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ウィーザーのフロントマンであるリヴァース・クオモはディスコードのコミュニティでファンと直接コミュニケーションを取ることについて『NME』に語っている。

イーロン・マスクがツイッターを買収したことを受けて、複数のアーティストがツイッターから離れており、ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーは「恥ずかしい」としてツイッターのアカウントを閉鎖している。「自分の精神衛生上、抜ける必要があるんだ。もういい気分じゃいられないんだよ」とトレント・レズナーは語っている。また、ザ・ストロークスのジュリアン・カサブランカスもイーロン・マスクによるツイッターの運営について嫌悪感を示しており、ジャック・ホワイトもドナルド・トランプ元大統領のアカウントが復活したことを受けてツイッターのアカウントを閉鎖している。

「ファンとの距離感の近いやりとりというのはもう何十年も続けているものなんだ。ディスコードが登場するよりも前なんだよ」とリヴァース・クオモはオンラインのコミュニティについて語っている。リヴァース・クオモは2020年からディスコードのコミュニティに移行しているが、その前から自身でコードを書いたチャット・フォーラムでファンとのやりとりを続けていたという。「すごく楽しかったんだけど、余った時間でやっていたから、とても基本的な機能しかなかったんだ」

リヴァース・クオモは自身のデモを多数アップした「Weezify」も開発しており、時間不足に悩まされていたとのことで、ファンが「交流」できる別の方法を見つけることが最善の方法だと考えたという。「やっと腹をくくったんだ。『ディスコードに移ろう。いろんなベルやホイッスルも鳴らすことができるぞ』ってね。引き金を引いてみたら、数日で『これは素晴らしい』ということになったんだ」

「最初は自分のスレッドを立てられたり、画像や動画を投稿できるのを楽しんでいた」とリヴァース・クオモは自身のサイトでは搭載できなかった機能に触れている。そうすると、「自分のサイトには来たことのない人たち」がディスコードには既にいたために、ファン・コミュニティは自然と「5倍、10倍」になっていったという。「自分にとって重要だったのは、まだ開発者としてボットのコードを書いたり、自身の機能を加えられることだった。そうじゃなかったら、ディスコードに飛びついていないだろうね。僕のサーバーみたいなサーバーは他にないだろうし、ボットも変わっているからね」

先日、リヴァース・クオモは『ニューヨーク・タイムズ』紙に対してディスコードは2001年にファンがコメントしていた掲示板や1996年にもらったファンレターに似ていると語っている。多くのことが変わったけれど、コミュニティに関わる人たちの「音楽に対する価値観」は変わらないという。

「僕らの音楽的な傾向は90年代から一貫しているんだ」とリヴァース・クオモは語っている。「キャッチーで、プログレッシヴで挑戦的なところもある、音楽的に複雑な曲が好きで、いいメロディーのあるすごくエモーショナルな曲がいまだに好きなんだよ。ビッグなギターと変わった歌詞が好きなんだ。それは今でも変わらないよ」

しかし、ファン層やオンラインで語られる内容は変わってきているという。

「2000年当時は男性が多かったのを覚えているけど、最近は女性が多いんだ。2000年の頃はウィーザーの音楽について語られることが多かったけど、今はいろんなことに及んでいるね。人と触れ合う場所という感じになっているんだ。昔の年齢層は10代から20代だったけど、今は13歳から僕を含めた年寄りにまで及んでいるんだよ」

先日、リヴァース・クオモはツイッターでAIボットを試していて、「#FemboyAnthems」やエストロゲン、アークティック・モンキーズになんでツイートしているのかファンを不思議がらせていたが、ディスコードのコミュニティでは他のソーシャル・メディアよりもいいコミュニケーションが取れると語っている。「他の場所では誰とも話をしないんだけどね(笑)。ディスコードだけにしておきたいんだ。他の場所と比較すると、みんな、いい人だし、親切だし、敬意もあるし、やさしいし、面白いんだよね。僕が世間に出ていくことは滅多にないからね」

リヴァース・クオモは自身をディスコードのようなプラットフォームと相性のいい「変わったユニークな性格」だとして、他のプラットフォームのような「華々しいほうがいい」アーティストには合わないだろうとも語っている。ファンベースをオンラインに持つことに興味のある新人アーティストへのアドバイスとしてリヴァース・クオモは次のように語っている。

「自分自身や自分の音楽のプロモーション手段だったり、意図的にコミュニティを成長させる手段としては見てないんだ。自分が楽しむために使っているんだよ」

そうした楽しい部分にはウィーザー・ファンの力を借りることもあるという。「例えば、ヨーロッパで列車のチケットが取れず、足止めを食ったことがあったんだ。サーバーにアクセスしたら、ヨーロッパのファンが列車のチケットを探してくれたんだ。駅に会いに来てくれて、電車に間に合ったんだよ」

リヴァース・クオモはファンの声も活用しているとして、曲などでどちらがいいとアドバイスを求めることもあるという。「ジャカルタでカヴァーしたほうがいい曲を提案してくれたり、チューンコアについて教えてくれたりして、それをスポティファイで公開できるようになったんだ。ファンにとってもそこから僕が学んでいるのが分かるから楽しんでくれているんだよ。自分にとってはこれは仕事ではないんだ」

ファンがシングルのアートワークを製作してくれたり、海外をツアーしている時にはファンと繋がる手段になったりもするという。

「スレッドを立てて、『この国では何と言えばいい?』と訊くと、地元の言葉や発音の仕方を教えてくれるんだ。ライヴでみんなをビックリさせられるから素晴らしいよ。ディスコードがなかったら、できなかったことだね」

コミュニティでは毎週ファンがウィーザーの曲をカヴァーするコンサートも開催されており、リヴァース・クオモも音声チャンネルでピアノを弾いたりしている。「自分のためにやっているんだ。もちろん、たくさんの人が聴きに来てくれるんだけど、自分が演奏することで心を動かす観客が少なくてもいるということが重要なんだよ。それは心からのものだと思うし、そのふりをしているんだとしたら、実にうまいね(笑)。いずれにしても、聴いてもらえている実感があるし、気分がいいんだ」

ウィーザーは『シーズンズ:ウィンター』の国内盤CDが2023年2月8日にリリースされることが決定している。

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