10位 アンノウン・モータル・オーケストラ『マルチ・ラヴ』

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ポリアモリー(複数の相手と関係を持つ恋愛関係)に驚きながら、フロントマンのルーバン・ニールセンは、自身の愛と困惑をファンキー・パワー・ポップとフラフラとしたサイケデリック・ディスコによる9つの洒落たトラックに注ぎ込んでいる。自身の戸惑いを楽しく魅力的なサイコ・ポップに変えてしまう男の前では、プリンス、ベック、スライ・ストーンやシュギー・オーティスらさえ普通に感じてしまう。


9位 ザ・マッカビーズ『マークス・トゥ・プルーヴ・イット』

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ザ・マッカビーズは5枚目のアルバムを制作するために、3年間、南ロンドンのエレファント&キャッスルのスタジオにこもっていたという。『マークス・トゥ・プルーヴ・イット』は近年高級化している南ロンドン一帯へ捧げられている。サウンドは弾むリフと流れるピアノ(“Spit It Out”)からより優しい、内省的な曲(“River Song”)へと移り変わる。厳粛、そして荘厳だ。


8位 フォールズ 『ホワット・ウェント・ダウン』

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もう少し太った方がいいと思われていたオックスフォードのマスロック・アーティスト、フォールズ。だが、メタル風のリフを聞くと、彼らが格闘家にでもなったのかと思ってしまう。他にも“Birch Tree”や“Give It All”のように、より練られたエアリー・ファンクもある。氷の様に冷たい“A Knife In The Ocean”は地球規模な楽曲という意味で、“Spanish Sahara”にも匹敵する。


7位 ラナ・デル・レイ 『ハネムーン』

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2015年は明るいニュースがあまりなかった。ラナ・デル・レイのとんでもなく暗いサード・アルバムはこの時代精神を捉えている。『ハネムーン』はまるで崩壊したハリウッド・ドリームによるディズニーのおとぎ話のようだ。痛々しいヴォーカルとかすれた弦楽器の音が、ヘロインを吸い込んだ様な一節、「床の上にいる あなたはとてもアール・デコね/ピストルのように、冷たく、不確かに光ってる」の上で展開する。


6位 チャーチズ 『エヴリ・オープン・アイ』

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2013年のデビュー作に続く本作で、チャーチズは以前のアルバムで良かったところを、より強いメロディ、より大きなコーラス、そして、より強力な気持ちでもってレコーディングしている。これは“Never Ending Circles”や“Clearest Blue”といった楽曲で顕著で、彼らの大志をクリアに、そのサイズのまま映し出している――チャーチズはインターネット上で生まれ、アリーナへ向かっているのだ。


5位 テーム・インパラ『カレンツ』

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オーストラリア発・サイケデリック・ミュージックの先駆者は『カレンツ』で、ギターをベースにした音とは決別した。―「They say people never change, but that’s bullshit(人は変わらないなんて言うけれど、それは大嘘だ)」と、ケヴィン・パーカーは“Yes I’m changing”で適切に指摘している。ファンはディスコ色のちりばめられた新しいサウンドを恐れることはない。ケヴィン・パーカーの神経質で不安定なサウンドは、変わらず人を夢中にさせるのだ。


4位 ウルフ・アリス『マイ・ラヴ・イズ・クール』


ウルフ・アリスがこれだけ独創的で爽快で崇高なアルバムを作るとは、誰も思わなかっただろう。わめくようなコーラス(“Fluffy”、“You’re A Germ”)からソフトな楽曲(“Soapy Water”“The Wonderwhy”)まで、彼らは野心とともに台頭してきた。初期のシングルでは、よくあるグランジ・バンドのようにも聴こえないでもなかった彼らだが、今回は幅広い音楽性を見せつけている。


3位 ジェイミー・エックス・エックス 『イン・カラー』

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ザ・エックス・エックスの物腰柔らかなプロデューサーであるジェイミー・スミスが、エレクトロニカの広大な海へ、壮大な旅に出た。6年の制作期間を経て、このアルバムはリスナーをドラムンベースの世界からディスコ、夏のダンスホールへといざなう。エックス・エックスのメンバーやヤング・サグもゲストで参加している。『イン・カラー』からは、ジェイミー・エックス・エックスのソロ活動に対しての自信が見て取ることができる。


2位 ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』

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今年発売されたアルバムで『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』ほど、その重要性が間違いない作品はない。ケンドリック・ラマーのセカンド・アルバムは臆することなく気高く、野心的に作られている。ジャズ、ファンク、ソウル、喋り言葉とヒップ・ホップの要素を混ぜ合わせ、2015年のブラック・アメリカンの文化的体験の証(と論文)を残そうとしている。


1位 グライムス『アート・エンジェルズ』

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グライムスがキラーなポップ・ソングを書けることは既に知っている。しかし、『アート・エンジェル』で彼女は、それを14曲も続けて書けることを証明した。ポップにしようと努めているように聴こえることはなく、自分自身のイメージを形作ってみせた。この世代の最もエキサイティングなアーティストによる、今年最高のアルバムだ。

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