの代表に就任した彼の息子であるジョディ・クラインのもとを訪れたことを明かしている。ジョン・ケネディとスティーヴ・カトナーはその後、ジョディ・クラインの提案でザ・ローリング・ストーンズのマネージャーであるジョイス・スミスに会いに行くと、彼はミック・ジャガーやキース・リチャーズと個人的に話をすることで合意してくれたのだという。
ジョン・ケネディは当時について「結果として何も起きないという可能性が一番高い」のではないかと憂慮していたことを明かしている。しかしながら、ジョン・ケネディは今年の4月にジョイス・スミスから電話を受け、彼からミック・ジャガーとキース・リチャーズが“Bitter Sweet Symphony”の権利をリチャード・アシュクロフトに返し、クレジットから2人の名前を取り除くことで合意したことを伝えられたのだという。
「スティーヴと私は涙が出そうでした。“Bitter Sweet Symphony”は完全にリチャード・アシュクロフトが創り出した作品だということが、肯定されることになったのですから」とジョン・ケネディは語っている。「ジョイス・スミスがいなければ、今回のことが実現することはなかったでしょう」
リチャード・アシュクロフトは現地時間5月23日に行われたアイヴァー・ ノヴェロ賞の授賞式で、イギリスの音楽への多大なる貢献が称えられて「ミュージック・アウトスタンディング・コントリビューション・トゥ・ブリティッシュ・ミュージック」賞を受賞しており、それを受けて発表された声明の中で“Bitter Sweet Symphony”の権利やロイヤリティをミック・ジャガーやキース・リチャーズからようやく譲渡されたことを明かしている。
「人生が肯定されるような今回の素晴らしい出来事は、ミックやキースの親切で寛大な行動によって実現したもので、彼らはソングライターのクレジットから2人の名前を取り除くことや、楽曲から生じるロイヤリティを僕に譲渡することに喜んで同意してくれたんだ」とリチャード・アシュクロフトは述べている。
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