Paul Harries

Photo: Paul Harries

スリップノットのクラウンことショーン・クラハンは現在取り組んでいるバンドのニュー・アルバムや『オール・ホープ・イズ・ゴーン』のリイシューについて語っている。

スリップノットは10月31日に新曲“All Out Life”をリリースしており、同曲のリリースに先立ってハロウィン用のスマートフォン写真加工サイト「トゥーシェ」を立ち上げている。「うまくいくっていう自信はあったんだ」とショーン・クラハンは米『ビルボード』誌に語っている。「いいやり方に思えたんだよね。釣りでも、引っ掛けでも、好きな言葉を使ってもらって構わないけどさ。かつてそうしていたように、何かくだらないことで人々を引き込もうとしたんだよ。俺たちのバンドを最初に好きになった理由を思い出してもらおうと思ってね」

ショーン・クラハンは「トゥーシェ」を立ち上げることにしたきっかけについて、モバイル機器が浸透したことで社会に与えることとなった影響に感化されたものだと明かしている。「家族全員が、食卓につきながらそういうくだらないものに時間を無駄にしているのを見たことがきっかけになっているんだ」

「それで家族をとやかく言うつもりはないんだけどさ。そういうものだと思っているしね。けど、俺には彼らがかつて自分たちを囲っていたものを忘れてしまっているように思えたんだ。それってすごく問題だと思うんだよね。つまりさ、アプリを使えばピアノだってギターだって弾けるんだろうし、うまい具合に機能するんだろうけど、本物のピアノの前に座った時や、本物のギターを持った時の感情を忘れてはいけないと思うんだ。それで、(『トゥーシェ』は)未来に待ち受けていることを受け入れるっていうメッセージが込められているんだ。ただ、周囲にある現実は忘れるなよっていうね」

ショーン・クラハンは「トゥーシェ」について、フロントマンのコリィ・テイラーが書いた“All Out Life”の歌詞にもインスピレーションを得ていると語っている。ショーン・クラハンが監督を務めた、目的を知らされずに集められたファンが出演する同曲のミュージック・ビデオは、肉体や血をもって経験することの重要性が描かれたものになっている。

「“All Out Life”が伝えようとしているのは、目を覚まして、自分の人生を最後まで生き抜けっていうことなんだ」とショーン・クラハンは語っている。「バンドは3年間シーンから離れていたわけだけど、俺たちの血が欲しいのか? ならくれてやるっていうさっていうね。俺が20年間ファンに与えてきたのはそういうことだからね。けど、俺はファンの血も欲しいんだ。俺たちはもうバンドじゃないんだよ。俺たちはカルチャーなんだ」

ショーン・クラハンは2016年から取り組んでいる新作について、試行錯誤しながらもまだ完成していないことを明かしている。前作『 5:ザ・グレイ・チャプター』にも参加していたグレッグ・フィデルマンと共に次回作に取り組んでおり、「ありあまる程の楽曲から選んでいる段階で、まだすべてデモの状態」だという。「これまでにないような贅沢な状況にいるけど、3年前に始めたっていうのもあるよね」とショーン・クラハンは語っている。

「今言えるのは、俺は常にすべての歌詞を把握しているっていうことで、だから頭の中で理想郷も悪夢も描くことができるんだ」とショーン・クラハンは語り、アルバムのコンセプトについて次のように続けている。「まとめると、『善vs悪』っていうことになるかな。もしくは、『悪vs善』とも言えるかもね。人間でいることについてや、世間との関わりで経験することについて歌われている。この世界は醜いもので、芸術にはその素晴らしさや美しさを伝える義務があると思っているんだ」

ショーン・クラハンはニュー・アルバムをリリースする具体的な時期についての明言を避けているものの、スリップノットのツアー日程に言及して続けて語っている。スリップノットは2019年6月7日から9日にかけて開催されるフィンランドのロックフェストへの出演を皮切りに、同月から8月にかけてヨーロッパで公演を行った後で、8月10日に地元デモインで開催される2019年のアイオワ・ステート・フェアに出演する予定となっている。

「何も決定していることはないんだ」とショーン・クラハンは語っている。「アルバム用として考えている曲はあるけど、どんな変更もあり得るからね。アルバムを出さずに公演をやるつもりはないにせよ……今回は俺たちがこれまで定めていたどんなルールにも従っていないんだ。俺たちはまだアウトラインの段階だけど、みんなにも嬉しいサプライズになるはずだよ」

スリップノットは12月7日に通算4作目となるアルバム『オール・ホープ・イズ・ゴーン』の10周年記念盤をリリースする予定となっている。新たなアートワークが使用された10周年記念盤には、2009年に行ったマディソン・スクウェア・ガーデン公演で収録されたライヴ・アルバムがボーナス・ディスクとして収められているほか、『オール・ホープ・イズ・ゴーン』の時期に収録された「死ぬまで」公開されない予定だった未発表曲も収録されている。ショーン・クラハンは今回の再発について、「再発の大ファンというわけではない」としつつも、ファンは「異なるアートワークや異なる音楽、リマスターされた音源だったり」に満足してくれるだろうと語っている。

「可能な限りの異なるコンテンツを入れるようにしたんだ。ファンが納得してくれるようなものをね」と彼は語っている。「フィジカルの製品を作る手伝いをしてくれるチームがいることを幸運に思っているし、フィジカルの製品を喜んで買ってくれるファンがいることをありがたく思っているよ。『トゥーシェ』の話じゃないけど、彼らには音楽を手に取ることの大切さを改めて思い出させる必要がないんだ。それも作っていた中で目指していたことの一つなんだけどね」

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