Kenneth Cappello

Photo: Kenneth Cappello

ビリー・アイリッシュが全世界に向けて配信したオンライン・ライヴ「ホエア・ドゥ・ウィ・ゴー?:ザ・ライヴストリーム」を観た。だいぶ、混雑していたみたいで自分が映像に繋がったのは始まってから10分後くらいだったろうか。調べてみたら、“bury a friend”と“you should see me in a crown”の2曲は見逃していたようだ。

全体で約1時間のステージ。自分が注目していたのは、このオンライン・ライヴが既存のリアル空間のライヴをただ映像化するのではなく、配信ならではの体験にできるかどうかだった。その答えで言えば、半々だろうか。まずもって普段のライヴでいうセットに関しては画期的だった。30メートル x 7.3メートルのLEDスクリーンを使うことは事前に発表されていたが、“i love you”では宇宙空間に、“ilomilo”ではサメが泳ぐ海の中に、“my future”ではミュージック・ビデオを彷彿とさせる密林に一瞬でワープする。緑バックでCGと合成するような輪郭の違和感もほぼない。“my future”ではビリー・アイリッシュや兄のフィニアス、ドラマーのアンドリュー・マーシャルを取り囲むように密林のCGが配置されていて、単にLEDスクリーンで映像を変えていく以上の演出がなされていた。

オンライン生中継ならではのチャットも用意されていたが、自分が観ていた時には“all the good girls go to hell”の最中に「体験をよりよくするために」チャットが閉まってしまった。膨大な量のトラフィックが原因だろうか。しかし、このへんはすぐに改善できるだろう。ちなみに、この曲では近年の気候変動を示唆する映像がステージの両側を挟むといった演出がなされていて、曲が終わると同時に「No Music On A Dead Planet」というメッセージが表示されていた。ビリー・アイリッシュはそこで来たるアメリカ大統領選挙への投票を呼びかけている。“everything i wanted”では事前に選ばれた500名のファンが次々に映し出され、スクウェアな空間を作り出すといった演出もあった。

今回のライヴに合わせて新たなマーチャンダイズも発売されていて、オンラインですぐに購入することができる。そのあたりの普段のライヴとのリンクは当然といった感じだが、パフォーマーの表情や体温という意味ではやっぱり現実のライヴよりも圧倒的に情報量が少ないという課題もあった。全13曲というのは決して少なくないが、配信の価格を考えれば1時間というのはちょっと短かったかもしれない。ただ、新型コロナウイルスの影響下にある中でライヴ産業がどんなものを届けられるのかという意味では最も最前線のものを提示してみせたのが今回のライヴだったというのは間違いない。そして、それを受け入れることのできる器を持ったアーティストがビリー・アイリッシュという18歳だったということが最も重要だったと思う。

セットリストは以下の通り。

bury a friend
you should see me in a crown
my strange addiction
ocean eyes
xanny
i love you
ilomilo
No Time To Die
when the party’s over
all the good girls go to hell
everything i wanted
my future
bad guy

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