30位 ル・セラフィム『アンフォーギヴン』



「I’m Fearless(私は恐れ知らず)」のアナグラムとなる名前を持つKポップのルーキーであるル・セラフィムはこの野心的なデビュー・アルバムで言葉だけでなく、行動で示してみせた。“Flash Forward”では甘いポップネスを簡単にものにしてみせ、“Impurities”では氷のようなR&Bをたやすく展開し、一方、感動的なバラードの“FEARNOT”はきらびやかなエモの影に強さが見える。“UNFORGIVEN”、“ANTIFRAGILE”、“Eve, Psyche & The Bluebeard’s Wife”の3曲は彼女たちならではのスタイルである、ベースの効いた反抗的なアンセムであり、パーティーに勇気をもたらしてくれるだろう。

29位 ピンクパンサレス『ヘヴン・ノウズ』



2023年のポップ・アルバムでシェイクスピアの『リア王』を再解釈する人なんて他にいるだろうか? 彼女のヴィジョンに対する思いというのは感動的なもので、デビュー・アルバム『ヘヴン・ノウズ』ではそれが実を結んでいる。フックを書く能力は比類なきもので、ものすごくキャッチーな“Nice To Meet You”を見てみればいい。ピンクパンサレスのサウンドを面白い新たな領域まで拡張してみせる音楽面での実験もたくさん行われている。グラミー賞はこのスターをノミネートさせなかったことを後悔すべきだ。

28位 ウォーター・フロム・ユア・アイズ『エヴリワンズ・クラッシュド』



今年、ウォーター・フロム・ユア・アイズほど楽しいサクセス・ストーリーは他にあっただろうか? この2人組は『エヴリワンズ・クラッシュド』でブレイクを果たすまでに4枚のアルバムをリリースしている。爽快なポップ・ソングによるこのアルバムは夏に回ったフェスティバルがかなり話題になったおかげで、より重要な作品となることになった。本作で彼らは核にある独自性を反映させた音楽を作ったことで、新しいオーディエンスから両手を広げて受け入れられることになった。

27位 キラー・マイク『マイケル』



人種、不平等、男性らしさ。キラー・マイクはこの無秩序な大作でそのすべてを扱っている。ラン・ザ・ジュエルズのラッパーにとって10年以上ぶりとなるソロ・アルバムはタイトルにある通り、マイケル・レンダーという男が正直にありのままの世界観を語った赤裸々な作品でもある。フックがありつつ胸を打ち、時にユーモラスなアルバムだ。

26位 アール・スウェットシャツ&ジ・アルケミスト『ヴォワール・ダイア』



『ヴォワール・ダイア』は不思議な始まりだった。プロデューサーのジ・アルケミストは2021年に2人はYouTubeで見つからない偽名で「秘密」のアルバムをリリースしたと述べている。その謎めいた予告が最終的に本作へと繋がり、両者の最高のスキルがシャープに融合した作品が2023年8月にリリースされることとなった。“Vin Skully”と“Heat Check”では楽しい形で洗練さと派手さが両立している。

25位 ロレイン・ジェイムス『ジェントル・コンフロンテーション』



ロレイン・ジェイムスを聴くことは敬虔な行為であり、『ジェントル・コンフロンテーション』はその思いやりを描く能力に驚かされる。贅沢さと重層性、そして断片性が等しく存在しながらも、個人的なジャンルの影響を取り入れたり、家族の声を使ったりと様々なクリエイティヴな形でロレイン・ジェイムスが弱さを表現するのを聴くことは、アンダーグラウンドのクラブ・シーンから届いた刺激的で、心あたたまるリスニング体験となった。

24位 イェジ『ウィズ・ア・ハンマー』



韓国系アメリカ人アーティストのイェジによる待望のデビュー・アルバムは最も野心的な彼女を見せてくれる。『ウィズ・ア・ハンマー』が怒りから生まれた作品であるのは疑いようがないが、エレクトロニックの熱狂から穏やかな瞬間までを行き来するこのアルバムの音楽的コントラストはそうした感情を表現する様々な方法があることを証明している。

23位 ラナ・デル・レイ『ディド・ユー・ノウ・ザット・ゼアズ・トンネル・アンダー・オーシャン・ブルバード』



ファーザー・ジョン・ミスティとトミー・ジェネシスが参加した本作はこれまでで最もコラボレーション的な作品かもしれないが、最もパーソナルな作品だとも感じられる。静謐な実験性、入り組んだフォーク、魅力的なインストゥルメンタルを行き来する16曲で彼女は家族という概念を掘り下げている。家族に生まれ落ちる者、未来に家族を思い描く者、パートナーに家族を見出す者。深い奥行きのある本作はラナ・デル・レイの達人としての地位をさらに明らかにすることになった。

22位 ブロンドシェル『ブロンドシェル』



ブロンドシェルのセルフタイトルのアルバムは彼女の最も個人的で激しい感情を抽出して、輝かしいオルタナティヴ・ロックの傑作を生み出すことになった。「Just look me in the eye when I’m about to finish / I think my kink is when you tell me that you think I’m pretty(私がいきそうな時は私の眼を見て。私のツボはあなたが私のことを可愛いと思っているという時なの)」という“Kiss City”の官能的な生々しさから、「Look what you did, you made a killer of a pacifist(自分のやったことを見て。あなたは平和主義の殺人者を生み出したの)」という“Salad”の激しさまで、それぞれの曲が新進気鋭の才能に光を当てている。

21位 スリープ・トークン『テイク・ミー・バック・トゥ・エデン』



ここ数年で足場を固めたスリープ・トークンは『テイク・ミー・バック・トゥ・エデン』で2023年において最も重要と言っていいメタル・バンドとしての地位を確立することになった。ジャンルを超えた実験的なアプローチも考えられたかもしれないが、“The Summoning”や“Granite”といったトラックを擁した最終的な作品はアリーナを埋めるバンドとしてのポジションを生み出し、今日のロック・シーンに新鮮な風を吹かせることになった。

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