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メタリカのギタリストであるカーク・ハメットはファイル共有サービスのナップスターを著作権侵害で訴えた訴訟を振り返り、バンドとして「何も変化をもたらせなかった」と語っている。

メタリカは2000年、バンドの“I Disappear”のデモ・バージョンが正式にリリースされる前にナップスターでリークされたとして彼らを訴えており、最終的には彼らの音楽をダウンロードしたナップスターの30万人上の会員を利用禁止にさせることで和解に至っている。

今回、カーク・ハメットはディーン・デルレーによるポッドキャスト「レット・ゼア・ビー・トーク」に出演してナップスターとの訴訟を振り返っている。「今となって思うのは、何が素晴らしかったかって、当時の人たちが『20年後に俺たちはこのことを振り返ってこう言うんだ。『やってやったぞ! 俺たちは正しいことをしたんだ』ってね』ということを言っていたということでね」と彼は語っている。

「ただ、当時はそういうことを言われていたわけだけど、実際に俺たちは変化を起こせたのかって言うと、変化を起こしていないんだ。変化は起こせていないんだよ。あの時に起きていたことを、俺たちは止められなかったんだよ。俺たちの誰よりも巨大なものだったからね。1つのトレンドが出来上がって、音楽業界が飲み込まれていったんだ。俺たちには止めることなんてできなかったんだよ。当時起きたことは、完全に人的なものだった。当時は突然、音楽を入手するのが容易になって、お金の支払いに支障が出るようになったんだ。そういう世の中になっていったんだよ」

カーク・ハメットは続けて、ファイル共有ソフトが台頭したことによってアーティストたちは「(19世紀から20世紀前半まで行われていた、黒塗りメイクをしてステージの上でパフォーマンスを行う興行である)ミンストレル・ショウの時代にタイムスリップさせられて、演奏することが唯一の収入源になってしまった」と語っている。

「今もそういう状況になってしまっているわけでさ。単に『再生』ボタンみたいなものを押すだけっていう、実際には演奏していないバンドもたくさんいるということを除いてね」と彼は語った上で、音楽でお金を稼ぐためにライヴをしなければならないことは必ずしも悪いことではないとして次のように続けている。

「それもクールだよね。というのも、本当にやりたいと思っている奴と、見せかけだけの奴で分かれてくると思うからね……誰が情熱を持っているかだったり、芸術のためにやっているかが分かると思うし、情熱なんてなくて、商売のためにやっている奴のことも分かると思うからね」

将来的に今の状況は変化することになると思うかと訊かれると、カーク・ハメットは次のように応じている。「もしかしたら突然、今のフォーマットよりもCDのようなものが好まれるようになるかもしれないよね。誰に分かるっていうんだい? つまり、これまでも物事は急速に起こってきたわけでさ。今だって、すぐにでも変化する可能性はあるわけだからね」

先日、メタリカはバンドのベーシストだったクリフ・バートンの父のレイ・バートンが1月15日に94歳で亡くなったことを受けて追悼の意を表している。

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