GETTY

Photo: GETTY

1996年8月10日・11日の2日間、オアシスはネブワース・パークで延べ25万人を動員し、オアシス史上最も大規模な野外コンサートとなったネブワース公演を行っている。あれから、ちょうど20年が経過した今回、当時あの現場に足を運んだ筆者が、あの時のことを改めて振り返っている。

————————————

「これは歴史なんだ。これこそが歴史なんだよ」。耳をつんざくような大歓声の波に向かって、ノエル・ギャラガーは尊大に言い放った。「まさに今こここそが、歴史なんだ」

そして、ネブワース公演は本当に歴史になった。あれはオアシスのキャリアの絶頂期だったと言えるだろう。真夏のハートフォードシャー州ネブワース・パークで、2日間にわたって延べ25万人の熱狂的ファンを動員し、ブリットポップの最高峰を極めた。

このあと、リアム、ノエル、ボーンヘッド、ギグジー、アラン・ホワイトが再びスーパーノヴァのように大爆発して、高みに到達することは二度となかった。

当時、最大規模と言われた野外ライヴに参加したファンの一人として、あれはまさに「俺はここにいる」と感じた瞬間だったのである。

その数カ月前にオアシスがメイン・ロードで行った2公演の方が間違いなく内容は充実していたのだが、ネブワース公演は時代を定義するイベントという印象がある。壮大かつとんでもないライヴだったのだ。ギタリストのポール・“ボーンヘッド”・アーサーズですら、このライヴ以上のものは到底できないと分かっていたため、バンドはそれ以降の大規模な野外ライヴを止めるべきだったと認めている。

サポート・アクトを務めたバンドも、それぞれ当時の逸話を語っている。特にザ・シャーラタンズはネブワース公演のわずか3週間前にキーボーディストのロブ・コリンズを自動車事故で亡くすという悲劇に見舞われていた。バンドが解散してもおかしくない出来事だったが、彼らのキャリアにおいてこの公演は大きな節目の1つとなった。「俺たちは観衆をひざまずかせ、涙を流させたんだ!」とティム・バージェスは、この公演の10年後に『NME』に対して語っている。「もし俺たちの演奏がひどいものだったら、バンドは終わりを迎えていただろうね。でも、そうじゃなかった。ザ・シャーラタンズの歴史の中で、あの瞬間が転機になったんだ」

ザ・プロディジーのリアム・ハウレットは25万人もの観衆の前で演奏した体験について「バカでかいレイヴ」だったと表現し、次のように続けている。「ネブワースは本当に美しくて、観客はあちこちでハイになってた。二度と再現できないイベントだよ、特別な瞬間だった」

そして、もちろんオアシス自身のパフォーマンスもあった。彼らの出番が来る頃には、観客の波がはるか数マイル先まで続いているように見えるほど広がっており、大勢の観客はステージを観るために双眼鏡が必要になる状態だった。ギターの音やリアムのうなるような歌声は聴こえるものの、前方にいない限り、オアシスのメンバーたちの顔は、はっきり見なかっただろう。

ノエルとリアムは胸を張り、ロックンロールの意味を表明する準備をしていた。彼らの大ヒットしたスタジアム・アンセムのどれかではなく、“Columbia”から始めるという圧倒的な演出は大胆かつ見事なアプローチで、頑固なオアシス・ファンたちが諸手を挙げて歓迎した。この曲に取って代われたのは“Rock ‘N’ Roll Star”くらいだろう。しかし、悲しいことにそれは最後まで演奏されることはなかった。

そこからは、ヒット曲(“Roll With It”、“(What’s The Story) Morning Glory?”、“Wonderwall”、“Live Forever”、“Don’t Look Back In Anger”)とかなり過小評価されているB面の曲(聖歌のような“Acquiesce”、ノエルの素晴らしい“Masterplan”)を織り交ぜてノンストップのパーティーが続いた。ライヴ後にリリースを控えていた『ビィ・ヒア・ナウ』からは“My Big Mouth”、“It’s Gettin’ Better (Man!!)”を披露し、実地検証を行っている。しかし、彼らはイギリス中のパブでリピートされていた『モーニング・グローリー』に収録されたヒット曲のクオリティとは比較しなかったようだ。

当時、オアシスが頂点を極めていた一方で、ザ・ストーン・ローゼズは内部崩壊の危機に瀕していた。バンドからは既にジョン・スクワイアが脱退しており、この2夜に限って、彼はノエルの隣に立ち、ネブワース公演に相応しく“Champagne Supernova”でフィナーレを迎えるというファンが歓喜する演出が行われた。マニック・ストリート・プリーチャーズのベーシスト、ニッキー・ワイアーは『NME』の取材に対して、その完璧なチームワークについて語っている。「俺にとっての最高の瞬間は、ジョン・スクワイアが登場して“Champagne Supernova”を演奏した時だね。あの瞬間はまるで、マンチェスターのマフィアのボスが一堂に会したような感じだった」

その7年後、ロビー・ウィリアムスはノエルに次のようなメッセージを添えて、タップダンス用の靴を贈ったという。「親愛なるN・ギャラガー氏、あなたはネブワースでの2晩は歴史になると言っていました。確かに、3晩では欲深いと思います。ロビーより」。「デブ・ダンサー」と呼ばれたロビーも、同じ会場で3公演を行って完売させているものの、彼のライヴを、オアシスが1996年の夏に行った公演のように懐かしく思い出す人は誰もいないだろう。

オアシスのネブワース公演のセットリスト

The Swamp Song
Columbia
Acquiesce
Supersonic
Hello
Some Might Say
Roll With It
Slide Away
Morning Glory
Round Are Way
Cigarettes & Alcohol
Whatever
Cast No Shadow
Wonderwall
The Masterplan
Don’t Look Back In Anger
My Big Mouth
It’s Gettin’ Better (Man!!)
Live Forever
Champagne Supernova
I Am the Walrus

Copyright © 2024 NME Networks Media Limited. NME is a registered trademark of NME Networks Media Limited being used under licence.

関連タグ