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ザ・ストロークスのフロントマンであるジュリアン・カサブランカスはポップ・ミュージックの現状を嘆き、アリエル・ピンクはエド・シーランと同じくらいビッグであるべきだと語っている。

「ヴァルチャー」のインタヴューでジュリアン・カサブランカスは現状のインターネットが、メインストリームでの成功を求めるアーティストにネガティヴな影響を与えており、「文化面で洗脳」があるとしている。

「アンダーグラウンドなものや世界中の音楽まで、とびっきりの音楽にアクセスすることのできるインターネットの力にはいい影響があると思ってたんだ。音楽はかつてないほど進化するだろうしね」とジュリアン・カサブランカスは語っている。

「でも、代わりに音楽は資本家の利益ゲームに飲み込まれてしまったんだ。インターネットはクオリティとメインストリームの間のバランスをとる手助けになると思っていたんだけど、正反対の方向にいってしまったよね。音楽からクオリティはなくなってしまった。ワン・ダイレクションは40億回見られるけれど、現在の最高のアーティストはほんの僅かな関心しか得られないんだ」

「音楽から大量の金を生み出す仕組みがあって、その仕組みはクオリティの側面を内包するものではなかったんだよ」と彼は続けている。

「アーティスティックな価値、真の価値はそうしたプロセスの犠牲になってしまったんだ。みんながCVSや、タクシーや、ナイトクラブや、3歳児のための音楽を作ろうとしているのは理解してるよ。それができれば素晴らしいことだしね。でも、それはアーティスティックな意味でも素晴らしいことを意味するわけではない。ミュージシャンとして僕がうんざりするのは、商業的成功がアーティストとしてのクオリティということになる、音楽の世界がそれだけになることなんだ」

ジュリアン・カサブランカスはデヴィッド・ボウイを引き合いに出しながら、アリエル・ピンクはエド・シーランと同じくらいビッグになるべきだと論じている。

「今だとアリエル・ピンクみたいな人はあんまり知られてないだろ。違う時代だったら、彼はもっと人気があったはずだよ。人って自分の時代の風潮を真実だと思うものだけどさ」

「今じゃデヴィッド・ボウイは誰もが知っているわけだけど、70年代はすごくアンダーグラウンドだったわけでね。アリエル・ピンクは今の時代において最も語り継がれていくアーティストの1人だと思ってるんだけど、現時点では、メインストリームでは誰も知らないよね」

「僕のミッションは始めた日から変わらないんだ。それはアーティスティックな価値があるものを作って、それをメインストリームに持ち込むということなんだ。何も変わってないんだよ。ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがザ・ローリング・ストーンズよりも人気のある世界をなんとか作ろうとしているんだよ。アリエル・ピンクがエド・シーランよりも人気のあるようなね」

インタヴュアーが「一方のミュージシャンはポップになろうとしていて、もう一方はそうじゃないんじゃないか」と尋ねると、ジュリアン・カサブランカスは次のように応じている。「君の言ってることはすべて、100%文化面で洗脳されているように聞こえるね」

「というのも、アリエル・ピンクが人気のある世界で育てば、『エド・シーランが人気があるなんて分からない』と言ってるはずだよ。人々は頭に叩き込まれた価値観で育つわけでね。エド・シーランや他のポップ・スターを批判しているわけじゃないんだ。エド・シーランは素敵でクールな人のようだしね。彼の音楽に不満があるわけでもない。ぜひ何十億枚も売って欲しいよ。言ってるのは、エド・シーランが60%の関心を集めて、アリエル・ピンクが40%の関心を集めるような世界がどうして存在しないのか理解できないってことなんだ。今はエド・シーランが99.5%の関心を集めているような状況だろ」

「クリエイティヴなバンドは今のところ隅に追いやられているわけでね。でも、より言いたいのは音楽でも政治でも今はプロパガンダが最も声高な状況に飲み込まれているということなんだ」

「もし君が30年後にタイム・トラベルできるなら、エド・シーランとアリエル・ピンク、どちらのほうが人気か、教えてくれよ。エド・シーランに不満があるわけじゃないんだ。彼は今から30年度でもアルバムを出しているだろうしね。でも、インターネットがあって、これだけアクセスできるなら、選び出すのにずっと待つ必要なんかないと思うんだ」

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