5位 カサビアン(8/19 MOUNTAIN STAGE)
地肩の強さが出た、そんなステージだったと言っていいのではないだろうか。1曲目から“Club Foot”を投入するのは海外でもお馴染みの流れだが、序盤から“Ill Ray (The King)”に“Underdog”とフルスロットルで飛ばしていくのはやはり危機感の表れでもあるのだろう。今回はヴォーカリストのトム・ミーガンが脱退してから初めての来日となる。トム抜きでもカサビアンは成立するのか、それが今回の一番重要なのポイントであったわけだが、カサビアンのライヴで感じるカタルシスは確かにそこに存在していた。ザ・ミュージックのロブ・ハーヴェイの起用という「補強」もあったわけだが、これまでに積み上げてきたディスコグラフィー、そして、ライヴ・バンドとしての足腰の確かさの賜物だと思う。“Empire”ではもちろんシンガロングが巻き起こり、“Vlad the Impaler”ではフロア全体にジャンプが広がり、最後は“L.S.F. (Lost Souls Forever)”から“Fire”へ。観るとやっぱりと思わせてくれる人たちなのだ。この人たちは。
4位 リナ・サワヤマ(8/20 MARINE STAGE)
頭から観ることはできなかったのだけど、そのポテンシャルを確認するには充分な時間だった。間に合ったのは4曲目に披露された“Hold the Girl”からだったのだけど、赤のボディコンシャスな衣装が映える。続いても9月16日にリリースされるセカンド・アルバム『ホールド・ザ・ガール』からの“Catch Me in the Air”だったのだが、エンタテイナーとしての急速な成長を実感する。アジアをルーツに持つアーティストとして一切の言い訳をせずにポップスターとしてのステージを全うする。彼女はその覚悟と自信に満ちていた。キラーチューン“XS”ではダンスのスキルも見せつけてみせる。そして最後から2曲目となった“LUCID”を披露する前に彼女はこう言った。「(日本は)同性婚のプロテクションがない国です。私は日本人であることを誇りに思っていますが、これはすごい恥ずかしいということです」あの時、一瞬スタジアムを覆った沈黙が今のこの国を表していた気がする。
3位 グリフ(8/21 SONIC STAGE)
ドラム、キーボード、グリフ本人という3人編成で、ビリー・アイリッシュの最新ツアーもこれに近い編成だったが、しかし、才能が爆発しているステージだった。“One Foot in Front of the Other”から始まったのだけど、白で統一された衣装を着たグリフの歌の存在感は音源よりもずっと大きい。2曲目の“Forgive Myself”ではそれを支えるドラマーも素晴らしいプレイを見せてくれる。「私はグリフです」と自然なイントネーションの日本語で挨拶をした後は軽快な“Walk”、シンガロングを求めた“1,000,000 X Better”と熱量を上げていき、“Heart of Gold”ではステージの淵に座る可愛らしさも見せてくれる。後半は“One Night”でホイットニー・ヒューストンをマッシュアップし、“Remembering My Dreams”ではハンドクラップを求めてみせる。自身でプロダクションまで手掛けるからこそ洗練されたリズムやアンサンブルが徹底されていて、音楽的な力に満ち溢れたステージだった。
2位 ポスト・マローン(8/21 MARINE STAGE)
ポスト・マローンの最大の功績はヒップホップ、ポップ・ミュージック、トラップといったジャンルをいろんな垣根を超えてコロンブスの卵的に融合してしまったことだが、それはある種の開き直りから来ているところもあると思う。この日の白Tシャツに短パン、お馴染みのプラカップという装いを見ると、そう思わずにはいられない。“Wow.”から始まったライヴはいい意味で肩の力が抜けたもので、ヒット曲も随所に散りばめられたユーザーフレンドリーなものだった。オースティン・リチャード・ポストその人は曲を丁寧に説明しながら、“Better Now”や“Circles”、“Psycho”といった珠玉の楽曲を披露して、手でハートを作ったりもしてみせる。アコースティックも交えながら、後半はデビュー曲“White Iverson”あたりからギアを上げて、最後は“Sunflower”、“rockstar”、“Congratulations”の3連発。今年のマリンスタジアムはすごく風通しのいいアクトと共にフィナーレを迎えることになった。
1位 ザ・1975(8/20 MARINE STAGE)
ステージの両脇に映し出されたライヴ映像はすべてモノクロで、照明もほとんど色の入ったものは使われない。白い光が雨上がりのマリンスタジアム全体を包んでいく。そこを満たすのは音楽だけだ。“If You’re Too Shy (Let Me Know)”で幕を開けたヘッドライナーのステージはストイックで、チャレンジングなものだった。急遽レディング&リーズ・フェスに出ることになったが、このプロダクションをまず日本に世界最速で届けるべく組んでくれたということを考えると、それだけで胸を動かされる。“Me & You Together Song”では不可解なノイズが発生していたし、最新シングル“Happiness”もまだまだ本調子ではないように感じた。マットのフェイバリット・ソングだという“Paris”あたりからバンドのフィジカルが前面に出てきて、“I Always Wanna Die (Sometimes)”や“The Sound”、“Sex”といった嬉しい曲をやってくれる。最後に演奏されたのは“Give Yourself a Try”。彼らの新章はここ日本から始まることになった。
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