
Photo: Ben Gibson
ポール・マッカートニーは全英アルバム・チャートで1位を獲得した『ダンジョン・レインの少年たち』に収録されている“Momma Gets By”の歌詞について弁明している。
ポール・マッカートニーは1700席が満席となったロンドンのラウンドハウスでコメディアンのロブ・ブライドンと共にトーク・イベントを行っており、曲の合間にかつての思い出について振り返っている。
2時間にわたるリスニング・パーティーの終盤、話題は“Momma Gets By”の歌詞に及んでいる。ポール・マッカートニーが長年影響を受けてきた20世紀初頭のポップ・スタンダードを彷彿とさせる、物悲しいバラードだが、歌詞は無責任な夫が責任を放棄するなか、家庭生活の重荷を背負う妻の苦悩が描かれた内容となっている。
インターネットや音楽メディアの一部ではこの曲のジェンダー観について疑問の声が上がっており、ある人物はレディットに「素晴らしいメロディーで、素敵なストリングスのアレンジだけど、歌詞とメッセージが。もし愛しているなら、無責任で薬物中毒で不在がちな夫が共同親権者でも構わないということ? 変な話だし、人間味がない」と書き込んでいる。
アルバムに対する概ね好意的なレビューの中で、レコード・コレクター誌のダリル・イーズリーは次のように述べている。「“Momma Gets By”はジェンダーによるステレオタイプ化という点でやや疑問符がつくかもしれないが、長年苦労を重ねてきた妻であり母親が、夫が『帰ってきてベッドへ向かい』『ハイになる』のを我慢しながらも、『心から彼を愛している』からこそ、それを受け入れている様子が描かれている」
ポール・マッカートニーはこの曲についてロブ・ブライドンに次のように語っている。「曲を書くときは、知り合いのことや実際の経験に基づいて書くこともあれば、もっとシアトリカルな気分になっているときに、その場で考え出すこともある」
「この曲はお芝居のような感じなんだ。登場人物は知り合いじゃない。女性を思い浮かべて、その視点から語っていく。そうやって自然と展開していった。ミュージカル『ポーギーとベス』みたいなものを想像していたんだ。ちょっとした演劇的な物語、この女性についてのちょっとしたミュージカル劇みたいなものなんだよ」
ポール・マッカートニーは次のように続けている。「『彼女はちょっと間抜けだ。だってあの男はろくでなしだから』と言う人もいるだろう。でも、僕にとって彼女はとても強い女性で、それはこの曲にも表れている。僕は彼女を、そして彼女のような女性たちをとても誇りに思っているんだ」
客席から拍手が起きると、ポール・マッカートニーは次のように語っている。「世の中には強い女性がたくさんいるんだ」
トーク・イベントでポール・マッカートニーは映画『スパイナル・タップII:ジ・エンド・コンティニューズ』に出演した時のことも語っている。1984年公開の名作『スパイナル・タップ』の続編で、両作品ともロブ・ライナー監督がメガホンを取ったが、ロブ・ライナー監督は昨年12月、妻のミシェルと共にロサンゼルスの自宅で刺殺体で発見されている。息子のニックが第一級殺人罪2件で起訴されており、裁判は今も続いている。
「あの映画に出られたのは素晴らしかったよ」とポール・マッカートニーは語っている。「『スパイナル・タップ』は大好きだからね。あの映画の作り方は、すごく即興的なんだ。それに僕にとって本当に重要だったのはロブ・ライナーが監督だったことなんだ」ロブ・ライナーの名前が出たことに拍手が起きると、ポール・マッカートニーは「ロブに拍手を!」と述べている。「ロブが亡くなったことで、そこに切ない感情も添えられることになった」
ポール・マッカートニーは今月84歳の誕生日を迎えることについても語っている。ロブ・ブライドンが「健康で、元気でいるために何をやっているんですか? 真面目な質問なんですけど」と尋ねると、ポール・マッカートニーは次のように答えている。「真面目な質問? ドラッグだね」
その後、ポール・マッカートニーはヴェジタリアンであることとピラティスにを挙げながら、次のように語っている。「“When I’m Sixty-Four”を書いた時は『64歳!なんて年寄りなんだ!』って思ったけど、それから『ああ、僕は64歳だ!あれ、待てよ、74歳だ!』となって、今は84歳を迎えようとしている」
ロブ・ブライドンが「聴力はまだ衰えてないんですか?」と尋ねると、ポール・マッカートニーは次のように答えている。「時々怪しいね。かなりよく聞こえる時もあるけど、言葉の断片を聞き逃すことがあるから、ちょっと変な感じがするんだ」
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