20位 キッズ・シー・ゴースツ “Freeee(Ghost Town Pt2)”


カニエ・ウェストがワイオミング州に籠って作ったコレクションの中でも傑出したものとなった、カニエ・ウェストとキッド・カディによるキッズ・シー・ゴースツに、タイ・ダラー・サインが仲間として参加している。威勢のいい爆風のようなヴォーカルに、雷鳴のようなドラムや、カニエ・ウェストの“Lift Yourself”で生まれた口馴染みのいい「スクープ!」の開放的なシャウトが加わった “Freeee(Ghost Town Pt2)”は、カニエ・ウェストによる2018年の様々な騒ぎの中でも最も魅力的な楽曲と言えるだろう。

19位 ミツキ “Nobody”


かつては失われた恋を憂う繊細な楽曲を書いていたことで知られていたミツキも、通算5作目のスタジオ・アルバム『ビー・ザ・カウボーイ』では、陰鬱で後ろ向きな性格を振り払っている。“Nobody”はそれが最も顕著に表れている楽曲と言えるだろう。歌詞を見れば、これまで彼女が書いていたものと同じくらいに惨めなもの(「ああ、神様/すごく寂しい」から始まるも、概してそのポジティヴィティを保つことになるのだが)かもしれないが、跳ねるようなコーラスがそんな悲惨さに抗う強さをミツキに与えている。ミツキが繰り返し訴えるように、彼女の周囲には文字通り「誰もいない」のかもしれないが、孤独の中にも力を見出せることを“Nobody”は証明している。

18位 アイドルズ “Danny Nedelko”


移民賛成派にとっての重要なアンセムとして、アイドルズの政治的な思想がかつてないほど全面的に表れているのがこの“Dany Nedelko”である。「契りを交わした俺の兄弟は移民なんだ」とフロントマンのジョー・タルボットは曲のタイトルにもなっている、ブリストルで活動するヘヴィー・ラングスでシンガーを務めるウクライナ出身のダニー・ネデルコについて歌うと、立て続けに他の移民たち(もしくは、彼が皮肉を込めて歌ったように「エイリアン」)の物語へと突き進み、「団結せよ!」と名刺代わりのメッセージを投げかけている。アイドルズは今年、次第に増していく反移民感情に悩まされている西欧諸国に対して、正義の心に満ちた憤怒で大々的に抵抗を表明している。

17位 ブリング・ミー・ザ・ホライズン “MANTRA”


2018年はSiriが音楽向きになった年だ。私たちのコンピューターの友人は、チェンソーのようなギターの僅かな合間に、「マントラ」と曲のタイトルを囁いている。来年にリリースを控えた新作『アモ』が素晴らしいものになることを約束されたようなこのカムバック・シングルで、オリー・サイクスは最初にこう呼びかけている。「俺と一緒にカルトを始めないか?」。楽しそうだね。僕たちも仲間に入れてくれないかな。

16位 プシャ・T “If You Know You Know”


2018年の音楽シーンにおいて最も傑出していた「瞬間」を選ぶなら、プシャ・Tによる堂々としたドラッグ・アンセム“If You Know You Know”で、歪んだギターのサウンドが耳に入ってくる瞬間だろう。斜に構えながら薬物について何度も言及する“If You Know You Know”について、プシャ・Tは次のように説明している。「俺は暗号を使って話しているんだ。多くの人たちには理解できないだろうな……けど、ストリートにいる一部の奴らはこう思っているはずだよ。『嘘だろ、プシャ・Tが言葉を話しているよ。俺に直接話しかけているんだ!』ってね」。あなたが話す言語が何であれ、 “If You Know You Know”という獰猛なヒップホップの怪物は、プシャ・Tに敵う者がほとんどいないということを証明している。

15位 ローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァー “Talking Straight”


オーストラリア出身のローリング・ブラックアウツ・コースタル・フィーヴァーは、アメリカのザ・ウォー・オン・ドラッグスを意外にもアリーナ級のアクトに押し上げた時を彷彿とさせる、自由奔放なロックを奏でている。見事な楽曲群が揃った『ホープ・ダウンズ』の中でも傑出していると言える“Talking Straight”は、オーストラリアの内陸部を颯爽と走る(後ろに荷台がある車の)ユートに積まれたモーターのような楽曲だ。

14位 アンダーソン・パーク feat. ケンドリック・ラマー “Tints”


究極なまでに車高が下げられたこのシングルで、アンダーソン・パークとケンドリック・ラマーは警告を掲げながら自らを顕示している。自らのクールさや名声のためにプライバシーが必要だと主張する彼らのラップを聴けば、どれだけ彼らにゴマをすったところで、この2人には敵わないことに気がつくだろう。アンダーソン・パークとケンドリック・ラマーは、顔をしかめながらも意気揚々と乗りこなしてみせるこの楽曲で、自らが世の中の暗い部分を照らす才能を持っているのみならず、ポップなバンガーを作り出す天才でもあることを証明している。

13位 ケイシー・マスグレイヴス “High Horse”


高い評価を得たケイシー・マスグレイヴスの『ゴールデン・アワー』から先駆けて発表されていたシングルの一つである“High Horse”は、カントリーとディスコという両極にあるように見られがちな2つのジャンルが融合された、2018年における最も感染力を持ったポップ・ソングの一つである。ケイシー・マスグレイヴスは微かなカントリーのギターにオーケストラによるグラマラスなディスコを組み合わせて、繊細なポップ・ミュージックを捉える稀有な才能を存分に発揮している。現代版カーリー・サイモンの“You’re So Vain”とも言えるような皮肉めいた歌詞(「会話を終わらせてしまうのは誰か、みんなが知ってる/みんなで話すたびにそうなるんだから」)も携えた“High Horse”は、この上なく愉快な楽曲だ。

12位 カーディ・B “I Like It”


なんて痛烈な一撃だろう。ラテンをベースに、黄金の紋章を掲げるようなこのバンガーは、楽しさやポジティヴィティで一杯になったヘリウムガスの風船のようだ。紛れもなく今年最もブレイクしたスターとなったカーディ・Bは、狂乱で目が回りそうな色彩豊かなビートに乗せて、次のようにラップしている。「(スーパー)マリオのようにコインを集める/そう、人呼んでカーディ・B/私にはエクササイズみたいなもの」。一度この曲を耳にすれば、誰もがスポーツウェアを手に取ってしまうだろう。そう、まさにワークアウトに相応しい楽曲なのだから。覚えておいて、しかめっ面より笑顔のほうがカロリーを消費するんだよ。

11位 ジャネール・モネイ “Make Me Feel”


「ほんの少しの優しさで強くなった気がする/エモーショナルな性的な越境者」とジャネール・モネイはプリンスの影響を受けた宝石のようなフューチャー・ポップで歌っている。舌のクリック音を滑らかなディスコのギターにブレンドさせた鮮やかなバンガーで、神様からの啓示を受けたかの如く、ジャネール・モネイは「ああ神様、最高! もう我慢できない!」と声高に訴えている。ミュージシャンとしてのみならず、プロデュース業や女優業でも才覚を発揮してきたポップの博識家であるジャネール・モネイだが、2018年はポップスターとしての彼女の今後の成功を確信させたとも言えるだろう。この多面的なポップ・ミュージックの傑作は、機知に富んでいて、挑戦的で、自己実現を体現しているという、彼女のあらゆる才能が詰まっている。

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