ウルフ・アリスは、2017年にリリースしたセカンド・アルバム『ヴィジョンズ・オブ・ア・ライフ』で今年のマーキュリー・プライズを受賞している。
ウルフ・アリスは、現地時間9月20日にロンドンの ハマースミス・アポロで開催されたマーキュリー・プライズ授賞式で、切望される同賞を手にしている。
受賞に際してシンガーでギタリストのエリー・ロウゼルは次のように述べている。「この賞を3人の親友たちと受け取れることはとても大きな意味を持っています」
ベーシストのセオ・エリスは、かつてレコード会社の重役からイメージに合わないとして門前払いされた過去を持ち出して、次のように語っている。「俺たちは今ここにいるけどな。そう、ファック・ユーだよ!」
ウルフ・アリスは元々、2010年にエリー・ロウゼルとギタリストのジョフ・オディの二人で結成されている。その後ドラマーとしてジョエル・アメイが加入し、セオ・エリスが続けて加入して同年に現在のラインナップが完成している。彼らのデビュー・アルバム『マイ・ラヴ・イズ・クール』も2015年のマーキュリー・プライズにノミネートされていたものの、この年はベンジャミン・クレモンタインが受賞している。
ウルフ・アリスは授賞式に先駆けて、万が一受賞した際の賞金25,000ポンド(約370万円)の使い道について『NME』に語っている。
ジョエル・アメイは次のように語っている。「とても大金だよね。バンドとしてふさわしい使い方をすれば、それでたくさんの有意義な制作作業ができるんじゃないかと思っているんだ……僕たちはロンドンを拠点にしているから、ロンドンに自分たちのスペースを買うことができたら素晴らしいだろうね……もしくは、オフの時間が取れるかもしれないから、スタジオに戻ることになるかもしれないよ」
ジョエル・アメイは次のように続けている。「それだけの大金があったら、無限の可能性があるよね。もしも僕たちが受賞することになったら、責任を持ってクリエイティヴに使えるように、時間をかけて考えることになると思うよ」
賞の行方については当日、ナディーン・シャーの2017年のアルバム『ホリデー・デスティネーション』がブックメーカーのウィリアム・ヒルで9/4倍のオッズを付けられて一番人気のアルバムとなっていた。ジョルジャ・スミスやサンズ・オブ・ケメット、キング・クルール、ウルフ・アリス、アークティック・モンキーズがそれに続いていた。
ウルフ・アリスはマーキュリー・プライズのトロフィーと25,000ポンドの賞金を受け取った後で、受賞作に収録されている“Don’t Delete the Kisses”をパフォーマンスして、観客のスタンディング・オベーションを受けている。
審査員は次のように述べている。「素晴らしい音楽の膨大なリストの中から、壮大さと親密さを平等な尺度で備えたアルバムをリリースしたという点で、ウルフ・アリスが総じて受賞者として浮上することとなりました。これは旅のようなアルバムであり、酔いしれるようなフェスティバル用のアンセムに、えも言えぬ美しさが加わった、自信と冒険とが繋がりあったアルバムなのです。世界が彼らを待っています!」
BBCラジオ1のDJであるアニー・マックが司会を務めた今年のマーキュリー・プライズ授賞式では、ノミネートされた12組のアーティストの中から、ウルフ・アリスを含む多くのアーティストがパフォーマンスを行っている。
ウルフ・アリスのほかには、エヴリシング・エヴリシングやリリー・アレン、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、ジョルジャ・スミス、キング・クルール、ナディーン・シャー、ノヴェリスト、ジャズ・グループのサンズ・オブ・ケメット、XLレコーディングの主宰者であるリチャード・ラッセルによるプロジェクトのエヴリシング・イズ・レコーデッドがそれぞれノミネート作品に収録された1曲のパフォーマンスを行っている。
また、アークティック・モンキーズは式典自体には出席しなかったものの、会場にパフォーマンス映像を送っている。
今年の候補作について、審査員は以前次のように語っていた。「今年のヒュンダイ・マーキュリー・プライズでは、個人的なものや政治的なもの、恋愛や失恋、成長や回想、怒りや喜びに至るまで、音楽は人生における変化を切り抜ける際に重要な役割を果たすという共通の認識のもとで、キャリアのあらゆる段階にいるミュージシャンのアルバムを祝福しています。これらの音楽は楽しく、刺激的で、賢くて、心を動かしてくれるものです。これがその12枚の素晴らしいアルバムです!」
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