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マドンナは、現地時間8月20日に開催された今年のMTVビデオ・ミュージック・アウォーズでアレサ・フランクリンへの追悼スピーチを披露しているが、彼女のスピーチはオンライン上で多くの批判を集めることとなっている。

マドンナはカミラ・カベロが受賞した最優秀ビデオ賞のプレゼンターとして授賞式に出席しており、ステージに登場した際に先週に亡くなったアレサ・フランクリンがいかに自身がキャリアを始める手助けになったかについて語っている。また、カミラ・カベロは最優秀ビデオ賞を受け取ると、それをマドンナに捧げている。

「アレサ・フランクリンは私の人生の道筋を変えてくれたのです」とマドンナは観客に語っている。「私は18歳の時に、ポケットに35ドルだけを入れてデトロイトから出てきました。私の夢はプロのダンサーになることでした。数年間の試行錯誤の末に無一文となった私は、ミュージカルのオーディションに行くことを決意しました」

彼女は次のように続けている。「何のトレーニングも受けたことがありませんでしたし、シンガーになるなど夢にも思って見ませんでしたが、私は挑戦することにしました。あらゆるオーディションを受けましたが、すべてで落とされ、受け入れてもらえませんでした。身長が低く、協調性もなく、12オクターヴの歌声を持っておらず、美しさも足りなかったからです」とマドンナは語っている。「そして、ある時、当時人気だったフランスのディスコ・シンガーが、ワールド・ツアーに連れて行くためのバックアップ・シンガーとダンサーを探していたのです。私は思いました。『やってみない手はないんじゃない? 一番最悪なのは、強盗に襲われたり銃で脅されるような生活に逆戻りして、コカインの密売所でもあったアパートの3階で売春婦に間違えられることよ』と。そうです。私は反逆者(レベル・ハート)なのです」

「そうしてオーディションへと向かうと、人気のない劇場で、2人の大柄なフランス人プロデューサーから驚かせてくれとけしかけられました。ダンスのオーディションはうまくいきました。すると彼らは私に楽譜を持ってきたかどうか、曲の準備はできているかと訊いてきました。私はパニックになりました。オーディションの重要な部分を見落としていたのです」と彼女は語っている。「次の課題がすぐそこまで迫っていたので、急いで頭で考え始めました。幸運にも、私にはアレサ・フランクリンの『レディ・ソウル』というお気に入りのアルバムがありました。私は『“You Make Me Feel”……』と口を滑らせ、口を閉ざしました。『“(You Make Me Feel Like) A Natural Woman”』。2人のフランス人たちが頷きました。『知ってますよね、アレサ・フランクリンの曲です』と言いました」

マドンナはさらに次のように続けている。「彼らがピアニストに目をやると、ピアニストが首を横に振りました。『楽譜はいりません』と私は言いました。『歌詞は全部分かりますから。心で覚えているので、アカペラで歌います』。彼らはまともに取り合っていない様子でしたが、どうしてまともに取り合う必要があったのでしょう? 細い白人の少女が、これまでで最も偉大なソウル・シンガーの歌を披露するというのですから。それもアカペラでね……私はこう言いました。『ビッチ、私はマドンナよ』と。いいえ、そんなことは言いませんでした。その時はまだマドンナではありませんでしたから。私は自分が何者か分かっていなかったのです。自分がどんな言葉を発していくのか、これからどんなことが待ち受けているのか、分かっていなかったのです」

彼女は次のように締めくくっている。「みなさんは、私がどうしてこんな話をしているのかと疑問に思っていることでしょう。ここには繋がりがあるのです。ソウルの女王がいなければ、このすべては実現していなかったでしょうし、可能性すらなかったでしょう。彼女が私を今いる場所に導いてくれたのです。彼女がこの会場やこの空間にいる多くの人たちにも影響を与えていることを知っています。私たち全員に力を与えてくれたアレサに感謝したいと思います。リスペクトを。女王よ、万歳」

しかしながら、授賞式を観ていた多くの者たちがツイッターで混乱を露わにしており、マドンナがスピーチで話していたのは「すべてマドンナのこと」だったとして物議を醸している。

ツイッターでの視聴者の反応はこちらから。

「MTV:あなたにアレサ・フランクリンを追悼して頂きたいのです。
マドンナ:いいわ。そういうわけで、私のキャリアはこうして始まりました……
MTV:そうではありません。アレサへのトリビュートです。
マドンナ:『それで、私はこう言いました。『ビッチ、私はマドンナよ』と』
MTV :これはあなたのためのものではありません。
マドンナ:このアフリカのジュエリーを見て」

「マドンナは、マドンナが亡くなったわけではないって知ってるのかしら?」

「マドンナがアレサの時間を使ってしたことが……あれなわけ? なんていうか、えーって」

https://twitter.com/xoraveen/status/1031744323820417024

「アレサは今マドンナをこうやって見守ってる」

「これはアレサのことなの? マドンナのことなの?」

「マドンナがアレサの死を自分のことに使ったって? カニエが必要なのに、彼はどこにいるんだろう?」

「マドンナにアレサ・フランクリンの栄光を汚させたことについて、MTVビデオ・ミュージック・アウォーズが正式に謝罪するつもりであることを願うわ」

「カミラ・カベロが膝まづいてマドンナを称えて、値しない最優秀ビデオ賞をマドンナに捧げた……マドンナがアレサ・フランクリンの追悼を好き放題やった後にね。あれこそが、MTVビデオ・ミュージック・アウォーズが授賞式を通して黒人アーティストをどう扱っていたかを物語っているよ」

「アレサ・フランクリンへのひどいトリビュートだったわ。もっと自分の話を少なくして、アレサについてもっと話して欲しかったのに」

「マドンナは2016年のビルボード・ミュージック・アウォーズでプリンスへのトリビュートを台無しにした。マドンナは2018年のMTVビデオ・ミュージック・アウォーズでもアレサへのトリビュートを台無しにした。もう二度と彼女を観たくないわ。本当に」

「アレサからマドンナへのトリビュート」

「MTVビデオ・ミュージック・アウォーズで、マドンナにステージに上がらせてアレサ・フランクリンへのトリビュートをさせたりしたのが誰にせよ、なんだっていいけど、そういうことをした人たちはみんな辞めるべきだわ。今すぐね」

一方、マドンナは来年のグラストンベリー・フェスティバルでヘッドライナーを務めるのではないかと広く噂されているほか、新曲については「今年の終わりまでにはリリースされる」と語っている。

「たくさんの素晴らしいミュージシャンたちと会って、最終的には私の新作で一緒に仕事をすることになったの。リスボンは私の音楽や仕事に影響を与えているわ」とマドンナはイタリア版『ヴォーグ』誌に語っている。

「そうならないわけがないでしょう? 入ってくる文化に影響を受けずに1年を過ごすなんて想像もつかないわ」

マドンナは、12歳の息子であるデヴィッド・バンダのサッカー選手になりたいという夢をサポートするために昨年ポルトガルのリスボンに移住している。マドンナによれば、新たな拠点に移って文化が変わったことが新作の方向性に影響を与えているという。

マドンナは楽曲について「アルバムとしてまとめて、今年の終わりまでにはリリースされる」と明かしている。

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