Steve Gullick

Photo: Steve Gullick

アイスエイジが4月に来日公演を行うことが決定している。

アイスエイジは今回5月4日にマタドール・レコーズよりニュー・アルバム『ビヨンドレス』をリリースすることを発表している。それに合わせてスカイ・フェレイラをゲスト・ヴォーカルに迎えた新曲“Pain Killer”も公開している。

以前公開された“Catch It”のミュージック・ビデオはこちらから。

ニュー・アルバムのリリースに先立って、4月に京都と東京でアイスエイジがキュレーターを務めるスペシャルイベント「OPENING NIGHTS」が開催される。チケットは3月4日から発売される。

イベントの日程は以下の通り。

2018/4/3 (TUE) 京都 METRO
OPEN 19:30 / START 20:30

2018/4/6 (FRI) 東京 duo MUSIC EXCHANGE
OPEN 19:30 / START 21:00

2018/4/8 (SUN) 東京 VACANT
OPEN 16:30 / START 16:30

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認ください。

http://www.bigloverecords.jp/

なお、ニュー・アルバムに対してリチャード・ヘルが以下のエッセイを寄せている。

「自分が子供の頃に、扉を閉めた暗い自分の部屋で、このバンドを聴いて、自分が必要としているものが得られているところを容易に想像できる。バンドは、その音楽を聴いた人の存在を肯定し、自信を与え、時には理想を提示してくれる。もしくは、自分はすでに反抗的で自分とは何かという確信があるから、アイスエイジに共感するのかもしれない。アイスエイジもそうだから。彼らに、音楽を通して自分というものを代表してもらいたい。ロックンロールのバンドとその作品が、若い観客に提示したり分け与えたりするものには、奇妙な性質が組み合わさっている。音楽には純粋な感情がある。それは、若者の強い感情、つまり怒り、悲しみ、軽蔑、憧れなど。それ以外にも音楽にはエネルギーやセックスがあり、バンドはそれら全てを優雅に保有でき、提供でき、それらの中で混乱するフォロワーたちを慰められるということを披露しなければならない。

ではアイスエイジが具体的にもたらすものは何なのだろう?たくさんの非日常的なもの(詩だ!これについて後で詳しく書く)。バンドメンバー同士は幼馴染、それは良いことだ。彼らはお互いを信頼し合い、外部者を疑う(私みたいな音楽ジャーナリストが一番疑われる)、都会の小さなギャングのようなものだ。同時に彼らは、大人っぽく見えるし、有能そうにも見え、それは期待以上になっている。彼らは演奏と作曲がうまい上に、アルバムのプロダクションに関しても初期段階から、たとえ音楽が最も混沌を極めている時でも、非の打ち所が無い。彼らの演出は、他の誰よりもハードコアでアナーキーなのに、他のほとんどのバンドよりも、上手に演奏し、ミキシングをし、レコーディングをしている。

そこに詩と知性が加わる。アイスエイジのメンバーは賢いだけでなく、非常に文学通でもある。リードシンガーであり歌詞も書いているE・ロネンフェルトのインタビューでは、カーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』や、ジョルジュ・バタイユの『眼球譚』、ピーター・シェーファーの『エクウス』、三島由紀夫の『午後の曳航』、ジュネの『泥棒日記』と『薔薇の奇跡』、オクターヴ・ミルボーの『責苦の庭』、ヘンリー・ミラーの『Writing』、ジェームズ・エイジーの『A Death in the Family』が言及されており、それも計4回のインタビューの中である。別に自慢するわけでもなく、彼はただ素直であり、文学というものを自然に認識しているだけのことだ。

アイスエイジの曲の歌詞には、私が今まで聴いたロック音楽の中で最も洗練されたボキャブラリーが使われている。大好きな例として、新作からの「Pain Killer feat. Sky Ferreira」がある:

 君の足元を祭壇にして祈る
 君の涎はものすごくほろ苦い麻薬
 何が得られるかは自分で勝手に決める (arrogate)
 つかの間の抱擁の中で

…「arrogate」???私はこの単語を部分的にしか知らなかったので、確認のため調べた。「不当に称する・獲得する」という意味らしい。ラテン語の語源からは「arrogant (傲慢な)」という単語もあり、こちらの方がロネンフェルトに当てはまるのではないかと思う人もいるだろう。特に、人々が彼のことを理解する時、彼が見せる軽蔑な表情に対して。だけど、私にはわかる。他人に自分のことを特徴付けられるのは非常に鬱陶しいことだ。そして「arrogate」が暗示する意味は、「take (取る)」や「seize (獲得する)」や「claim (主張する)」では表現できない、別の繊細さを歌詞に与えてくれる。だが率直に言って、私がこの歌詞のどこが本当に好きかというと、彼が愛人の足元で祈っているという概念だ。これは良い。別の詩人、「美への賛歌」を書いたシャルル・ボードレールの似たような情景を思い出した:

 お前が来たのが天であれ地獄であれ、それに何の意味があろう、
 おお、美よ! 巨大で恐ろしく、無邪気な怪物よ!
 もしもお前の目、微笑、足元が、私の愛する決して知ることのない
 無限への扉を私に開いてくれるのであるなら?」

ニュー・アルバムは全10曲を収録し、国内盤CDには、前作リリース以降からライブでは披露されながら、まだタイトルすら決まっていないという貴重なボーナストラックが追加収録される。

リリースの詳細は以下の通り。

label: MATADOR / BEAT RECORDS
artist: Iceage
title: Beyondless
国内盤CD OLE13762 ¥2,200+tax
1. Hurrah
2. Pain Killer
3. Under the sun
4. The day the music dies
5. Plead the fifth
6. Catch it
7. Thieves like us
8. Take it all
9. Showtime
10. Beyondless
+ Bonus Track for Japan

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