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ブライアン・イーノはマイクロソフトにイスラエルとの関係を断ち切るよう求め、その中でマイクロソフトのために作曲したウィンドウズ95の起動音の報酬をパレスチナ支援に寄付することを明らかにしている。

ブライアン・イーノはウィンドウズ95を立ち上げた時に鳴る約6秒の起動音の音源を手掛けている。当時、ブライアン・イーノは84の「短い音源」を制作した後、最終的には約6秒の長さとなったアルペジオの音源を制作したと説明していた。

ブライアン・イーノは公開書簡でかつて「有望なテクノロジーの未来」を象徴していた会社が「抑圧と戦争の機械」に加担することになるとは「信じることなどできませんでした」と述べている。

先週、マイクロソフトはガザの紛争が続く中でイスラエル軍に人工知能とクラウド・コンピューティング・サービスを販売して、イスラエル人の人質の居場所を突き止め、救出する活動を支援したことを明かしていた。「ボイコット、投資撤収、制裁」運動はこのことについて「イスラエルの違法なアパルトヘイト体制に最も加担しているテクノロジー企業」と評している。

ブライアン・イーノは公開書簡で次のように述べている。「1990年代中盤、マイクロソフトのウィンドウズ95というオペレーション・システムに短い音源を作曲してほしいと依頼されました。それから何百万人、もしかしたら何十億人があの短い起動音を聴くことになりました。それは有望なテクノロジーの未来への入口を象徴するものでした。クリエイティヴ面での挑戦として喜んでプロジェクトに参加して、企業の担当者とのやりとりは楽しいものでした。同じ企業がある日、抑圧と戦争の機械になるとは信じることなどできませんでした」

「今日は作曲家としてではなく、作曲したものとはまったく違う形でマイクロソフトが果たしている役割に警鐘を鳴らす一市民として語らざるを得ません。それはパレスチナでの監視、暴力、破壊に繋がるものです」

「2025年5月15日に投稿されたブログでマイクロソフトはイスラエル国防省に『翻訳機能を含むソフトウェア、プロフェッショナル・サービス、アズール・クラウド・サービス、アズール・AIサービス』を提供したことを明らかにしました。ブログでは『顧客が我々のソフトウェアやサーバー、デバイスをどう使っているか、マイクロソフト側では把握していないということが重要です』と述べられています。これらの『サービス』は、一流の法学者や人権団体、国連の専門家、そして世界各国の政府が大量虐殺と評する行為に従事している体制を支援するものです。マイクロソフトとイスラエル政府・軍による協力関係は秘密裏のものではなく、『パパはどこ?(パレスチナ人を追跡し、自宅で空爆するための誘導システム)』といった“愉快な”名前と共に死に至らしめるテクノロジーに同社のソフトウェアが使われています」

「システマティックな民族浄化を行っている政府に高度なAIやクラウドサービスを販売して支援することは『通常のビジネス』ではありません。共犯です。戦争犯罪ができるようにするシステムを知りながら構築したのであれば、そうした犯罪に加担したことになります」

「私たちはマイクロソフトのような企業が政府よりも大きな影響力を行使する時代に暮らしています。そのような権力には絶対的な倫理的責任が伴うものだと考えています。従って、私はマイクロソフトに国際法違反に加担する業務を支援するすべてのサービスを停止するよう求めます」

「私の新たな起動音とはこういうものになります。破壊的なことを行い、沈黙することを拒否した勇敢なマイクロソフトの社員と団結するのです。そうした人々はこれまでに命を失った人々、これからも命を失い続ける人々のために自分たちの生活を危険にさらしています」

「この呼び掛けにアーティストや技術者、ミュージシャン、良心を持つすべての人々に参加してもらえるよう御招待します」

「また、当時ウィンドウズ95の起動音で受け取った報酬はガザで攻撃を受けた犠牲者の支援に充てることを誓います。一つの音が現実の変化のきっかけになるのだとすれば、こういうものでありますように」

ブライアン・イーノはかねてからパレスチナ支持を表明しており、マッシヴ・アタックらと共にフェスティバル「フィールド・デイ」に対しても世界的投資企業であるKKRと距離を置くように求める公開書簡も発表している。KKRはフェスティバルの親会社であるスーパーストラクト・エンタテインメントを所有しており、「イスラエルの地下データセンターを開発したり、ヨルダン川西岸のイスラエル入植地の不法占拠地にある不動産広告を出す企業に多額の投資を行っている」という。

昨年10月、ブライアン・イーノは国際刑事裁判所に対して「戦争犯罪を訴追するために与えられた権限を行使する」ように求める公開書簡も公開している。

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