ライターのバリー・コールマンは最終的にお蔵入りになったミック・ジャガーの自伝のゴーストライターを務めたことで、1983年に過酷な2週間を過ごしたことを振り返っている。
ザ・ローリング・ストーンズのフロントマンであるミック・ジャガーは回想録を出版したことはなく、以前に自伝を書く作業について「単純に退屈で面倒くさかった」と語っていた。
バリー・コールマンは『ガーディアン』紙に自分の前のゴーストライターが自伝を完成させることができず、1983年に出版社のワイデンフェルト&ニコルソンからそれを引き継ぐよう依頼されたことを振り返っている。
「ワイデンフェルト&ニコルソンに言われたんだ。『僕らの知る中でこれをできる唯一の人間なんだ』ってね」とバリー・コールマンは語っている。「そうして、ひょんなことでミック・ジャガーのゴーストライターのゴーストライターになったんだ」
こうしてバリー・コールマンはニューヨークでミック・ジャガーの自伝に取り組むことになったが、元々のゴーストライターと「電話で連絡がつかなく」なり、このプロジェクトを完成させる締切が2週間しかないことを伝えられたという。
「2章ぐらいしか整ってなかったね」とバリー・コールマンは作業に取り掛かった時の状況について語っている。「残りは大量のインタヴューの起こしだった。しかも、最近の話はなかった。すべてをまとめ上げるのはすさまじい体験だったね」
ミック・ジャガーのインタヴューではキース・リチャーズと初めて出会った時のこと、1969年のブライアン・ジョーンズの死、観客のメレディス・ハンターがヘルズ・エンジェルズのメンバーに殺害されたオルタモントの悲劇などに言及されていたという。
「そうした大きな話題はあったんだけど、興味深い発言はまったくなかったね」とバリー・コールマンは素材について語っている。「そうした感覚というのは起こし全体にあったよね。ミックは本当のことは言わず、誰かを傷つけないようにしているかのようだった」
バリー・コールマンは2週間の締め切りで自伝を完成させたものの、ミック・ジャガーの不信感は増していき、最終的に回想録を出版する計画は頓挫している。
「彼がまだやりたいと思っているか、もう一度やる可能性はあるか、話をしたけど、でもそうじゃなかったんだよ」とバリー・コールマンは最後に交わした会話について語っている。「ミックは僕のせいにもしなかった。ただ、やりたくなかったんだ」
「彼はその波乱万丈な人生について平凡なものを出さないことによってファンを尊重したんだと思う。38年間、ある種のフラストレーションと共にこの話を抱えてきたけど、ある意味、平凡な本が出るよりもこのことのほうがミックについて多くを物語っているんじゃないかな」
「ミックはセラピストのような人と話をして、違ったところから彼の人生にアプローチする必要があったのかもしれない。その代わりにミック・ジャガーという人にとってみれば、あまりにありきたりなものになってしまったんだよ」
ミック・ジャガーは以前2014年に自伝を読みたければ「ウィキペディアを見ればいい」と語っている。
2017年には編集者のジョン・ブレイクがミック・ジャガーの未完成原稿を持っていると述べており、「短い傑作」と評していた。
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