20位 リル・ウージー・ヴァート『エターナル・アテイク』
一言で言い表せば:「フィラデルフィアのラップ・ヒーロー/宇宙から来たハイ・ファッションのエイリアン」(該当する方を選びなさい)のセカンド・アルバムは見事にイカれている。
リル・ウージー・ヴァートの待望の新作『エターナル・アテイク』は、宇宙人にさらわれた人の物語によって、妥協をゆるさないラッパーを宇宙に導いている。彼はまったくもってユニークなアルバムを作り上げた。息つく間もない混沌の中で、どういうわけかバックストリート・ボーイズのサンプリングをねじ込んだりしている。リル・ウージー・ヴァートの惑星に住めるとしたら、地球に残りたいなんて思うかい?
鍵となる楽曲:“Baby Pluto”
『NME』のレヴュー:「リル・ウージー・ヴァートはいまだにゲームの主導権を羽交い締めにしてゆずらない。ラップ・ファンの世代の心を捉えるレコードをまたもや作ったのだ」
19位 ザ・キラーズ『インプローディング・ザ・ミラージュ』
一言で言い表せば:最先端の友人のちょっとした助けも得て、ラスベガス出身のショーマンは大言壮語を炸裂させた。それもかなりね!
ギタリストのデイヴィッド・キューニングが抜けた穴を埋めるためにはアダム・グランデュシエル、ワイエス・ブラッド、ルシウス、k.d.ラング、リンジー・バッキンガムといった沢山のゲストが必要だった。しかし、彼らが参加したおかげで、『インプローディング・ザ・ミラージュ』には現在のオルタナティヴ・ポップの最先端がもたらされた。本作はザ・キラーズ史上最も壮大なサウンド(ロニー・ヴァヌッチィのドラム・フィルはテロ攻撃の音に聞こえそうな時すらある)というばかりでなく、『サムズ・タウン』以来最も充実した出来映えだ。
鍵となる楽曲:“Caution”
『NME』のレヴュー:「『インプローディング・ザ・ミラージュ』は栄光に向かって走り続けることを歌ったレコードだ。未来に向かって拳は高くかかげられている」
18位 ポリッジ・レディオ『エヴリー・バッド』
一言で言い表せば:フェス・シーズンをモノにしていたはずのバンドによるドリーム・ロック。
ブライトン出身のインディ4人組はセカンド・アルバムで、皆が求めていたユーモア、人間らしさ、現代性をポスト・パンクにもたらした。このアルバムで彼らはマーキュリー賞にノミネートされ、大勢の新規ファンを獲得したが、本当なら世界中のフェスティバルでさらなる成功を手にしていたに違いない。その機会はまた来年以降に必ず巡ってくるだろう。
鍵となる楽曲:“Lilac”
『NME』のレヴュー:「本作のポリッジ・レディオは音楽にとって最も難しい芸当をやってのけている。断片的には漠然と他のバンドになぞらえることもできるが、新鮮な息吹をインディに取り入れていて、全体としては彼らならではのものという感じのするレコードを作り上げたのだ」
17位 ヘイリー・ウィリアムス『ペタルス・フォー・アーマー』
一言で言い表せば:ソロ活動を始めたパラモアのヴォーカリストは、ためらったりしない。
ポップ・ロックのヒーロー、パラモアのニュー・ウェイヴ色の強い2017年作『アフター・ラフター』はヘイリー・ウィリアムスにとって大きなターニング・ポイントとなった。ニュー・ファウンド・グローリーのチャド・ギルバートとの離婚のあと、彼女はナッシュヴィルのぼろぼろのコッテージに引っ越し、過密なツアー活動による精神的混乱に苦しんだ。再び地に足つけてしっかりと立てるようになると、彼女は自分の苦しみをすべて『ペタルス・フォー・アーマー』に注ぎ込んだ。もろい花のような本作は鋭いウィットと無邪気なまでの正直さで、悲しみや女性であることに向き合っている。
鍵となる楽曲:“Dead Horse”
『NME』のレヴュー:「ヘイリー・ウィリアムスの素晴らしいソロ・アルバムの基本的なメッセージはこういうことだ。自分の欠点を輝く甲冑のように身にまとい、オープンで傷つきやすいことに強さを見出そう。これはどんな時にでも先見性のあるメッセージとなり得るだろうし、今日のような不安定な状況ではなおさら重みがある。誰もがちょっとした優しさを欲しているのだ」
16位 テーム・インパラ『ザ・スロー・ラッシュ』
一言で言い表せば:宇宙的なノスタルジック・ポップの怪獣が平常時の暮らしを恋しくさせる。
今年初め、ケヴィン・パーカーによるサイケデリック・ポップの怪獣『ザ・スロー・ラッシュ』が『NME』のオフィスにずっと鳴り響いていた頃は、“Lost In Yesterday”の「かつては週に4日は愛し合っていた」という歌詞がどれほど予見的であったか、私たちはまだほとんど何も分かっていなかった。以前なら享受できた世界が恋しく思われるとき、天才テーム・インパラの通算4作目のアルバムは2020年の完璧なサウンドトラックであり続けるのだ。
鍵となる楽曲:“One More Year”
