あなたにとってそれほど音楽について大きな年ではなかっただろうか? カニエ・ウェストのこれまでで最も野心的なプロジェクトから、ジェイ・Zとビヨンセのジョイント・アルバム、素晴らしいデビュー・アルバム、アークティック・モンキーズとザ・1975の全能的なアルバムまで、僕らの耳は満たされてきた。計り知れない議論と、多くの反論、いくつかの応酬をもって、『NME』は2018年のリリースの中でも100枚の聴くべきアルバムまで絞り込んだ。こちらが『NME』のアルバム・オブ・ザ・イヤー2018です。
100位 インターポール『マローダー』
インターポールは通算6作目となる『マローダー』の初期のセッションでその騒音が限界を超えてしまったために、警察が出動してヤー・ヤー・ヤーズから借りていたリハーサル・スペースを追い出されている。ご想像の通り、その騒動はいつも通りの威厳のある彼らのサウンドに恐ろしさや猛々しさを与えることとなった。
99位 ナタリー・プラス『ザ・フューチャー・アンド・ザ・パースト』
ヴァージニア州出身のナタリー・プラスは、このインディ・レコードを豪勢で予算がふんだんに使われた壮大なポップ超大作にしようとしており、その成果は“Short Court Style”というささやかな傑作に最も表れている。楽曲で鳴らされるハンド・クラップやその徹底したプロダクションは、ナタリー・プラスの魔法のような技量と心のこもったソングライティングが結実した結果と言えよう。
98位 レイ・モリス『サムワン・アウト・ゼア』
ブラックプール出身のレイ・モリスはこのセカンド・アルバムで大きなステップアップを果たすこととなった。素晴らしいバラードはもちろん、前傾姿勢のアートポップや大胆なソングライティングは、彼女にバラ色の未来が待っていることを匂わせている。
97位 ピース『カインドネス・イズ・ザ・ニュー・ロック ンロール』
傑出した“You Don’t Walk Away From Love”は、いい意味でステイタス・クォーにくびったけのようなサウンドで、タイトルトラックではゴスペルのコーラスが楽曲のタイトルをリフレインで歌っている。バーミンガム出身のピースが掲げるゴールは崇高なものだ。楽観主義やキャッチーなインディ・ソングで世界を変えること。どんな些細なものでも手助けになるのだ。
96位 ゲンガー『ホエア・ウィルダネス・グロウズ』
2015年のデビュー作をもって、ゲンガーは自分たちが美しく儚いインディを巧みに操る達人であることを証明してみせた。それから3年の月日が経ったわけだが、その間も自身の能力を磨いてきた彼らがリリースした『ホエア・ウィルダネス・グロウズ』は軽快かつ迫真性に溢れ、焦がれるような体験を聴く者に与えながらも、思わず立っていられなくなるほどのゴージャスさを兼ね備えている。
95位 ハウディ『クランベリー』
オースティン出身のデュオであるハイディは今年2月にリリースした『クランベリー』でさらに野心を掲げ、土台にあるローファイな雰囲気はそのままに、極めて物憂げで詩的な次のステップへと進み、気持ちを鎮めるようなミニマリズムへといざなっている。
94位 ロザリア『エル・マル・ケレール』
2018年の後半にブレイクしてスターとなったフラメンコ・ポップ・シンガーのロザリアは、生まれ故郷であるスペインでのシンコペーションに満ちた快活なドラマを明かし、スポットライトを当てて、スマートで想像力に富んだ盛大な実験を行っている。
93位 ヴァイナル・ウィリアムス『オパール』
今年リリースされたアルバムの中で、ヴァイナル・ウィリアムスの通算4作目となる本作ほどカラフルでドリーミーな作品はわずかしかないだろう。サイケデリックなファンタジーによる本作には甘いメロディーや豊かなシンセサイザーのテクスチャー、ふとした溜め息が散りばめられた、万華鏡のような世界が広がっている。
92位 カマシ・ワシントン『ヘヴン&アース』
ケンドリック・ラマーが頼りにしているサックス奏者であるカマシ・ワシントンは今年、2時間30分におよぶ通算2作目となるスタジオ・アルバム『ヘヴン&アース』をリリースした。聡明で多岐にわたるコンテンポラリー・ジャズによる本作は名手による最上級の作曲教室だ。
91位 ザ・カーターズ『エヴリシング・イズ・ラヴ 』
ビヨンセがラップしている! それも非常に素晴らしい! ジェイ・Zが自身の過ちを心から反省している! 2人の夫婦生活を祝福するビヨンセの『レモネード』とジェイ・Zの『4:44』からなる3部作の最終章とも形容できる本作は、パーソナルで、同時に政治的でもある。ビヨンセとジェイ・Zは自身の富を誇示しながらも、人種的な不平等にも言及して、周囲の偏見を押し退けて勝利を収めた自らを誇っている。
