パティ・スミスはノーベル賞授賞式でボブ・ディランの“A Hard Rain’s A-Gonna Fall”のパフォーマンスを行ったことについて振り返っている。
ボブ・ディランは現地時間12月10日、今年のノーベル文学賞を受賞している。ボブ・ディランは10月13日にノーベル文学賞を受賞したことが発表されたが、2周間以上にわたって沈黙を続けていた。しかし、10月28日に公開された『テレグラフ』紙のインタヴューで沈黙を破り、「素晴らしいし、途轍もないことだ」と語っている。
ストックホルムで開催されたノーベル賞授賞式においてパティ・スミスは彼に代わって“A Hard Rain’s A-Gonna Fall”のパフォーマンスを行っている。パフォーマンスでは緊張のため、一時演奏をストップする光景も見られた。
『ニューヨーカー』誌でパティ・スミスはあの時のことについて次のように述べている。「彼に捧げられた感動的なスピーチが読み上げられた後で私の名前が呼ばれて興奮したわ。まるでおとぎ話のようにスウェーデンの国王と王女や、世界でも素晴らしい知性の持ち主の前に立つことになったのよ。あの詩を書いた詩人の体験と抵抗力があらゆる行に昇華された歌詞を持ってね」
彼女は次のように続けている。「楽曲の最初のコードから始まって、自分が歌っているのが聴こえた。最初のヴァースは無事だったけれど、すこし不安定なところもあって、でも落ち着くだろうと信じてたの。そうしたら、大量の感情が湧き出てきて、強烈に、うまくやり遂げられないんじゃないかという気持ちに圧倒されたのよ。私の目には大きなテレビカメラのスタンドと、段上の来賓の人々、そしてその先に人々が見えたわ。こんなにも緊張に圧倒されることに慣れていなかったから、演奏を止めたの。私は自分の一部となっている言葉が飛んでしまったの。単純に続けることなどできなかったのよ」
更にパティ・スミスはこう続けている。「席に戻った時、失敗によって大失態を犯してしまったと思ったわ。でも、不思議なことに、その詩の世界に入り込んで、本当にその世界を生きているということを実感できた体験でもあったの」
『ニューヨーカー』に掲載されたテキストはこちらから。
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