『NME』のレヴュー:「本作は堅実な見返り以上の価値がある。全体的にうきうきしながら聴けるアルバムだ」
15位 フォンテインズD.C.『ヒーローズ・デス』
一言で言い表せば:ダブリンのポスト・パンク・バンドは2回戦に戻って来た。ぼこぼこに殴られ、あざだらけでも、やはり挑戦的だ。
2019年のデビュー・アルバム『ドグレル』でダブリンの5人組は空高く打ち上げられ、巷で最も話題の新人ロック・バンドとなった。そのデビュー作が虚勢に満ちた詩的なパンク・レコードだったのに対し、本作は内省的で、2年間もの激しいツアーに忍び寄ってくる悪霊を追い払い、エゴの悪い面を取り調べるかのようである。
鍵となる楽曲:“I Don’t Belong”
『NME』のレヴュー:「フォンテインズD.C.は自らを傷つけながらも同時に親密に語りかけていくようなアンセムを書く技をもっている」
14位 レディー・ガガ『クロマティカ』
一言で言い表せば:やりすぎ女王がお送りする過剰なまでの純ユートピア・ポップ。
ポップ・ミュージックというのは、骨の折れるパンデミックから様々なところで私たちを守ってくれる音楽ジャンルだ。派手な成金ヨーロッパ人から影響を得て、ハウス・ミュージックとシンセ・ポップの歓喜を融合した通算6作目のアルバムで、レディー・ガガは架空の惑星「クロマティカ」に暮らし始めた。そこは、途轍もないコーラスと、汗臭いダンスフロアの多幸感、奥底のあたたかさに満ちた魅力のある場所だ。これが全部収束したら、惑星ガガへのフライトを予約しよう。
鍵となる楽曲:“Rain on Me (ft. Ariana Grande)”
『NME』のレヴュー:「元気が出るメロディーから、前向きで希望に満ちた歌詞に至るまで、『クロマティカ』は祝福に満ちていて、そのうえ祝福に値するアルバムだ」
13位 デフトーンズ『オームス』
一言で言い表せば:メタル界のレジェンドは激しい怒りと幸福感をうまく両立させている。
サクラメント出身のアート・メタラーの通算9作目のアルバムは高い評価を得てきた彼らのほとんど完璧なアルバム群にまたもや相応しい作品だ。2016年発表の『ゴア』が、彼らのニュー・ウェイヴやポスト・パンクの素質を引き出して、明るく星の輝く宇宙空間までバンドを昇天させたとすれば、『オームス』はよりヘヴィで、バンドを地上に押し戻すような感じだ。“Error”や“Urantia”といった天にも昇るようなコーラスを持った曲があるかと思えば、“This Link Is Dead”や“Ceremony”といった、木っ端微塵に粉砕してくるリフを持った曲もあって、本作は狭苦しい感じでもあり、解放的でもある。『オームス』はこのバンドを魅力的にしている様々な要素がどれも少しずつ含まれているのだ。
鍵となる楽曲:“Genesis”
『NME』のレヴュー:「溶かした鉛のようにヘヴィなデフトーンズのレコードをまた聴くことができて最高だ」
12位 ミーガン・ザ・スタリオン『グッド・ニュース』
一言で言い表せば:パンデミック下でもトゥワーク・ダンスするためのサウンドトラック。
25歳のミーガン・ザ・スタリオンはビルボード・チャートで複数のヒット曲を持ち(卑猥な歌詞が政治問題化したカーディ・Bとの“WAP”もそのひとつ)、ほとんどの人に名前が知られるようになった。2020年をミーガン・ザ・スタリオンの年にした彼女のデビュー・アルバムは猥雑さに満ちていて、気まぐれなラップ・スタイルが彼女の2000年代のギャングスタ・ラップ愛を現代的に垢抜けさせている。
『NME』のレヴュー:「このデビュー作には、大変な年でも奔放なポジティヴさを失わないメーガン・ザ・スタリオンの決意がうかがえる」
11位 フィオナ・アップル『フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ』
一言で言い表せば:非凡な自伝的作風のアーティストは、私たちが彼女を最も必要としていたちょうどその時に帰って来てくれた。
無秩序にサンプリングされた犬の鳴き声や、カチャカチャした自家製パーカッションに溢れた『フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ』は、ひとりの女性が孤独感を振り切ろうとするサウンドになっている。世界中で新たな孤立の形が強いられるようになった時期にリリースが重なったことで、本作のもたらした衝撃はいっそう深い意味をもっている。
鍵となる楽曲:“I Want You to Love Me”
『NME』のレヴュー:「『フェッチ・ザ・ボルト・カッターズ』は彼女の新旧ファン両方の胸に一直線に刺さる作品だ。聴けば夢中になるし、彼女の最高のアルバムの一つだ」
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