90位 アンダーソン・パーク『オックスナード』
新たに獲得した名声や追越車線に乗った人生を祝福する、アンダーソン・パークというカリフォルニアのスムースな男による日差しが照りつけるような本作には、スヌープ・ドッグやケンドリック・ラマー、プシャ・T、Qティップ、J・コールらが手を貸している。カルト的な存在だったアンダーソン・パークは、2014年の『ベニス』、2016年の『マリブ』からなる3部作の最終章となる本作で、現代のヒップホップの名手たちによる殿堂に仲間入りを果たしている。
89位 ヴェイン『エラーゾーン』
ヴェインによるデビュー・アルバムは、90年代のハードコアやニューメタルのような懐かしさを感じるものかもしれないが、彼らがそのヘヴィな音楽に改革をもたらしていることは間違いない。耳をつんざくようなリフとリズムが破壊的に交わる音楽にブレイクビーツを入れ込み、アンソニー・ディディオの喉を裂くようなヴォーカルがそこに加わっている。
88位 リッキー・リー『ソー・サッド・ソー・セクシー』
サッド・ポップを歌うミレニアム世代の先駆者は、カリフォルニアのサウンドを取り入れた通算4作目となる本作で、これまでの「インディ」な居住地からは距離を置き、スクリレックスやロスタム、T・マイナス、DJダヒら第一線で活躍するプロデューサーたちとのコラボレーションを受け入れている。彼らとのコラボレーションは、リッキー・リーによる拡張されたメランコリアに新たな色を加え、そこに新たな意味をもたらすことに成功している。夏に襲われる悲壮感は、こうやって乗り切るのだ。
87位 ブロッサムズ『クール・ライク・ユー』
全方位的にクールなストックポート出身のポップロッカーであるブロッサムズは、自分たちが真剣そのものであることを証明して、世界を支配するための努力を次の次元にまで高めている。シンセサイザーの音に耳に優しいコーラスと鋭い歌詞が加わった本作(“There’s A Reason Why (I Never Returned Your Calls)”を聴いてみてほしい)は、テラスで聴くのにもってこいの1枚だ。
86位 エミネム『カミカゼ』
エミネムは自身を攻撃してきたあらゆる対象に反撃する『カミカゼ』をサプライズでリリースして、第一線に戻ってきた。アルバムという防具を脱ぎ捨てたような本作からは、彼の偉大さを改めて痛感させられる。正直で、怒りに満ちた見事な復活劇だ。
85位 レオン・ヴァインホール『ナッシング・イズ・スティル』
数十年前にアメリカへと渡った祖父母にインスパイアされたというデビュー・アルバムは、必要とあらばヘヴィーになることも辞さない、レオン・ヴァインホールというシンフォニーの天才が作り上げた1枚だ。
84位 フローレンス・アンド・ザ・マシーン『ハイ・アズ・ホープ 』
繊細さが専売特許ではなかった彼女だが、ミレニアル世代のケイト・ブッシュは、自身を取り囲んでいた音の壁を物思いに沈む心情で突き破り、失われた青春を慈しみながら前へと歩みを進めている。
83位 ナカネ『ユー・ウィル・ノット・ダイ 』
南アフリカ出身のナカネはこのセカンド・アルバムで、宗教というレンズを通して自身のセクシャル・アイデンティティを探求している。むしろ、宗教への拒絶を通してと言ってもいいだろう。『ユー・ウィル・ノット・ダイ 』は劇場的で、ソウルフルで激しく、そしてこの上なくダンサブルな、クリスチャンによる自己探求のアルバムだ。
82位 ゴート・ガール『ゴート・ガール 』
曖昧で、ポストパンクや荒々しい方言、憂鬱でダークな憫然さを蛇行しながら進んでいくこのデビュー・アルバムで、ゴート・ガールは自分たちが決して一つの芸当しかできないわけでないことを証明し、ユニークで機転の利いた新星の到来を告げている。
81位 ジェイ・ロック『リデンプション 』
これまでのキャリアで多くの挫折を味わってきたジェイ・ロックだが、一度としてそれで立ち止まることなかった。そんな彼の精神力は、最新作である本作にも表れている。2016年にバイク事故で九死に一生を得たことで、さらにクリエイティヴで内省的になった彼は、ラジオに好まれそうなジャムや愉快に弾むような楽曲がミックスされた、遊び心溢れる陽気な『リデンプション』を作り上げている。
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