20位 グレイス・カーター(8/16 MOUNTAIN STAGE)

GraceCarter
曲間には笑顔を覗かせ、観客に手も振ってみせるグレイス・カーター。しかし、ドラマーとキーボーディストをバックに重低音の利いたアレンジで音楽が奏でられた瞬間に表情は一変する。その力強い歌声は既に音源でも担保されていたものだったが、楽曲のビートを最大限に響かせるような音響をものの見事に乗りこなしてみせる彼女のヴォーカリストとしての実力は確かなもので、歌声で空間を掌握する力を持っている人であることを確信する。6月にリリースされたクリス・アイザックによる“Wicked Game”のカヴァーや、“Learn To Love”や“Fight For You”といったまだ正式にはリリースされていない楽曲も披露されたこの日のステージ。最後に披露されたアンセム“Why Her Not Me”を聴きながら、彼女のデビュー・アルバムとその先のフェーズが待ちきれない自分がいた。

19位 サム・フェンダー(8/16 SONIC STAGE)

SamFender
入念なサウンドチェックを経て、サム・フェンダーが大所帯のバンドと共にソニック・ステージに登場する。シンガーソングライターとして最もUKで注目を集めている期待の新人の1人だが、1曲目に披露された“Millennial”でライヴでのアンサンブルこそが彼の肝となっていることを確信する。4曲目に披露されたデビュー作『ハイパーソニック・ミサイルズ』の楽曲“The Borders”やその表題曲“Hypersonic Missiles”など時にはサックス奏者も加わりながら、彼が披露していくサウンドにはポスト・パンクやネオアコ、シューゲイザーを初めとしたUKのインディ・ロックの系譜がそのテクスチャーに詰め込まれていて、そのグラデーションが見事だった。メッセージ性を掲げたシンガーソングライターとして注目を集めてきた彼だが、何よりライヴこそが彼の音楽の真価を発揮する場所なのだということを痛感する時間だった。

18位 ザ・レモン・ツイッグス(8/17 BEACH STAGE)

LemonTwigs
バンドによるジャム“Fistful of Funk”からスタートしたザ・レモン・ツイッグスのステージ。初っ端からステージに倒れ込んでみせるなど、タイトな衣装で文字通り縦横無尽に動き回るマイケルと、長髪を揺らしながらギターを掻き鳴らしていくブライアンのダダリオ兄弟、その衣装や出で立ちも相まって、オーディエンスはのっけから彼らの愛するクラシックなロックンロールの世界にいざなわれていく。その場に世界観を創り上げることを可能にしているのはロックンロールを知り尽くした彼らの確固たる自信で、それはフィナーレを飾った“If You Give Enough”を初め、ミュージカル風の最新作『ゴー・ トゥ・スクール』の楽曲が中心となっていたこの日のステージでより一層際立っていたのではないだろうか。集まった観客は多いとは言えなかったが、その120%のパフォーマンスにブレーキをかけることはなく、自らが信じるロックスター像を全力で体現していく姿は愛さずにはいられないものだった。

17位 ペール・ウェーヴス(8/16 SONIC STAGE)

PaleWaves2019
デビュー作のリリースを翌月に控えた1年前のサマーソニックで初めて日本のステージに立ち、この1年の間にはサポート・アクトとして、レーベルメイトで恩人のザ・1975との大規模なワールド・ツアーも経験したペール・ウェーヴスだが、このバンドの煌めきは何度体感してもたまらない。ヘザーのフロントウーマンとしての存在感が一段と大きくなっていたことはもちろん、キアラ・ドランが叩く重厚なドラムもさらに力強さを増したものになっていたし、彼らのパフォーマンス力にさらに磨きがかかっていたことは言うまでもないのだが、特筆すべきは、ステージを埋め尽くすように集まったオーディエンスから、一段と大きな歓声が上がるバンドになっていたということだ。昨年と同じくデビュー・シングル“There’s A Honey”で締めくくられたペール・ウェーヴスのステージは、彼らの成長と共に、ロックンロールの明るい未来を予感させるものだった。

16位 トゥー・ドア・シネマ・クラブ(8/16 SONIC STAGE)

TwoDoorCinemaClub
今年6月に通算4作目となる最新作『フォールス・アラーム』をリリースしたトゥー・ドア・シネマ・クラブだが、彼らの長年のファンであればお分かりいただけるように、新作をリリースしたからといって、特別何かが変化しただとか、革新的なコンセプトのようなものが導入されるわけではない。ギター・ミュージックへの底なしの愛と職人的とも言えるソングライティングの実力、それこそがトゥー・ドア・シネマ・クラブの醍醐味であり、その魅力はは通算5度目の出演となる今年のサマーソニックのステージでも爆発していた。ステージの幕開けを告げた“Talk”を初め、最新作からの楽曲ももちろん披露されつつ、“Undercover Martyn”や“What You Know”といった初期の代表曲も惜しみなく披露してくれる。彼らならではのポップネスが炸裂した、ポップ職人だからこそが生み出せる空間がそこにはあった。

15位 フォール・アウト・ボーイ(8/16 MOUNTAIN STAGE)

