ブラーのフロントマン、デーモン・アルバーンは、ほとんどのミュージカルは「ゴミ」で、「見なくてもわかる」と酷評し、彼が手がけている現代版『不思議の国のアリス』が他の作品に取って変わる出来だと述べている。

デーモンは新たなミュージカル『Wonder.land』の音楽を担当していて、同作品はマンチェスターのパレス・シアターで7月に開催されるマンチェスター・インターナショナル・フェスティバルの一環として上演が予定されている。

このミュージカルは、ルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』を現代風にアレンジした作品で、ナショナル・シアターの芸術監督に就任したルーファス・ノリスが監督を務め、『タマラ・ドゥルー~恋のさや当て~』や『Handbagged』等を手がけたモイラ・バフィーニが脚本を担当している。

『テレグラフ』紙に語ったところによれば、デーモンは自分の考えを抑えきれない様子で、大多数の劇場作品について酷評したという。「まるで人口甘味料だね。見なくてもどんなものか予想できるよ。くだらない作品ばかりさ」。しかし、この発言が同業者から批判を受けるかもしれないと気づき、次のように付け加えている。「多分、今の発言は、多くの人から反感を買うかもしれないな」

また、ミュージカルを作る行程について、デーモンはこのように明かしている。「パラレル・ワールドで暮らしているようなもんだよね。ブラーのライヴのリハーサルを午前中にやって、その後は部屋にこもってずっと曲を書いていたんだ」。そして、こう付け加えている。「ミュージカルの場合、曲を書くというよりも書き直すんだけどね」

しかしながら、デーモンはそうした作業態勢も含めて今回の新しいことに挑戦できる機会を楽しめていたようだ。「初めてシアター・ワークショップという世界に足を踏み入れたんだけど、本当に楽しんで作曲できたよ」

ブラーが近年行ったアジア・ツアーは、新アルバム『ザ・マジック・ウィップ』に多くの影響を与えているが、それだけにとどまらず、このツアーは『Wonder.land』にも影響を与えているようだ。特に北朝鮮への訪問はかなり印象的だったという。「あそこは地球上でも未知の世界(Rabbit Hole)を探すんなら絶好の場所だよ」

また、デーモンは身近な所からもインスピレーションを得たという。「(『不思議の国のアリス』に登場する)ウサギの穴っていうのはさ、携帯電話にだって存在するんだよね」とデーモンは指摘する。「うちの子供たちが実際に部屋にいても、携帯をいじっているときはまるで姿を消したように思えることから発想を得たんだ」

本作同様、ルーファス・ノリスが監督を務めたデーモン・アルバーンによる最初のオペラ作品『ドクター・ディー』も、マンチェスター・インターナショナル・フェスティバルで2011年に上演されている。16世紀の科学者であるジョン・ディーについて書かれた作品で、デーモンのパフォーマンスはアートの批評家にも好意的に受け止められた。

ブラーは今年4月に、実に12年ぶりとなるアルバムをリリースし、発売直後にUKチャートで1位を獲得している。今週末6月20日には、ロンドンのハイド・パークで開催される大規模フェス「ブリティッシュ・サマー・タイム・ショー」のヘッドライナーを務めることになっている。

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