20位 パラモア『アフター・ラフター』
パラモアにとって5作目となったアルバムでポップはエモへと変貌を遂げ、一見すると陽気に聴こえるアルバムでフロントウーマンのヘイリー・ウィリアムスは自身が経験したメンタル・ヘルスとの葛藤を映し出している。確かに、“Hard Times”や“Fake Happy”、“Told You So”は1980年代にパワーポップやニューウェーヴのヒット工場の産物のように聴こえるが、歌詞の面では不安や鬱、人生のダークサイドを率直に綴っている。テネシー出身のパラモアにとって、2010年にバンドを脱退したドラマーのザック・ファロが復帰し、ベーシストのジェレミー・デイヴィスが脱退してパラモアという家が完全に変化することとなって以来初となるアルバムで、彼らはリフレッシュされたバンドになったことを示したのみならず、清々しいほど正直なバンドになったことを示してみせた。
19位 タイラー・ザ・クリエイター『フラワー・ボーイ』
かつては好んで物議を醸してきた元オッド・フューチャーの頭領も、4作目となった本作でようやく態度を軟化させている。『フラワー・ボーイ』というタイトルは、元々の『スカム・ファック・フラワー・ボーイ』からタイラーが最初の2語を単に捨てたというものに過ぎない――そして、これは彼が人を釣るのが好きな荒々しいラッパーから、より人間らしい親しみやすい人物に変貌を遂げたことを論証できる変化だと言える。アルバムが7月にリリースされた時、“Garden Shed”はタイラーからの「カミングアウト」だと捉えられた。しかしながら、このアルバムの強さを証明するのは、本作がメディアが食いつくようなトピックを遥かに超越したものだということだ。
18位 ゴリラズ『ヒューマンズ』
2016年のレコーディング・セッション中に、「人間たち(ヒューマンズ)」に一つの仮の質問がされている。アニメーション・バンドにとって5作目となったアルバムで、デーモン・アルバーンとジェイミー・ヒューレットはヴィンス・ステイプルズやグレイス・ジョーンズら参加者に「自分が信じる、あらゆるものがひっくり返る」ような一晩を想像するよう依頼した。予想に反することなく悪夢的なものとなった本作は、トランプ政権下のアメリカへの奇妙で預言的なサウンドトラックとなった――それでも、最終曲の“We Got the Power”での軽快なオプティミズムでは、たとえ暗闇の中でも希望を持つ理由が存在することを説いている。
17位 オールウェイズ『アンティソーシャライツ』
デビュー作での透き通るようなメロディーと突き刺さるような歌詞はそのままに、カナダのジャングラーたちが「空想的な失恋の物語」と共に帰ってきた。シンガーのモリー・ランキンは“Your Type”で血液型について歌い――「あなたはO型で私はAB型」――“Plimsoll Punks”では「あなたは私のスキャンダルの貝殻/私のかかとを切りつけるの」と自身の怒りに向き合っている。ハイライトは最終曲の“Forget About Life”で、基本的な人間関係のあたたかみに後ろ向きな感情を対峙させている。
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16位 キング・クルール『ジ・ウーズ』
アーキー・マーシャルただ一人が、スカやロックンロール、センチメンタルなバラードや神秘的なポエムを一つの魔法のポーションに落とし込むことができる。23歳の彼にとって2作目となった『ジ・ウーズ』で、アーキー・マーシャルは自身の残忍な想像力をひた隠しにすることを歌っている。失恋に影響された19曲に上るアルバムは歓迎されないことがしばしばだが、彼の悲痛な物語には磁石のように惹きつけられてしまうのだ。
15位 ヴィンス・ステイプルズ『ビッグ・フィッシュ・セオリー』
「これは俺のアフロ・フューチャリズムだ」とヴィンス・ステイプルズはリリース前に『ビッグ・フィッシュ・セオリー』について語っている。24歳のストレート・エッジなヴォーカリストのセカンド・アルバムは、フルームやソフィー、ボン・イヴェールのジャスティン・ヴァノーンら実験的なプロデューサーたちを起用した不格好で偏屈な野獣のようで、デーモン・アルバーンやケンドリック・ラマーといったスターたちもゲストとして参加している。濃密でアヴァンギャルドな『ビッグ・フィッシュ・セオリー』には、素晴らしい疑問が詰まっている――「死や破滅しか目に入らないのに、どうやって楽しく過ごせっていうんだ?」「俺のグラミーはどこにある?」
14位 ストームジー『ギャング・サインズ & プレイヤー』
ストームジーは気まぐれで複雑な人間であり、絶賛を受けて商業的にも成功を収めたこの彼のデビュー作ほどそれが分かるものは他にはないだろう。半分は絶大なグライムのバンガーたち――『スター・ウォーズ』の“Imperial March”のような“Cold”に、“Mr Skeng”を含むトゲのあるディス・トラックなどだ――に加え、半分は神や恋人への心からの忠誠を歌う“Blinded By Your Grace, Pt. 1”といったゴスペルに影響を受けた楽曲で構成されている。たったの2週間でアルバムがゴールドになったのにも納得できる:私たちは、ストームジーという両方をこなす男を手にしたのだから。
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13位 ザ・ナショナル『スリープ・ウェル・ビースト』
ザ・ナショナルは今年、自分たちが知っていること――巨大で、膨張し続ける輝かしい運命――に注力し、7作目となった素晴らしいアルバムで、ほとんど高慢なレベルにまで自分たちの風格を高めてみせた。訳知り顔で倦怠感を隠すことも決してなく、フロントマンのマット・バーニンガーは静謐な“Nobody Will Be There”でもって中年の惨めさに身を沈めてみせ、同じくらい生き生きとした“Day I Die”や、エレクトロニカに手を出した“Guilty Party”を含んだ陰気な12曲のプロセスをスタートさせている。『スリープ・ウェル・ビースト』でバンドはいつも以上に実験的になっており、激しい“Turtleneck”では、いつものようにレナード・コーエンのように疑問を投げかえるというより、むしろピクシーズを拝借している。
12位 ロイル・カーナー『イエスタデイズ・ゴーン』
ベン・コイル・ラーナーはその圧倒的なデビュー作で、自身のヒーローであるエリック・カントナに匹敵する優美さと落ち着きをもって2017年をキックオフさせた。『イエスタデイズ・ゴーン』は美しくエモーショナルなアルバムだが、同時にそこには途方もない“No CD”やスモーキーな“Ain’t Nothing Changed”などの最高級のバンガーたちも滞在している。“Sun of Jean”での自身の母親によって書かれ、読み上げられる詩がマーキュリー・プライズにノミネートされた本作に捻りを効かせ、ハイライトを形成している。イギリスのヒップホップは実際、かなり安泰と言える。
11位 セイント・ヴィンセント『マスセダクション』
4作目の刺々しさから器用に旋回し、セイント・ヴィンセントは、このグラム・ポップの砂糖菓子とも言えるアルバムのタイトル・トラックで「私は私を駆り立てるものから離れられずにいるの」と叫んでいる。アニー・クラークは上流社会の暮らし――名声、錠剤、外科手術、失恋――を生々しく見つめ、キャリアのピークと言えるヴォーカル(“Young Lover”)や素晴らしい一撃で過去を掻きむしっている:「どうすればあなたを手にして、失うことができるの?」と彼女は呼びかける。「我を失わずにね」
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