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元ザ・プリテンダーズのクリッシー・ハインドが、「色気をふりまいて男を誘惑」しているならばレイプされても仕方がないといった趣旨の発言をしたことで批判を受けているが、このほど元ザ・ランナウェイズのジャッキー・フックス(フォックス)も非難の声を上げている。

クリッシー・ハインドは9月に回想録『レックレス(向こうみず)』を刊行するが、同書には21歳の時に受けた性的虐待について焦点を当てた箇所があるという。

暴走族のメンバーに空き家でレイプされたことについて、クリッシー・ハインドは次のように記しているという。「ここできちんと説明させてもらいたいんだけど、厳密に言えばこれはどう考えても私の行動が原因で、すべては自分の責任だったわ……。ブラブラしてちゃダメなのよ、特に『レイプ大好き』『俺の前にひざまずけ』なんて書かかれたバッジをつけてるような男と一緒になんて」

クリッシー・ハインドは『サンデー・タイムズ』紙によるインタビューも受けており、ここでは「もしも私が上品な服装で、人と関わらないようにしながら街を歩いてても、襲われたのなら、私に非はないわ。でも、派手な服装で色気をふりまいて男を誘惑して、その結果、危ない男を引きつけちゃったら……それはしちゃダメよ。ねえ! そんなの常識でしょう」と語っている。

「火遊びをしたら、やけどするもの。当たり前のことでしょう? おかしなことは何も言っていないと思うんだけど」

一方、クリッシー・ハインドのコメントを読んだジャッキー・フックスが、「びっくりするほどの怒り」を覚えているといい、さらにそれらのコメントが「危険」であると指摘している。

ジャッキー・フックスは米「Yahoo!」に対し次のように語っている。「たとえ、大スターでも賛成できないわ。クリッシー・ハインドを非難したくはないけど、どうしてもこれだけは譲れない。だって、彼女のメッセージは本当にとても危険なんだもの」

ジャッキー・フックスはこう続けている。「心配なのよ、彼女がレイプの被害者たちと話したことがあるのかどうか分からないから。私にメッセージを送ってくれた人たちは、ほとんどが『ずっと自分のせいだと思ってた』って言ってたわ。被害者はどうしてもそう考えてしまうのよ。だからこれって、レイプや虐待を受けたばかりの人たちに向かって、『そうよ、まったくあなたが悪いのよ』って言うようなものだわ。でも、絶対に自業自得なんかじゃない。たとえ判断を誤ったとしても、それがレイプに繋がったり、レイプの言い訳にされたりするなんてもってのほかよ」

「酔っぱらったりハイになったりしている時にレイプされた女性をたくさん知っているけど、彼女たちは全員自分を責めているの。女性は自分がどれだけ飲めるか見極めを誤ってはいけないとか、コントロールがきかない男を恐れて、自分の好きな服も着てはいけないとか、誰が危険かそうじゃないかを見分けないといけないとか、男性にとっても女性にとっても、あまりにも要求が大きすぎるわよ。特に若者たちにとってはね」

「もしかすると、これは仮定の話に過ぎないなのだけど、女性があまりいなかった時代のロック界で活躍していた女性たちは、本当にタフに振舞わなくてはいけないと思っていたのかもしれない。そして今でもそれが続いているのかもね。彼女が本当にそれほどタフなのかどうかは知らないけど。もしそうなら、それは結構なことだけど、他の人たち全員にそれを求めるのは無理よ。自分のしたことについて、その必要を感じるのなら、個人的に責任を取ればいいわ。でも、他の人たちのことまで言及することはできないのよ」

クリッシー・ハインドによる一連のコメントは、反性暴力の慈善団体から批判を受けている。慈善団体ヴィクティム・サポートのディレクター、ルーシー・ヘイスティングスは「性暴力の被害者は、そのおぞましい犯罪に対しての責任は一切感じるべきではなく、また感じるように強要されるべきでもありません。彼らを深く傷つけたその事件が、どのような状況下で起きたことであっても、狙われた理由が何であってもです」と語っている。

「事件を防げなかったことについて自分を責めたり、他人から責められたりするべきではないのです。どんなに責任を持って行動していても、悪質な犯罪者の標的になってしまうことはあるのですから。性暴力の被害者が思いとどまることなく警察や特定の機関に相談し、必要な助けや援助を得られることが非常に重要です」

ジャッキー・フックスは先日、元ザ・ランナウェイズのマネージャーで故人のキム・フォーリーに、16歳の時にレイプされたことがあると明かしている。

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