デヴィッド・ボウイ 『ステイション・トゥ・ステイション』
“Wild Is The Wind”
「私たちはまるで風の中の野生の生き物のよう、風は強く/激しく吹きすさぶ」
– For we’re like creatures in the wind, and wild is the wind/wild is the wind
これ以降のデヴィッド・ボウイの作品で見られるクラウトロックの影響の先駆けとなる『ステイション・トゥ・ステイション』では、彼が自身の音楽の幅を拡大している様子が見て取れ、特に『野性の息吹き』という映画のために書かれた1950年代の曲をカヴァーした“Wild Is The Wind”に、それが顕著に表れている。この曲の最後の一節は、他にはないくらいにロマンチックに響く。
スウェード『スウェード』
“The Next Life”
「僕らが永遠に飛び立ったら、次の人生で会おう」
– See you in your next life when we’ll fly away for good
死を予感させる謎めいた冒頭の歌詞が、最後にもう一度繰り返されるが、その少し前に、なめらかなピアノのバラードが劇的に激しく盛り上がる。その時、この一節は視野が開けたような、無限の可能性を感じさせるだろう。リスナーはこの曲が終わった後、必然的にアルバムの1曲目へ戻ることになるはずだ。
グリーン・デイ『ドゥーキー』
“F.O.D.”
「誇りを持ってお前に言うけど、失せろ、死ね。おやすみ」
– I’m taking pride in telling you to fuck off and die. Good night
グリーン・デイはファンをどう扱うのか、もう一度考え直したいと思っているかもしれない。リスナーに「失せろ、死ね」とアルバムの最後で言うのは、実際、少しやりすぎだ。しかし、この態度こそが、おそらく我々が彼らのアルバムを聴き続ける理由なのだと、この14曲目で思い直すのだ。称賛に値するやんちゃなアルバムの、やんちゃな終わり方だ。
ザ・ローリング・ストーンズ『レット・イット・ブリード』
“You Can’t Always Get What You Want”
「だが、挑戦すれば、見つかることもあるだろう。見つかるかもしれない。必要としているものを手に入れるだろう」
– But if you try sometimes you might just find, you might just find, you get what you need.
いつでも欲しいものが手に入るとは限らない、というのは他に言いようのない真実だ。ザ・ローリング・ストーンズはそれを知っていて、ロンドン・バッハ合唱団もそれを知っている。そして、この7分を超えるジャムを聴けば、リスナーも間違いなく、その意味をしっかり理解するだろう。
アーケイド・ファイア『フューネラル』
“In the Backseat”
「僕は人生をかけて/学び続けている」
– My whole life / I’ve been learning
カナダの英雄たちのデビュー・アルバムは、メンバーたちの家族の死が続いたことに影響を受けて作られることになった。学びになる経験だった、と抑揚をつけずに歌われる、ほろ苦い感情が込められた最後の一節は心に響く。
ケイト・ブッシュ『愛のかたち』
“The Morning Fog”
「母に伝えるし、父に伝えるわ。最愛の人に伝えるし、兄弟たちに伝える/私がどれほど彼らを愛しているか」
– I’ll tell my mother, I’ll tell my father, I’ll tell my loved one, I’ll tell my brothers/How much I love them
海を漂う孤独な人間を描いた「ザ・ナインス・ウェーブ」と呼ばれるアルバムの後半では、嵐によるトラウマと恐怖を描いた後に最後の曲がやってくるが、この曲でケイト・ブッシュは救出への希望と愛する家族に再び会えるチャンスに焦点を当てている。
ジョニ・ミッチェル 『ブルー』
“The Last Time I Saw Richard”
「美しい羽を得て飛び立つ前のただの暗い繭/そういう段階なのよ、この暗いカフェの日々は」
– Only a dark cocoon before I get my gorgeous wings and fly away/only a phase, these dark café days
この曲は『ブルー』制作時の彼女の脆さを描いており、当時のことをジョニ・ミッチェルはこう語っている。「自分を防衛する手段がなかった。自分がタバコの箱のセロファンみたいに思えたの。自分が世界から丸見えに感じられたし、強がることもできなかった」
ブラー『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』
“Resigned”
「いつか息をするのも忘れるのだろう/でも、なぜかと考えるのを止めたことはない」
– I’ll forget to breathe someday/I’ve never stopped to think why
アルバム・タイトルの主旨を反映した“Resigned”は全体的に抑揚がなく悲観的な表情を見せる曲だ。しかしながら、最後の一文は、不意打ちのパンチのようにリスナーをハッとさせ、自分自身について考えさせ、一体全体我々はここで何をしているのだろうと問いかける。友よ、それがブラーの力なのだ。
ビョーク『ポスト』
“Headphones”
「ヘッドフォンが、私の人生を救ってくれた/あなたのテープが、私を寝かしつけてくれた」
– My headphones, they saved my life/Your tape, it lulled me to sleep
“Headphones”は友人がくれたミックステープに安らぎを得ることについて書かれた曲だ。このアルバムの大半は、ロンドンに引っ越してきたアイスランド出身のビョークが抱えていたホームシックと結びついており、そこへ彼女の当時の恋人でトリップ・ホップの第一人者、トリッキーによる空想的なアレンジが加えられている。最後の一節の通り、荘厳な雰囲気のなか落ち着きを与えてくれる曲だ。
レディオヘッド『ザ・ベンズ』
“Street Spirit (Fade Out)”
「君の魂を愛に浸すんだ」
– Immerse your soul in love
トム・ヨークによれば、この曲は「僕らの最もピュアで、最も悲しい曲」とのことで、まさしくメロディー的には確かにそうだと言える。「割れた卵」や「死んだ鳥」といった様々な荒涼としたイメージからかけ離れた、この曲の最後の一節は、レディオヘッドが普通なら絶対に歌うことのない、希望のメッセージとなっている。
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