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まだお金もない学生のビデオグラファーが将来性のないバンドの撮影に人生を捧げたと聞くと、いささか残念な気持ちになる。あらゆるメジャーなバンドたちにキャリアの初期から撮影している学友のカメラマンがいることを考えれば、数多もの有望な映像作家たちが別の真っ当な職業を棒に振り、ザ・ドラムス程度のバンドが5年間、世界各地で学部に通うのを観察するために、ギンスターズのパンに資金をつぎ込み、彼らの手元には、半分も埋まっていないクラブや壊れたツアー・ヴァン、トイレに流される涙で濡れた契約書といった使い道のない映像しか残らないのだ。

しかしながら、何十万人に一人の割合でダイヤの原石が見つかることもある。コールドプレイの大学時代の友人であるマット・ホワイトクロスについていえば、彼の新作『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』は、感動的で、刺激的で、爽快で、物語を解き明かすものとなっており、コメディアンのジャスティン・フレッチャーの家に通りすがりにペイントボールを投げつけるのと同じくらいカラフルになっている。本作は、彼自身が最初のリハーサルから撮り続けている映像が収められた、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンに在学していた時代からのコールドプレイのドキュメンタリーだ。11月14日に全国で一夜限定で劇場公開されることを記念して、試写会を観た『NME』が選ぶ本作から学んだ5つのことをお届けする。

1. クリス・マーティンには先見の明がある

どうやら、クリス・マーティンは星空の中にコールドプレイの未来が見えているようだ。コールドプレイとしての初めてのギグで、彼は観客に次のように語りかけている。「君たちはラッキーだね。僕らがボン・ジョヴィ並にビッグになる前に観れるんだからさ」。頭の中が夢でいっぱい(“Head Full Of Dreams”)になっている彼は、口いっぱいの矯正器具を見せながらカメラに向かってこう宣言している。「今日から4年後には、僕たちはとてつもなくビッグになっているよ」。その日からおよそ4年が経った頃、コールドプレイはグラストンベリー・フェスティバルのヘッドライナーを初めて務めている。スノウ・パトロールやマムフォード&サンズは、コールドプレイが単に抽選で選ばれたわけではないと証明してくれたことに感謝すべきだろう。

2. コールドプレイはコールドプレイ以外あり得なかった

大学の学友同士だった彼らは、コールドプレイを結成する以前から自分たちがバンドを結成することを確信していた。本作には、クリス・マーティン(ニックネームは『種馬』)、ジョニー・バックランド(ニックネームは『角にいる酔っ払い』)、ガイ・ベリーマン、ドラムキットを持っていた自身のルームメイトがデモ・セッションに姿を表さず、当初はドラマーではなかったものの彼らと同じ空間にいたウィル・チャンピオンが、大学の舞踏会で踊ったり学生寮のパーティーで演奏を披露する映像が多く収められており、彼らは最初の曲を書く以前から世界を踊らせるポテンシャルを持っていたことが証明されている。彼らの結束力は、神聖そのものだ。1999年にリリースされたEP『ザ・ブルー・ルーム』のセッション中に、ウィル・チャンピオンの当時はまだ不十分だったドラム・スキルを巡って確執が生じてしまった時、クリス・マーティンは最後に、ウィル・チャンピオンにバンドへ戻って来てくれるように頼んでいる。彼らは以来、厳格な民主主義を貫いている。クリス・マーティンが最新作のトラックリストを持ち込んだ時、バンドメイトたちに1曲ずつ自分の赤ん坊を否定されて彼は舌を噛むことになるのだが、彼らはその後、いかにガイ・ベリーマンとウィル・チャンピオンがクリス・マーティンのお気に入りを否定するかについての即興の曲をアコースティックで披露している。実に受動的で攻撃的な話だ。

3. ビヨンセは“Hymn For The Weekend”のヴォーカルをクリス・マーティンの娘の寝室でレコーディングした

寝室がディーヴァ風に装飾されていたことは言うまでもない。

4. ブライアン・イーノは彼らに目隠しで演奏をさせた

2008年にリリースされたアート・ロックの傑作『美しい生命』をより実験的にしようとブライアン・イーノに助言を求めた際、ブライアン・イーノは彼らに、すべての曲を異なるサウンドにするよう促している。それ故に、本作にはインスピレーションを求めてスタジオであらゆる奇妙な演奏を試みる彼らの奮闘が収められており、目隠しをしての演奏や、メンバーの頭に付けられたドラムをウィル・チャンピオンが叩く映像などが収められている。看護師よ! 砂場に行って!

