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アイアン・メイデンのシンガーであるブルース・ディッキンソンはイギリスのEU離脱を問う国民投票で賛成派に投票した理由を語っている。

イギリスでは2016年6月に、加盟国間の移動の自由などが保障される、ヨーロッパの28か国からなるEUからの離脱の是非を問う国民投票が行われている。この国民投票では52%対48%で離脱派が勝利することとなり、2019年3月から正式に移行期間に入る予定となっている。

ブルース・ディッキンソンは今回、仏『ロブス』誌とのインタヴューの中でEU離脱に賛成票を投じた1人であることに言及して、イギリスがEUから離脱することについて「とても楽観的に見ている」と語っている。

「もしミュージシャンたちがヨーロッパを運営していたとしたら、ヨーロッパはもっとうまく回るんだと思うよ。俺たちならきっと、お互いの考えに『そうだよな!』って言っているんだろうからね」とブルース・ディッキンソンは語っている。

「アイアン・メイデンの音楽はグローバルだ。あらゆる場所に俺たちのファンがいるからね。EUの一部ではないオーストラリアでのツアーだって、何ら問題ない。日本へのツアーだって問題ないよ。日本もEUの一部じゃないけどね。アメリカへのツアーも問題ない。おっと、ちょっと待てよ……アメリカもEUの一部じゃないよね。ところで、それらの国のミュージシャンたちがヨーロッパに来る時には、何らかの問題があるのだろうか? 『ノー』だよね」

英首相のテリーザ・メイがEU離脱の是非を問う2度目の国民投票の実施を断固として拒否している一方で、離脱に賛成票を投じた有権者の一部は、EUから離脱しても大きなダメージはなく、移住者への恐怖を煽る脅迫的な政策を施行するというプロパガンダに扇動されて投票してしまったと主張している。

「多くのデタラメだったり恐ろしい話がでっち上げられているよね……それも(EU離脱派と残留派の)両方の陣営からさ。すごく大人気ないよね」とブルース・ディッキンソンは続けて語り、EUを離脱することで「俺たちはもっと自由になれると思うし、ヨーロッパの住民にとっても利点はあると思うんだ」と続けている。

「実際に今はどんなことが起きているのかというと、EUにヨーロッパの民主主義者を満足させられるような働きができていないことは明白なわけでね」と彼は続けている。「イギリスのEU離脱に止まらず、イタリア人やギリシャ人、ハンガリー人、(スペインの)カタルーニャ人……あらゆる国の人々の間でポピュリズム的な運動が起きているんだよ。それも、彼らの民主主義的なニーズを(EUの本部がある)ブリュッセルが満たすことができていないからなんだ。彼らのニーズを満たせるのは、民主主義で選ばれたリーダーたちだけだからね」

ブルース・ディッキンソンは続けて、EUの一部の政治家がイギリスのEU離脱に苦言を呈していることに言及して、次のように語っている。「世界で5番目の経済規模を誇る国家の人民が下した民主的な決定を罰せられるのだとしたら、そんなのは不条理だと思うよ」

「EUはこれまで、基本的には俺たちを単なる市場の一つとして見てきたんだ。共通の市場の一部としてね。確かにそれには利点もあるよ。分からなくもない」とブルース・ディッキンソンは語っている。「けど、イングランドにそんなことを望んでいる人はいないんだ。EU残留に投票した人たちだってそうさ。誰も連邦制度の一部になることなんか望んでいないんだよ。この考えについては個人的に大きな間違いだと思っていてね」

「イギリスはこれまで、他の国との通商国家として成り立ってきたんだ」と彼は続けて語っている。「1960年代になってイギリスは初めてヨーロッパを貿易の中心地として見なすようになったわけだけど、それは大きな間違いだったんだよ」

「EUを離脱すれば、国境を開くことになるんだ。EUを離脱することで、イギリスは世界中と繋がることができるようになるんだよ」

「EUを離脱するにあたってどんな合意がなされようと、イギリスという国家を大きく変えることにはならないと思うし、むしろ経済的な可能性が広がることになると思うんだ」とブルース・ディッキンソンは続けている。

「そうなれば俺たちにとってありがたいことだし、長い目で見ればヨーロッパにとってもいいことだと思うんだ。イギリスは世界で5番目に大きい市場を誇っているわけで、EUもイギリスの市場とは関係を持ちたいと思うはずなんだ。そうすればすぐに、人々はEU離脱を巡って繰り広げられたイザコザなんか忘れて、『UKと新しい関係が築けた。以上。お話はおしまい』って思うようになるはずだよ。そうなれば、俺たちもやるべきことに集中できるはずさ。EUとより親密になって、お互いに輸出入の取引をするようになって、音楽を作って、愛を築いていくっていうね。そうやって、ウラジーミル・プーチンが俺たちの国を統治することはないっていうことを確信していけばいいんだ」

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