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メタリカの『メタル・ジャスティス』を手掛けたミキシング・エンジニアは同作でのラーズ・ウルリッヒのドラム・サウンドについて「ひどい」と評している。

スティーヴ・トンプソンはクリフ・バートンが亡くなってから初のアルバムとなった1988年発表の通算4作目『メタル・ジャスティス』のミキシングを共同で手掛けていた。

『メタル・ジャスティス』は高い評価を受けているものの、ジェイソン・ニューステッドの聴こえにくいベースと乾いた安っぽいサウンドは長い間にわたって批判されてきた。今回、ディーン・クレイマーによるインタヴューでスティーヴ・トンプソンはメタリカとの仕事について語っている。

「ラーズは元々自分のしたいドラム・サウンドに関するイコライザーのセッティングを持ってきていたんだ。それで僕のパートナーだったマイケル・バルビエロは『なんでラーズと話をして、自分のしたいドラムにしないんだ? そうしてくれれば、残りは自分が面倒を見るのに』と言っていたんだよね。実際、彼はそうしたわけだけど、それを聴いて、僕は『からかっているのかい? このサウンドはひどいと思うよ』と言ったんだ」

「それで、もう少し分かりやすいサウンドにするためにイコライザーをやり直したんだ。とは言っても主観だからね。ベースを上げて、ベースはいい感じになったと思う。ジェイソンのベースの素晴らしさは知っているだろ? ジェイムズ・ヘットフィールドのギターとの組み合わせは素晴らしいよ。彼らはやるべき2人という感じだったんだ。それは完璧な演奏だったよ」

彼はそれをメタリカのメンバーに聴かせたところ、ジェイムズ・ヘットフィールドは了承したものの、ラーズ・ウルリッヒは満足せず、『俺のドラムのサウンドに何をしてくれたんだ?』と言ってきたと説明している。

「僕は『本気かい?』と言ったんじゃないかな。でも、彼の求めるサウンドにするためにドラムのサウンドをアレンジし直さなければならなかった。彼は『ベースを見てくれ。ミックスを下げるんだ』と言ってきてね。それで『なんでだい? 素晴らしいのに』と言ったんだけど、『ミックスを下げるんだ』と言っててね。それで冗談としてかなり下げてみたんだ。そうしたら彼は『そこから5〜6デジベル下げるんだ』と言っててね。それでほとんど聴こえなくなってしまったんだよ。僕は『本気かい?』と言って、ジェイムズ・ヘットフィールドの方を見たら、両手を挙げていたんだ」

スティーヴ・トンプソンは「その出来栄えを気に入っていない」としながらも「これは自分のアルバムではなく、彼らのアルバム」だから「その意見は尊重しなきゃいけない」と続けている。

メタリカは先月、サンフランシスコのチェイス・センターで結成40周年記念コンサートとなる2公演を行っている。

メタリカは1公演目で1997年発表のアルバム『リロード』に収録の“Fixxxer”をライヴで初めて披露したほか、2公演目では“Death Magnetic”と“Dirty Widow”を10年以上ぶりに披露している。

「40年間も俺たちのことを応援してくれたことに感謝しているんだ。今もなおずっと一緒にいられることが嬉しいよ」とフロントマンのジェイムズ・ヘットフィールドは公演で観客に語っている。

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