5. バンドとしてそれぞれが問題を抱えている

コールドプレイのこれまでのドキュメンタリーでも彼らの暗い部分を示唆する映像は観ることができたものの、『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』では初めてそれが映像として収められている。ガイ・ベリーマンはアルコールの問題を抱えていることを認めているし、コールドプレイの「見えざる5人目のメンバー」であるフィル・ハーヴェイの助けがなく、彼らは『X&Y』のレコーディング中に道を踏み外した。クリス・マーティンの友人で、コールドプレイの前身バンドであるフレーミング・ホンキーズのメンバーだったフィル・ハーヴェイは、『X&Y』の前まで彼らのマネージャーを務めており、その後はアドバイザーとしてバンドに携わっている。映画には、初期の自堕落的でニュー・メタル的な全米ツアーの映像や、グウィネス・パルトロウと破局したクリス・マーティンの荒むような痛みも包み隠さずに収めれている。最も衝撃的なのは、ひどい出来だったギグのアンコール前に、クリス・マーティンがローディーを怒鳴りつけ、ツアー後にバンドを解散すると我を失ったように叫んでいる映像だろう。それはまるで、アンドレックスのトイレットペーパーのCMに登場する子犬が幼児たちに噛み付いている映像を観ているかのような衝撃だ。

上映詳細

原題『Coldplay: A Head Full Of Dreams』
邦題『コールドプレイ:ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ』
出演)コールドプレイ
クリス・マーティン、ジョニー・バックランド、ガイ・ベリーマン、ウィル・チャンピオンほか
監督)マット・ホワイトクロス (過去作『オアシス:スーパーソニック』(2016)、『グアンタナモ、僕達が見た事実』(2006)*2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞))
尺:約115分 本編日本語字幕あり
劇場公開日:11月14日(水)のみ ※一夜限定
公開劇場:
東京)
新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋、109シネマズ二子玉川、109シネマズ木場、TOHOシネマズ 上野、立川シネマシティ
神奈川)109シネマズ川崎、109シネマズ湘南、TOHOシネマズ ららぽーと横浜、横須賀HUMAXシネマズ、イオンシネマ海老名
千葉)MOVIX柏の葉、イオンシネマ市川妙典
埼玉)MOVIXさいたま、イオンシネマ浦和美園
群馬)MOVIX伊勢崎
栃木)MOVIX宇都宮
茨城)イオンシネマ守谷、TOHOシネマズ 水戸内原
長野)イオンシネマ松本
石川)イオンシネマ金沢
山梨)TOHOシネマズ 甲府
新潟)イオンシネマ新潟南
静岡)静岡東宝会館
岐阜)TOHOシネマズ 岐阜
三重)イオンシネマ津南
愛知)ミッドランドスクエアシネマ、109シネマズ名古屋、イオンシネマ長久手
大阪)なんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田
兵庫)神戸国際松竹
京都)MOVIX京都
岡山)イオンシネマ岡山
広島)イオンシネマ広島西風新都
高知)TOHOシネマズ 高知
愛媛)イオンシネマ今治新都市
福岡)イオンシネマ福岡
熊本)イオンシネマ熊本
大分)TOHOシネマズ アミュプラザおおいた
北海道)札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川
山形)イオンシネマ天童
岩手)中央映画劇場
宮城)MOVIX仙台、109シネマズ富谷

料金:2,000円均一(一部劇場の座席を除く)
チケット発売:各上映劇場の窓口・HPにて、10月26日(金)より発売開始。

更なる詳細は以下のサイトで御確認ください。

https://www.culture-ville.jp/coldplay

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