FallOutBoy
ピート・ウェンツはパフォーマンスの途中で「15年前に初めて日本に来ました。一緒に成長してくれてありがとう」と日本のオーディエンスへの感謝を語った。「日本で特別なことをしたい」と告げ、“Sugar, We’re Goin Down”でレッド・ツェッペリンのカヴァーで一躍世界的に有名になった9歳のドラマーである相馬よよかと共演した場面もあったが、ピート・ウェンツが最後に千葉ロッテマリーンズのユニフォームを着て登場したこと然り、“Sugar, We’re Goin Down”から“Immortals”、“Dance, Dance”、“Thnks fr th Mmrs”とバンドの各時代を象徴するような楽曲たちで構成されたこの日のステージは日本のキッズとのこれまでの道のりに感謝を告げてくれているような、愛に溢れたものだった。憎まれ役のエモ・キッズとしてシーンに登場した彼らもキャリアの紆余曲折を経て、一段と愛される存在になっているのが印象的なステージだった。

14位 キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン(8/17 SONIC STAGE)

Catfish2019
レッド・ホット・チリ・ペッパーズのステージを少し観た後、急いでソニック・ステージに駆けつけるという流れだったので、観られたのはライヴの後半だけだったのだが、正直、着いた時に集まっていた観客の数はまばらだった。だが、観始めた瞬間にバンドのテンションと気迫に圧倒される。ライヴという場所だからこそ最大の魅力を発揮できるギター・バンドとしての意地がそこにはあった。今年4月にリリースされたサード・アルバム『ザ・バランス』のアートワークを電飾でプレゼンテーションするステージはまさにバンドの現在を物語ろうとするものだったが、名曲の多い彼らの中でも自分としてはやっぱりこのステージで印象的だったのは最後の“Cocoon”と“Tyrants”というデビュー作の流れだった。なかでも“Tyrants”のジャム的セクションはヴァン・マッキャンの思いをそのまま見るような感じだった。それはまさに自分の思っているキャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメンだった。

13位 タッシュ・サルタナ(8/17 SONIC STAGE)

TashSultana
遂にタッシュ・サルタナを日本で観られる、その喜びはひとしおだった。2016年にオンラインにアップした、自身でいくつもの楽器を演奏して音を重ねていく映像が世界的に話題になったタッシュ・サルタナ。ギターもトランペットも、バンジョーも、鍵盤楽器もすべて自分で演奏し、ループ・ペダルで重ねながら自分一人で音楽を肉体化させていくという、マルチ・インストゥルメンタリストとしてのその並外れた才能の高さは既に映像でも証明されていたが、やはり生で観るとその天才っぷりは一目瞭然だった。満を持しての初来日となった彼女だが、話題になった当初よりもそのパフォーマーとしての力にさらに磨きがかかっていたのは言うまでもなく、待ち侘びていたオーディエンスの目を確実に惹きつけていく。その才能はあまりに大きく、このさらに先を期待せずにはいられないステージだった。

12位 ディスクロージャー(8/18 MOUNTAIN STAGE)

Disclosure
DJセットとして最終日のマウンテン・ステージのトリを務めたのはディスクロージャーだった。“When a Fire Starts to Burn”からスタートしたこの日のステージ、DJセットであるがゆえに当然のことながら、他のアーティストの楽曲も織り込まれることになるのだが、それらの楽曲たちはあくまで、自身の楽曲間を媒体する繋ぎのビートとしてミックスされていき、あくまで自分たちの楽曲の感触を確かめるようなプレイが続いていく。これまでの楽曲があれだけの楽曲なので、それはもちろん至福の空間を生み出すのだが、今年はDJセットでツアーを回っているので次の飛躍のための何かを探しているのだろう。音源の制作がDJセットの延長線上にある彼らだからこそ、こうしたアップデートは本質的な意味を持つ。昨年8月に最新EP『ムーンライト』をリリースしているディスクロージャーだが、彼らの次章を心待ちにしていたい。

11位 ウィーザー(8/16 MARINE STAGE)

Weezer
2000年に開催された第一回サマーソニックにも出演したウィーザーのステージは、同じく今年で25周年という記念すべきアニヴァーサリーを迎えたデビュー・アルバム『ブルー・アルバム』の“Buddy Holly”と“My Name Is Jonas”からスタートした。今年リリースされたカヴァー・アルバムよりTOTOの“Africa”やa-haの“Take On Me”も披露されたが、その2作品以外から披露されたオリジナルの楽曲群も“Perfect Situation”や“Hash Pipe”を初めとした名曲揃いで、そのすべての楽曲にシンガロングが巻き起こる。日本語MCもすっかり板についたリヴァース・クオモが書く楽曲の持つアンセムとしての力は言うまでもないが、やはり、ウィーザーというバンドがここ日本で多くの人々に愛されてきたからこそのシンガロングだろう。最後もデビュー・アルバムからの“Say It Ain’t So”で締めくくり、サマーソニックの20周年のみならず、ファンとの25年間を祝福してくれるようなステージを披露してくれた。

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