
Photo: Sonny McCartney / MPL Communications
ポール・マッカートニーは現地時間5月5日にロンドンのアビイ・ロード・スタジオで開催された50人の幸運なファン向けの新作試聴イベントで収録曲にまつわるエピソードを語っている。
ファンは携帯電話を預け、伝説のスタジオ・ツーへと案内されている。ここはザ・ビートルズがキャリアを通してレコーディングを行ったスタジオで、イベント開始前にはコントロール・ルームからポール・マッカートニーの声が聞こえ、ファンは首を伸ばして伝説のミュージシャンを一目見ようとしていた。その後、ポール・マッカートニーは階段を下りて、メインスタジオへと姿を現した。レコードや額入りの写真、その他様々な品々(ニュー・アルバムのタイトルが書かれた道路標識も含む)が飾られた、まるでリヴィング・ルームのような空間に彼は腰を下ろすこととなっている。
「こんにちは、ようこそ、アビイ・ロードへ」とポール・マッカートニーはくつろぎながら語っている。「みなさんにニュー・アルバムを聴いてもらって、そのことについて話をしたいと思う」その後の90分間、この伝説的人物による回想録が語られ、リヴァプールでの青春時代やザ・ビートルズのメンバーとの友情が芽生えた初期の頃を振り返っている。
ポール・マッカートニーはニュー・アルバムについて「過去を振り返る」曲が「かなり多く」収録されていると述べ、なぜ自分が過去について多くの曲を書くことになったのかについて語っている。「ふと気づいてみれば、そこには多くの情報が貯められていたんだ。チャールズ・ディケンズだったら、父親が刑務所にいたことなんかを書くはずだ。過去というのは非常に豊かな情報源なんだよ」
そうした「思い出の曲」の中にはアコースティックを主体とした“Down South”もあり、ジョージ・ハリスンと初めて友だちになった頃、ヒッチハイクをした時のエピソードが歌われているという。「ジョンとジョージに『ヒッチハイクに行こう』と提案したのは私だった。ジョンがそんなことをやるとは思えないし、ジョージもそうだ。あれは私だったね」
ポール・マッカートニーはリヴァプール訛りを強調して、もう一度「ヒッチハイクに行こう」と口にしながら、ジョージ・ハリスンと牛乳配達車をヒッチハイクした時のエピソードを披露している。ジョージ・ハリスンはその際にバッテリーの上に座らなければならず、ジーンズのジップがバッテリーに「触れていた」ために火傷を負ったという。
「記憶というのは不思議なものだ」とポール・マッカートニーは話の最後に語っている。「オリヴィア・ハリスンにこの話をしたんだけど、彼女は『ジョージもその話をしてくれたわ。ジップで火傷したってね』と言っていてね。そう、あれは間違いなくジョージだったんだ」
新作『ダンジョン・レインの少年たち』からのファースト・シングルとなる“Days We Left Behind”ではジョン・レノンに言及しているが、ポール・マッカートニーは今でもジョン・レノンのことを話すと「感情的になる」と語っている。一方、活気あふれる“Home To Us”は、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソン、リンゴ・スターが育ったリヴァプールの労働者階級の地域を振り返る曲となっている。「私たち3人はかなり貧しい環境で育ったんだ」とポール・マッカートニーは語り、アメリカ人に自分たちの住んでいた地域のことを話すと、「ドラマ『ダウントン・アビー』のことみたいに聞こえるんだ」と冗談を飛ばしている。「どんなに荒れていようとも、そこは私たちにとっては故郷なんだ」
“Home To Us”についてはリンゴ・スターがドラムとヴォーカルを担当し、リンゴ・スターとポール・マッカートニーが交互に歌う形となっている。しかし、この曲が完成するまでには紆余曲折があったという。ポール・マッカートニーによると、リンゴ・スターはアンドリュー・ワットのロサンゼルスのスタジオでドラム・トラックをレコーディングしたが、それが何にも使われていないことにポール・マッカートニーは「腹を立てた」という。ポール・マッカートニーはアンドリュー・ワットにそのトラックを聴かせてもらい、「素晴らしい。まさにリンゴだ」と思ったとのことで、「トラックを完成させて、リンゴ・スターに渡して、『ほら、これが君が望んでいたものだ』と言ったんだ」と語っている。
ポール・マッカートニーがリンゴ・スターにこの曲で歌ってほしいと頼んだところ、リンゴ・スターは快諾したものの、コーラス部分のヴォーカルしか送ってこなかったという。「『もしかして気に入ってないのかな』と思った」とポール・マッカートニーは語っている。リンゴ・スターと話し合った結果、二人はようやく意気投合して、初の「ポールとリンゴのデュエット」曲が完成することになったという。
『ダンジョン・レインの少年たち』にはポール・マッカートニーが初めて両親について書いた曲だという“Salesman Saint”(「そうせざるを得なかったから」耐え続けた厳しい時代を歌った楽曲)、グラストンベリー・フェスティバルの「ヒッピー的雰囲気」から影響を受けた“Mountaintop”、妻のナンシーへのラヴ・ソングである“Ripples In A Pond”といった曲も収録される。

Photo: Sonny McCartney / MPL Communications
アルバムの再生中、ポール・マッカートニーは曲に合わせて口パクで歌ったり、エアギターやエアドラムを披露したり、時折アコースティック・ギターを手に取って観客に演奏してみせたりした。“Life Can Be Hard”について語る際には、まさに曲のメインとなるギター・パートを演奏したが、音を外すと、「練習してなかったんだ。こんなことをするって分かってるなら、練習するべきだったね」と打ち明けている。しかし、いたずらっぽい笑みを浮かべながら、ポール・マッカートニーは「気にしてないけどね」と続けている。
新作『ダンジョン・レインの少年たち』はアンドリュー・ワットのプロデュースでロサンゼルスとイースト・サセックスでレコーディングされており、5月29日にリリースされる。
また、ポール・マッカートニーはザ・ローリング・ストーンズによるニュー・アルバム『フォーリン・タングス』にゲスト参加していることも発表されている。
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