5位 フォール・アウト・ボーイ(8/19 MARINE STAGE)
デビュー・アルバム『テイク・ディス・トゥ・ユア・グレイヴ』が出たのが2003年なので、今年でデビュー20周年だが、最新作ではレーベルの移籍も経験することになった。そんな彼らがここまでのキャリアを歩んできたからこそできる集大成と言えるステージだった。昔から演奏が取り立てて上手いかと言われれば、そうでもないのだけど、この人たちはとにかく曲がある。最新作の“Love From the Other Side”で幕を開け、“The Phoenix”が続き、3曲目は早速“Sugar, We’re Goin Down”だ。“Uma Thurman”では彼女の映像も使われ、その後も時代を彩ってきた曲には事欠かない。“Grand Theft Autumn/Where Is Your Boy”も、“This Ain’t a Scene, It’s an Arms Race”も、“Dance, Dance”も、“Thnks fr th Mmrs”も披露され、最後は原点と言えるようなデビュー作の“Saturday”だった。酸いも甘いも経験してきた今のフォール・アウト・ボーイならではの説得力を感じたステージだった。
4位 FLO(8/20 MOUNTAIN STAGE)
本人たちが登場する前のジャム・セッションの音の鳴りからして違う。それだけ期待されているということだろう。毎年BBCが選ぶ新人ランキングで1位を獲得し、ブリット・アウォーズでもライジング・スター賞を受賞した彼女たちだが、その評判は本物だった。“Not My Job”から始まったライヴだが、まず心を奪われたのはその色気だった。動画や写真では分からない存在感というものがあって、一挙手一投足から目が離せない。“Immature”や“Another Guy”でもステラ、ジョルジャ、レネーによるハーモニーは素晴らしく、一旦3人が捌けるインタールードを経て、ライヴの定番となっているデスティニーズ・チャイルドの“Independent Women, Pt. 1”のカヴァーも投下される。最後はミッシー・エリオットとのコラボレーション曲“Fly Girl”、“Losing You”を経て、代表曲“Cardboard Box”という展開だったが、TLCを始めとするガールズ・グループの系譜を正面から受け継ごうとする意志が眩しかった。
3位 フライング・ロータス(8/18 MOUNTAIN STAGE)
2017年に発表した“Twin Peaks Theme”のリミックスから始まったライヴは序盤は『弥助』のサウンドトラックからの“Pain and Blood”、“Kurosaka Strikes!”、“Crust”といった楽曲が続いて、目下の最新アルバムのモードで進行するが、『フラマグラ』からの“Black Balloons Reprise”あたりからギアがかかり始め、“Eyes Above”のリミックスや“Never Catch Me”ですっかり世界観を作り上げていく。その後はDJタイムへと突入していくのだが。フライング・ロータスのライヴにおける最大の醍醐味は、作品ではしっかりと構築されていた世界があのトレードマークのブレイクビーツを旗印に、他のアーティストの曲とも相俟って融解していくことだろう。この日はその真骨頂とも言えるサンダーキャットとの共演も実現して、“Getting There”、“Black Gold”、“Dragonball Durag”、“Them Changes”という4曲が披露されることになった。ステージを降りる時の彼の嬉しそうな顔が忘れられない。
2位 ブラー(8/19 MARINE STAGE)
7月のウェンブリーではやった“There’s No Other Way”も、“End of a Century”も、“For Tomorrow”もなかったという事実はある。でも、素晴らしいライヴだった。再結成や再始動というのは温度感が重要だと思うのだけど、その点において完璧とも言っていい内容だった。“St. Charles Square”で肩の力を抜いてライヴを始めた瞬間も、“Coffee & TV”のイントロを間違えた時も、“Country House”でデーモン・アルバーンが柵前に降りてもみくちゃにされた時も、仰々しさみたいなものはなく、今回のブラーの活動がオーガニックな力学で実現していることが手に取るように伝わってくる。なにより新作『ザ・バラード・オブ・ダーレン』もそうだったけれど、デーモンがグレアム・コクソンのギターでバンドをやりたかったんだろうなというのが端々から滲み出ている。そうした思いは最後の“The Universal”を終えてデーモンとグレアムが抱き合った瞬間に凝縮されていた。
1位 ケンドリック・ラマー(8/20 MARINE STAGE)
途中から出てきたダンサーが象徴的だったけれど、既存のエンタテインメントから逸脱し、ルールを破ることで多くの虚構が白日の下にさらされるような画期的なステージだった。当初、ステージにはケンドリック・ラマー1人で、バンドもダンサーもいない。照明も暗く抑えられ、“N95”、“ELEMENT.”、“King Kunta”と続く中で、それは偶像崇拝を禁じる儀式かのように宗教的な色合いを帯び始める。“Worldwide Steppers”からダンサーが登場し、こちらも禁欲的な動きとなっていて、背後の絵画も含めてすべてが意図的にデザインされていることに気付かされる。様々なものが削ぎ落とされたステージで、真ん中に残るのは曲で、“Backseat Freestyle”では大きな歓声が上がる。キャリア全体に及んだセットリストはバランスのとれたもので、“Bitch, Don’t Kill My Vibe”や“Alright”もありつつ、最後は“Savior”で、救世主を求めるべきではないことを踏まえつつ、その座に一番近い人物に畏敬の念を覚えていた。
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