40位 ジェイムス・ブレイク『プレイング・ロボッツ・イントゥ・ヘヴン』



トラヴィス・スコットやビヨンセをスタジオでプロデュースする10年前、ジェイムス・ブレイクはその世代でも最も革新的と言えるエレクトロニック・ミュージックを作っていた。ロンドン生まれのポスト・ダブステップ・プロデューサーの通算6作目となるアルバムは自身のクラブのルーツに立ち返り、静かな部分でさえも一貫して独創的で力強いアルバムになっている。

39位 ホリー・ハンバーストーン『ペイント・マイ・ベッドルーム・ブラック』



グランサム生まれのシンガーソングライターであるホリー・ハンバーストーンの率直なデビュー作は彼女の得意なもので詰まっている。友情、恋愛、失恋に関する日記のような独白、やわらかに歌われる歌詞、逃げ込むことのできる陰鬱なメロディー。しかし、彼女のファースト・アルバムはそれに留まらず、ロックダウン中に初めてブレイクした20歳を超えて、彼女をどこにでも連れて行ってくる未来を見据えた希望あるアーティストのポートレイトとなっている。

38位 オガストD『D・デイ』



BTSのラッパーであるシュガことオガストDは“D-Day”の最初のラインで「未来も問題ない」と宣言してみせる。痛烈なアルバムはソロ3部作を締めくくるもので、さらに鋭く考えさせられる社会観察と自身の人生の振り返りとなっているが、穏やかさと受容、希望の余地も残されている。力強いヒップホップにBTSのジェイホープや亡き日本人作曲家の坂本龍一とのコラボレーションも収録され、さらにこのアルバムを豪華絢爛なものにしている。

37位 パリ・テキサス『ミッド・エアー』



カリフォルニア出身のデュオ、パリ・タキサスの刺激的なデビュー作はパンク、ラップ、ロック、ポップなど曲ごとに異なるヴァイブがミックスされている。“tenTHIRTYseven”の歌詞のウィットにしても、“Bullet Man”の乱暴な攻撃性にしても、“…We Fall”の辛辣さにしても、『ミッド・エアー』は予測不可能であり、聴くのを止めるのはさらに難しい。

36位 コリーヌ・ベイリー・レイ『ブラック・レインボーズ』



落ち着いたオープニング曲“A Spell, A Prayer”はコリーヌ・ベイリー・レイの精神的な新境地へと聴き手を引き上げる呪文のような役割を果たしている。揺らぎのあるニュージャズ、混沌としたオルタナティヴ・ポップ、死ぬほどラウドなグランジ・ギター。いや、こちらが適応する必要はない。かつて郊外で大流行したセンスあるネオ・ソウルのコリーヌ・ベイリー・レイのことを考えればいい。シカゴのストーニー・アイランド・アーツ・バンクを訪れたことをインスピレーションにした本作でコリーヌ・ベイリー・レイはジャンルを超えたスリリングな発見によって期待を超えてみせている。

35位 ハック・ベイカー『ワールズ・エンド・FM』



東ロンドンのハック・ベイカーは『ワールズ・エンド・FM』で現代のプロテスト・ミュージックへの信頼を取り戻したかもしれない。インディとゆるいポップが交錯するアルバムは終わりのない混乱に直面した時の不屈の努力を中心的なテーマとしている。音楽業界を食い物にする人々を糾弾するにしても、労働者階級を悪用することを批判するにしても、アルバムは感染力のある時事問題を扱ったエネルギーに満ちており、不当にも2023年のマーキュリー・プライズにノミネートされなかったことは議論を呼ぶことになった。

34位 ウェンズデイ『ラット・ソウ・ゴッド』



今年、ウェンズデイはインディ・ロックのアンダーグラウンド界で最もホットなバンドになったが、それには理由がある。『ラット・ソウ・ゴッド』は彼らの可能性を確固たるものにしたアルバムで、彼らにしかできない本当に素晴らしい楽曲のコレクションとなっている。貧相なカントリーにスラッカー・ロックと激しいシューゲイザーを組み合わせて、絶望的なほど悲しく、皮肉にも笑えるアメリカの郊外の物語を語っていく。不器用で、みすぼらしいけれど、そこには気持ちが詰まっている。

33位 レイヴェイ『ビウィッチド』



レイヴェイは豪華かつ緻密なセカンド・アルバムでちょっとした魔法のようなトリックを披露している。モダンジャズのサウンドをポップやボサノヴァの要素で昇華させた楽曲は非常にタイトに構成されているにもかかわらず、難なくやっているように感じさせてくれる。2022年発表の『エヴリシング・アイ・ノウ・アバウト・ラヴ』が並外れた才能を紹介するものだったとしたら、『ビウィッチド』は彼女がついに到着したことを証明するものだ。

32位 ザ・ナショナル『ラフ・トラック』



2023年はマンネリにはまっていたバンドにとってクリエイティヴ面での再生となる年だった。パンデミックの間にテイラー・スウィフトとの作品でより多くの聴き手とは出会っていたものの、マット・バーニンガーは『NME』に対してザ・ナショナルが作家としてのスランプの中でお互いに繋がり合うのに苦労したと語っている。彼らは2枚のアルバムをリリースして、最初の『ファースト・トゥー・ページ・オブ・フランケンシュタイン』で状況を打破して、彼らの魔力が再燃して急速に完成したという9月の『ラフ・トラック』は明るく素晴らしい作品になった。この2枚を組み合わせていたら、順位はもっとずっと上だったかもしれない。

31位 ケイトラミーネ『ケイトラミーネ』



汗ばむ夏に季節に合った楽曲を届けるという点ではラッパーのアミーネとプロデューサーのケイトラナダほど、熱をくれたアーティストはいなかった。ファレル・ウィリアムスが手を貸したダンサブルな“4EVA”からスムースで流れるプールのような落ち着きのあるR&Bトラック“Rebuke”まで、冷たい飲み物を開けるのにこれほどのアルバムはないだろう。もう少し精力的なのであれば、クラブでの汗ばむような夜のサウンドトラックにもいいかもしれない。

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