20位 ジェシー・ウェア『ザット!フィールズ・グッド』



70年代ディスコの影響を受けた通算5作目となるアルバムについてジェシー・ウェアは『NME』に「自分がなるべきアーティスト像がようやく分かったと思う」と語っている。きらめく10曲のトラックを通して、彼女は自身の官能性を受け入れ、過剰なまでに耽溺し、新たに見つけたアーティストとしての自信を滲ませており、それが素晴らしいことになっている。彼女はセクシーで魅惑的なタイトル・トラックで最高の言葉を贈っている。「喜びは権利なのよ」

19位 ミリタリー・ガン『ライフ・アンダー・ザ・ガン』



フル・デビュー・アルバムでミリタリー・ガンが取ったハードコアへのアプローチはメインストリームのブームが反映されたものだ。フロントマンのイアン・シェルトンが唾を飛ばして唸り上げる一方で、バンドは地下室よりも電波を見据えたフックのある洗練されたロックを鳴らしてみせる。それは金儲けではなく、紛れもない時代を超えたアルバムを作ろうという試みとして映り、パンクのスノッブさから逃れている。ミッションは達成されたのだ。

18位 ジェネシス・オウス『ストラグラー』



ジェネシス・オウスはセカンド・アルバムでそのスター性がますます輝きを増している。ザ・ローチというキャラクターを中心としたコンセプト・アルバムだが、スリリングに波打つベースライン、炸裂するディスコ、ファンキーなリフを鮮やかなパッチワークのように織り交ぜたジェネシス・オウスによる本作『ストラグラー』はストーリーにおいてもサウンドにおいても光るアイディアで溢れている。

17位 イヴ・トゥモア『プレイズ・ア・ロード・フー・チューズ・バット・ウィッチ・ダズ・ノット・コンシューム』



イヴ・トゥモアによるグラム・ロック・スターへの転生は通算5作目の本作で2023年に完結することになった。巨大なメロディーを武器に勝負に出たが、持ち前の実験性への衝動は犠牲になっていない。“Meteora Blues”には90年代のオルタナティヴ・ロックのギターがある一方で、“In Spite Of War”は21世紀のインディに近い。イヴ・トゥモアの本名の姓がボウイだと知っても驚きはないだろう。両者は共に象徴的なルックスと落ち着きのなさを共有している。

16位 フー・ファイターズ『バット・ヒア・ウィ・アー』



ニルヴァーナのフロントマンであるカート・コバーンを失った悲しみから生まれたフー・ファイターズには2022年3月にドラマーのテイラー・ホーキンスの悲劇的な死というもう一つの歴史が加わることになった。テイラー・ホーキンスの死後初となる『バット・ヒア・ウィ・アー』は期待を上回る作品となった。デイヴ・グロールの娘であるヴァイオレットとの豪華なデュエットとなった“Show Me How”から、感情に揺さぶられる“Hearing Voices”まで、本作はこれまでになくバンドとファンを近づける作品となった。

15位 ジェイペグマフィア&ダニー・ブラウン『スケアリング・ザ・ホーズ』



アメリカのオルタナティヴ・ラップの重鎮であるジェイペグマフィアとダニー・ブラウンが2023年3月に手を組んでリリースしたこの爆発的なアルバムは混沌とした遊戯場となっており、両者の才能が呈示・尊重され、押し出されている。アルバム全体をプロデュースしたのはジェイペグマフィアで、退屈な瞬間はほとんどなかった。

14位 100ゲックス『10,000ゲックス』



100ゲックスのセカンド・アルバムでは感情の深さが強靭さや意味に繋がることはない。しかし、パーティーにいる悲しいカエルやおぞましい歯の手術について歌った陽気なスカが問題ないなら、2023年で最もワイルドなリスニング体験の候補になるだろう。ポップなメロディーの素晴らしさによって下らなさが避けられており、ローラ・レスとディラン・ブレイディはクオリティに対しては極めて真剣でありながら、大笑いしている。

13位 ロミー『ミッド・エアー』



10年以上にわたってザ・エックス・エックスのリード・ヴォーカリストを務めたのを経て、ロミー・マドリー・クロフトは影から飛び出して、多幸感のあるデビュー・アルバムの光の中へと踏み出した。“Enjoy Your Life”、“Strong”、“Loveher”といったハウスを基調とした人生を肯定するポップな楽曲によって、11曲が収録されたアルバムは彼女のアーティスト性において新たな活気のある一面を見せてくれる。

12位 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ『イン・タイムズ・ニュー・ローマン…』



ディスティラーズのブロディ・ドールとの離婚騒動、ジョシュ・ホーミの癌、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスや元バンドメンバーのマーク・ラネガンといった友人たちの死といった5年間の混乱を経て、ジョシュ・ホーミは次のアルバムを作ることにアンビバレントな感情を抱いていた。彼は「より深い闇へと歩みを進めている」自分がいたと『NME』に語っている。その成果はクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジにおいても最も痛烈な音の一打となった。それはとんでもないことだ。

11位 スフィアン・スティーヴンス『ジャヴェリン』



深刻な健康問題を抱え、4月にはパートナーを失う中でスフィアン・スティーヴンスは2015年発表の『キャリー・アンド・ローウェル』以来となる形で「完全なシンガーソングライター・モード」に戻ってきている。人肌のフォーク、重ねられたヴォーカル、豊穣なトラックのアレンジがスフィアン・スティーヴンスの衝撃的な歌詞と組み合わさる時、多作なカルト・ヒーローから新しい勝利が生まれることになった。

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